表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パーティを追放されたので、犬耳獣人少女と生きていく。  作者: 木山楽斗
afterafter

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

187/280

第55話 その飲み方に

 私は、二日酔いになったクラーナのためにお水を持ってきていた。

 これで、少しは酔いが醒めてくれればいいのだが。


「はい、クラーナ」

「ええ、ありがとう……」


 お水を受け取ったクラーナは、少し考えるような表情になった。

 一体、何を考えているのだろうか。それを飲むだけでいいというのに。


「ねえ、アノン……口移しで飲ませてもらえないかしら?」

「え?」


 真剣な顔で、クラーナは酔っている時と同じことを言ってきた。

 どうやら、酔っていても酔っていなくても望んでいることは同じようだ。


「クラーナは、酔っていても酔っていなくても、あまり変わらないんだね……」

「べ、別にいいでしょう……」

「まあ、別にいいけど……」


 私は、ゆっくりとお水を口に含んでいく。

 この飲み方に慣れてしまって、普通に飲み物を飲めなくなったらどうしよう。そんなことを考えながら、私はクラーナに顔を近づけていく。


「……」

「んっ……んっ」


 クラーナは、喉を鳴らしてお水を飲んだ。お酒の時とは違い、結構口に含んでいたが、すぐに口の中からお水はなくなった。


「ふう……美味しいわね。なんだか、体に染みわたるわ」

「やっぱり、二日酔いには効くのかな?」

「ええ、そうかもしれないわ」


 余程、体に染み渡ったのか、クラーナは少し笑顔になっていた。

 やはり、酔っている時にはお水がいいようである。


「ふう……」

「クラーナ、もう少し休んだら、食事にする? そもそも、食べられる?」

「どうかしら? 少し気分も悪いし、あまり食べられないかも……」


 とりあえず、私はこれからどうするのかを確認しておく。

 クラーナは、食欲はあまりないようだ。それなら、朝食は抜いた方がいいかもしれない。

 気持ちが悪い時に、無理やり食べるのはできないだろう。しっかり、水分補給をするだけでいいはずである。


「まあ、とりあえず、休もうか」

「ええ、そうね……」


 私は、クラーナとともにベッドで寝転がった。

 今日は、大半をベッドで過ごすことになるだろう。ゆっくりと休んで、二日酔いを吹き飛ばすのだ。


「アノン、背中を撫でてくれる?」

「背中? いいよ」


 クラーナに言われて、私はその背中を撫でいく。

 恐らく、気持ち悪さを紛らわすために頼んできたのだろう。

 ただでさえ撫でられるのが好きなクラーナなので、きっと気分は良くなってくれるはずである。


「ふう……もうお酒は飲みたくないわ」

「そうだね……」


 クラーナは、この苦しさを体感して、お酒を嫌いになったようだ。

 これは、とてもありがたいことである。お酒に弱い彼女は、もうなるべく飲まないで欲しいと思っていたからだ。

 こうして、私達はしばらく休むことにするのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ