第53話 寝ぼけながらも
私は、クラーナにお水を運んで来ていた。
これを口移しで飲ませることが、彼女の望みなのである。
「すぅ……」
すると、クラーナはまたしてもうとうとしていた。
どうやら、彼女はお酒を飲むと眠たくなってしまうらしい。
これは、流石にベッドに移った方がいいだろう。もういい時間なので、このまま眠ってもらった方がいい気がする。
「クラーナ、もうベッドに行こう?」
「クゥン?」
「そんなに眠たいなら、もう寝た方がいいよ。もう夜だし、その方がいいんじゃない?」
「クゥン……」
私の言葉に、クラーナは寝ぼけながら答えてくれた。
という訳で、私はクラーナに肩を貸してベッドまで行くことにする。
「それじゃあ、行くよ?」
「クゥ……」
クラーナは、私の指示に素直に従ってくれた。
こういう素直なのは、とても助かる。
私は、クラーナを寝室まで誘導していく。ほぼ眠っているので、結構気をつけなければいけない。
「さあ、クラーナ、入るよ?」
「すぅ……」
「ああ、もう限界? でも、もうすぐだから……」
寝室に入りながら、私はベッドを目指す。
クラーナは、もうほとんど眠っている。本当に、もう限界だったようである。
「よし……クラーナ、ベッドに寝て?」
「すー」
ベッドの傍まで来て、クラーナの体をゆっくりと下ろしていく。
本当に、クラーナはお酒に弱いようだ。もうほとんど眠っている。
とりあえず、これでベッドまでは辿り着くことができた。後は、私がどうするかである。
「すー……」
「あっ……」
クラーナは、私の服の裾を掴んでいた。恐らく、無意識でも私を離したくないのだろう。
それを見た瞬間、私が取るべき行動は決まった。振りほどこうと思えば振りほどくことはできるが、そんなことをするつもりはない。
「クラーナ、隣に失礼するよ?」
「クゥン……」
「あっ……」
私がベッドで寝転がると、クラーナは引き寄せてきた。
本当に、私を求めてくれているのだ。それが、どうしようもなく嬉しい。
私はそれに逆らわず、クラーナに近づいていく。これで、眠る準備はできた。後は、いつもの挨拶をするだけだ。
「お休み、クラーナ……」
「んっ……」
私は、クラーナに口づけをしてから目を瞑る。
今日は、お酒によって色々と大変だった。だが、なんだかんだ楽しい一日だったと思う。
ラノアがいない寂しさも、クラーナがとても盛り上がっていたため、紛れた。また、明日から寂しさが戻って来るのだろうか。それは、少々怖い所である。
そんなことを考えながら、私はゆっくりと眠るのだった。




