第34話 別れ際に
私とクラーナとラノアは、玄関まで来ていた。
色々とあったが、レクリアさんとレフィリーナちゃんが帰ることになったのである。
「さて、それじゃあ、私達はこれで失礼する。また来るかもしれないけど、その時はよろしく頼むぜ?」
「はい。あっ……でも、もしかしたら、私達は出かけているかもしれないので……」
「ああ、冒険者の仕事だったか? それじゃあ、今度来る時は、手紙でも出した方がいいか」
「あ、はい。そうしてもらえると助かります」
レクリアさんの言葉に、私は頷いた。
今日はたまたま休んでいたが、私とクラーナは冒険者としての仕事をしていることが多い。事前に連絡してもらった方が、ありがたいのである。
「そういえば、そういう配達の仕事があったから、私はお前達と出会えたということだよな?」
「え? ああ、そういえば、そうですね」
レクリアさんに言われて、私は気づいた。
よく考えてみれば、この巡り会いは、手紙などを配達した人がいたおかげで起こったのである。
そう考えると、あの人達には感謝しなければならない。今度、何かお礼の品でも持って行った方がいいだろう。
「まあ、お前はそういう仕事の取り纏めもやっているんだろう? そっちも頑張ってみればいいんじゃないか?」
「あ、いや、それは私の威厳……正確には、父の威厳が欲しいから、名前を貸しているだけで、仕事という訳では……」
「でも、そいつらはお前のことを待っているんだろう? ここらで、一発覚悟を決めるのも悪くないんじゃないか?」
「それは……どうなんでしょう」
レクリアさんの言葉に、私は少し困惑した。
確かに、あそこにいる人達は私のことを待ってくれている。
だが、別に、あそこは私がいなくても機能しているのだ。今更、私が行った所で、何も変わらない気がする。
しかし、一応、考えておこう。考えることは、無駄ではないはずだ。
「ラノア、また会いましょうね」
「うん! 絶対にまた来てね!」
ラノアとレフィリーナちゃんも、別れを告げていた。
レフィリーナちゃんは、ラノアの頭を撫でるのが気に入ったようで、別れ際も撫でている。それに対して、ラノアはすごく尻尾を振っていた。どうやら、かなり喜んでいるようだ。
「もちろん、また来ますけど、あなたが来てくれてもいいですのよ?」
「え? 私が?」
「ええ、私は歓迎しますわよ?」
「うん! わかった! 私も、レフィの所に遊びに行くね!」
そこで、レフィリーナちゃんはそのような提案をしてきた。
確かに、来てもらうばかりではなく、私達からも訪ねていくべきだ。
機会があれば、こちらからも行かせてもらおう。そうすれば、ラノアもレフィリーナちゃんも喜んでくれるはずだ。
「それじゃあ、またな!」
「またお会いしましょう!」
「お元気で!」
「また、会える日を楽しみにしているわ」
「ばいばい!」
二人が馬車に乗り込み、その直後に馬車は進んで行く。
こうして、私達は二人と別れるのだった。




