第25話 突然の訪問者
私とクラーナとラノアは、いつも通り家で過ごしていた。
特に予定のないまったりとした時間、その時間は、私達にとってとても心地いい時間だ。
「うん?」
「あら?」
「あれ?」
そんな私達の耳に、家の呼び鈴を鳴らす音が聞こえてきた。
どうやら、誰かが来たようである。
とりあえず、私は立ち上がり、玄関に向かう。この町外れの家に訪ねて来る人は、ほとんどいない。一体、誰が来たのだろうか。
可能性が高いのは、リュウカさんのパーティの誰かかサトラさん辺りだ。私達の数少ない友人である彼女達くらししか、この家を訪ねて来る人はいない。
もう一つ可能性として、ガランの部下というのもある。彼等が来ると、大抵面倒なことを言われることが多い。できれば、こちらではあって欲しくはない。
「今、開けます……え?」
「よう。あんたが、アノンかい?」
私が戸を開けると、そこには一人の女性が立っていた。
背の高い女性で、雰囲気はリュウカさんに似ている人だ。
だが、もちろんリュウカさんではない。まったく見たことがない人である。
「私の名前は、レクリア。あんたには、ローレリムの三番目の娘といえばわかるかな?」
「レクリア……あ、そういえば、ローレリムさんから聞きました」
女性が名乗ってきて、私はその正体を理解した。
彼女の名前は、レクリア。ローレリムさんの三女で、私のお母さんの妹だ。
私から見れば、叔母ということになる。ローレリムさんから、存在だけは聞かされていたのである。
「会えて嬉しいぜ、アノン」
「えっ!?」
そこで、レクリアさんは私に抱き着いてきた。
急なことで驚いたが、私は彼女の体が少し震えていることに気づいた。
それが、感激であるということはなんとなく理解できる。この人は、私に会えて喜んでいるのだ。
「本当に、姉貴によく似ている」
「そ、そうですか?」
「ああ……」
よく考えてれみれば、レクリアさんはお母さんが家出してから会っていないはずである。
その忘れ形見である私と会って、このような反応をするのは当然かもしれない。
基本的に、姉妹の仲は良かったとキーラさんのお母さんから聞いている。だから、レクリアさんは色々な思いが込み上げてきているのだろう。
「それで、そっちのお嬢ちゃん達がお前の家族ということでいいのか?」
「え?」
そこで、レクリアさんは私の後ろに視線を向けてそう言ってきた。
その言葉に反応して後ろを向くと、クラーナとラノアがいた。どうやら、何かあったと思って、玄関まで来てくれたようだ。
「ええ、私がクラーナです」
「私は、ラノアだよ」
「おう。よろしく頼む」
私から体を離しながら、レクリアさんは二人に挨拶していた。
事情を知っていることから、クラーナもラノアも、結構早い内から様子を見に来てくれていたようだ。
こうして、私は叔母と出会ったのである。




