第26話 叔母の娘は
私達の元に、叔母であるレクリアさんが訪ねて来た。
レクリアさんは、私と会えたことをとても喜んでくれた。姉の忘れ形見である私に会えたのが、嬉しいようである。
「さて、あんた達に紹介しなければならない子が、一人いるんだ」
「紹介しなければならない子?」
「ああ、せっかくだから、ここに連れて来たんだ。レフィ! 出てきていいぞ!」
再会を喜んだ後、レクリアさんは近くに止まっていた馬車に呼びかけた。
どうやら、あの馬車でここまで来たようである。話の流れから考えると、誰かもう一人がその馬車の中にいるのだろう。
そう思っていた私の目に、馬車から下りて来る一人の少女が入ってきた。レクリアさんによく似ている少女だ。その見た目から、その子が何者なのかは察することができる。
「こいつは、私の娘のレフィリーナだ」
「レフィリーナですわ」
私達の元に来たレフィリーナちゃんは、ゆっくりと頭を下げて挨拶してきた。
顔はレクリアさんに似ているが、その立ち振る舞いはまったく異なる。正に、高貴な家の出身といった立ち振る舞いだ。
「えっと、私はアノン。こっちはクラーナで、こっちはラノア。よろしくね」
「ええ、よろしくお願いしますわ」
私の紹介に、レフィリーナちゃんは笑顔で応えてくれた。
眩しい笑顔だが、それは作り笑顔だろう。それも含めて、高貴な家の出身らしいといえる。
「私、ラノアっていうんだ。よろしくね」
「あら?」
そこで、ラノアがレフィリーナちゃんの元に寄って行った。
恐らく、レフィリーナちゃんはラノアと同い年くらいである。仲良くしたいと思って、ラノアは寄って行ったのだろう。
ただ、レフィリーナちゃんの反応はそこまでいいものではない。なんというか、警戒しているように見えるのだ。
「なんですの? あなた?」
「え?」
「いきなり馴れ馴れしくしないでもらいたいものですわね。初対面ですのよ?」
「あ、え、うん……」
ラノアに対して、レフィリーナちゃんは少し引いていた。
どうやら、ラノアの積極的な態度が気に入らなかったようである。
「悪いな。こいつ、人見知りでな……」
「別に、人見知りという訳ではありませんけど……」
落ち込むラノアを、レクリアさんが励ましてくれた。
なんとなく察していたが、レフィリーナちゃんは人見知りであるらしい。
そういう人に対して、ラノアの態度は少し怯むものだっただろう。馴れ馴れしくされると、一歩引きたくなっても仕方ない。
こうして、私達はレクリアさんの娘のレフィリーナちゃんと出会ったのだった。




