第30話 舐める遊び
私とクラーナは、レクリアさんとともに、ラノアとレフィリーナちゃんを見守っていた。
友達になった二人は、撫でるという遊びを始めた。犬の獣人特有のこの遊びを、レフィリーナちゃんは特に問題なく受け止めている。
だが、まだ少しだけ問題があるのだ。もう一つ、今やりそうな犬の獣人特有の遊びがある。それは、撫でるより遥かにハードルが高いものだ。それを、レフィリーナちゃんが受け入れらえるか、少し心配である。
「な、中々、楽しいですわね……ただ、撫でているだけなのに」
「そう思ってもらえるなら、良かったよ。でも、そろそろ次の遊びをしてもいい?」
「次の遊び? なんですの?」
そこで、ラノアは次の遊びに移るという宣言をした。
先程から、ラノアはきちんと確認をとっている。賢い子だ。そういう所がきちんとできているのは、とても偉いことである。
「その……舐めてもいいかな?」
「ぱ?」
ラノアの宣言に、レフィリーナちゃんは驚愕していた。
その驚きの声は、普通なら絶対にあげないものである。それだけ、動揺しているということだろう。
「犬の獣人はね、舌で好きな人を舐めたいと思うの?」
「それを……今から、やりますの?」
「レフィが駄目なら、別にいいけど……」
「……文化の違いですのね、きっと。それを受け入れないというのは、いけませんわ」
ラノアのすごい頼みを、レフィリーナちゃんは受け入れようとしていた。
文化の違い。犬の獣人の習性。そのように考える過程は、とても共感できる。私も、最初の頃はそのように思っていたことがあるからだ。
最も、私の場合は下心もあった。だから、今のレフィリーナちゃんとは、少し違うかもしれない。
「なんというか……大胆な頼みだな?」
「まあ、人間からすればそうよね?」
「まあ、そうだと思うよ……」
受け入れたということは、恐らく問題はないだろう。
一度受け入れると、案外楽しいと思えるはずだ。
いや、私の場合は下心があったため、レフィリーナちゃんがそうなるかは定かではない。最後まで、気を抜かず見ていた方がいいだろう。
「ペロ……」
「あっ……」
ラノアは、レフィリーナちゃんの頬をゆっくりと舐め始めた。
その感触に、レフィリーナちゃんは大いに動揺しているだろう。
だが、嫌がっているようには見えない。これなら、問題ないだろう。
「うおっ……すごいな」
「まあ、すごいかもしれないわね」
「レクリアさんは、そう思いますよね……」
レクリアさんも、この光景には流石に驚いていた。
確かに、これは端から見てもすごい光景だ。普段は、自分がされていたので、俯瞰で見るのは初めてなので、私も結構驚いている。
こうして、ラノアとレフィリーナちゃんは、無事に遊ぶことができたのだった。




