第37話 彼女の悩みは
私は、クラーナに相談に乗ってもらった。
そのおかげで、私が悩んでいたことは解決した。だから、次はクラーナの番だ。
「それで、クラーナは何に悩んでいるの?」
「ええ、少しいいかしら?」
「うん、いいよ」
私が質問すると、クラーナは膝の上に乗ってきた。
体を私に預けて、甘えてきている。こういう時のクラーナは、いつにも増して可愛い。
「実はね……最近、アノンに家族が増えて、色々と思うことが多くなったの」
「家族が増えて?」
「ええ、その……嫉妬、とは違うのかしら? なんだか、アノンがどこかに行ってしまうのではないかと、怖くなってしまって……」
「クラーナ……」
私は、クラーナの体をゆっくりと抱きしめた。
彼女の悩みは、理解できた。だから、彼女を安心させるために、しっかりとその体を包み込むのだ。
「そんなことを思っていたんだね……」
「ええ……」
「辛かったよね? ごめんね……」
「アノンのせいではないわ。私が、勝手に気にしているだけだもの……」
クラーナの悩みは、よく理解できた。
確かに、私にはここ最近親族が増えた。だから、私が遠い存在になったように、クラーナは感じたのだろう。
だけど、そんな心配はいらない。私は、遠くに行かない。行くはずがない。
私の幸福の大前提は、クラーナの隣にいることだ。クラーナが、隣にいることなのだ。
だから、私は、彼女に伝える。自分の真っ直ぐな気持ちを。
「クラーナ、大好きだよ」
「アノン?」
「大好き……好きで好きでたまらない。ずっと一緒にいて欲しい。ずっと一緒にいたい。愛してる」
「アノン……」
私の言葉に、クラーナの顔は明るくなった。
私が何を言いたいか、理解してくれたのだろう。
こんなにも、私はクラーナを愛しているのだ。そんな私がどこかに行くはずがない。それは、しっかりと伝わっただろう。
「アノン……」
「クラーナ……」
私達は、ゆっくりと唇を重ねた。
最早、私達には言葉すらいらない。お互いの愛を確かめるために、ただそれだけのために、唇を重ねていく。
私の体は、ゆっくりとクラーナに押し倒される。そのまま、クラーナは私の口の中を味わってきた。
そんなクラーナの体を、しっかりと抱きしめる。彼女の存在を確かめるために、また自分の存在を実感してもらうために、決して離さない。
私達は、そうしてずっとお互いの愛を確かめ合う。今夜も、長い夜になりそうだ。




