第29話 撫でる遊び
私とクラーナは、レクリアさんとともに、ラノアとレフィリーナちゃんの動向を見守っていた。
結果的に、二人は無事友達になった。そして、ラノアが遊びに誘ったのだが、その遊びの内容が、私はとても心配である。
「それで、何をしますの?」
「何をしようか?」
「決めていませんのね……」
今の所、二人の間には和やかな空気が流れていた。
しかし、ラノアの遊びの選択によっては、その空気は変わることになるかもしれない。
それが、とても心配なのである。ラノアは、どのような選択をするのだろうか。
「それじゃあ、撫でてくれる?」
「撫でる?」
「私の頭とか、撫でてもらえると嬉しいな?」
「そ、そうですの?」
ラノアがとった選択肢は、頭を撫でてもらうことだった。
その選択に、レフィリーナちゃんは少し不思議そうな顔をしている。
犬の獣人にとって、頭を撫でてもらうのは、立派な遊びだ。しかし、人間はそうではない。その差に、彼女は戸惑っているのだろう。
「レフィの奴、困惑しているな……」
「楽しそうね?」
「楽しいとも、あいつのああいう顔は、中々見られないからな……」
「二人とも、楽しそうだね……」
そんな二人の様子を、レクリアさんとクラーナは楽しそうに見ていた。
確かに、今は別に心配するようなことは何もない。頭を撫でるくらいなら、レフィリーナちゃんもそこまで驚きはしないだろう。
それに、これは彼女の性質を見極めることができる遊びである。これを気に入れば、大抵はなんとかなるはずだ。
「な、撫でればいいのですわね?」
「うん……」
「それじゃあ、失礼しますわよ」
レフィリーナちゃんは、ゆっくりとラノアの頭を撫で始めた。
それに対して、ラノアはうっとりしている。その可愛らしい顔に、レフィリーナちゃんは少し頬を赤らめている。
この反応は、いい反応だ。彼女は、犬の獣人との遊びも楽しいと思える人間であるようだ。
「ああ、なんというか、もう落ちているような気がするな」
「ええ、ラノアを気に入ってもらえたようね」
「うん、とりあえず、安心だね……」
「まあ、いい友達ができて、私もほっとしているよ」
これなら、もう心配することはないだろう。
いや、まだあった。もう一つ、ここからラノアがしそうな問題になりそうな遊びがあるのだ。
それを、ラノアがしようとするかはわからない。だが、もしした時、どうなるかはかなり心配だ。
これは、もう少し目が離せないかもしれない。




