第38話 友達への手紙?
私とクラーナとラノアは、いつも通り過ごしていた。
今日も、私達は依頼に行かず休んでいた。昨日に引き続き、元々休みに設定していた日なのだ。
「うーん……」
そんな休日、ラノアは一枚の紙の前で悩んでいた。
なんでも、レフィリーナちゃんと手紙のやり取りをすることになったらしいのだ。
しかし、ラノアは手紙を書いたことがない。だから、悩んでいるようだ。
「ねえ、アノン、クラーナ、手紙はどうやって書けばいいの?」
「うーん……」
「それは……」
ラノアに質問されて、私もクラーナも唸っていた。
こういう質問を、ラノアからされることはわかっていたことである。
しかし、私達も答えを出せないのだ。なぜなら、私達も友達に手紙などほとんど書いたことがないからである。
「正直、私達もわからないんだよね……」
「友達に手紙なんて、出す機会がなかったもの……」
私達には、基本的に友達どころか知り合いがいなかった。
そのため、友達当ての手紙など書いたことがないのだ。最近は、友達もいるが、その人達は基本的に家に来るし、ギルドで会う。そのため、手紙でのやり取りはあまりしないのだ。
「手紙……か。ガランとかには、出していたけど……」
「あれは、友達とのやり取りではないわよね……」
「そうなの?」
ガランが生きていた時は、手紙を出すことがあった。
しかし、その手紙は今、ラノアが求めているものではないだろう。父親に出す手紙と、友達に出す手紙が同じである訳がないはずだ。
「参考になるかもしれないから、どんな内容を書いていたのか教えて?」
「どんな内容……まあ、近況報告かな? 最近、何をしたとかそういうの。後は、元気かどうか聞いたり……」
「そうね……後は、次にいつそっちに行くかとかかしら?」
「そういう感じなんだね? レフィに出すのは、そういうのでは駄目なのかな?」
ラノアの言葉に、私もクラーナも顔を見合わせた。
お互いに、判断に困っているのだ。
友達への手紙を書いたことがない私達にとって、ラノアの質問はとても難しいものなのである。
「とりあえず、それで書いてみてもいいかもしれないね」
「ええ、一回書いてみて、三人で考えてみましょうか」
「うん、それじゃあ、そうしてみるね」
とりあえず、ラノアにはその内容で書いてもらうことにした。
文章になれば、友達に書く手紙かどうかわかる可能性がある。というか、流石に、私達でもそれくらいは判断できると思いたい。
とにかく、三人で、ゆっくり考えてみるしかないだろう。




