第20話 話すべきこと
私達は、ローレリムさん達に家の中に通されていた。
本来なら、私達が話をする予定だったのだが、今回は少し話が違ってくる。先に、ローレリムさん達の話を聞く必要ができたのだ。
「……まず端的に事実だけを言うとしようかね」
「……はい」
「あんたの母親、アルレムは私の娘だ。つまり、あんたは私の孫ということになる」
「……やはり、そういうことだったんですね」
ローレリムさんの口から放たれた言葉は、私が予想していた通りのものだった。
私のお母さんは、ローレリムさんの娘で、私はローレリムさんの孫。それは、紛れもない事実であるようだ。
「アノンが……お婆様の孫? つまり、私とアノンはいとこだったということですの?」
「ええ、そういうことになるのよ」
「それは……驚きだね」
キーラさんとサトラさんは、かなり驚いていた。
それは、当然の反応だろう。私も、キーラさんといとこだったとは思っていなかったことだ。
私があまり驚いていないのは、玄関でこの事実を予測できていたからである。なんとなく、事情がわかっていたからなのだ。
「アノンのお婆ちゃん……ということは、私にとっては……」
「ラノア、今はその話はやめておきましょう。色々とややこしくなってしまうわ」
「あ、うん……」
クラーナも、私の様子から大方察していたからか、それ程驚いていない。動揺しているラノアを、落ち着かせる余裕があるくらいだ。
クラーナが動揺していないことは、私にとってありがたいことだった。やはり、クラーナはとても頼りになる。私は、改めてそれを実感するのだった。
「何から、話せばいいのかね……あんたには、色々と話すべきことがあるとは思うが、中々頭の中は整理できないものだね……」
「……はい」
ローレリムさんは、ゆっくりと目を瞑りながら、そう言ってきた。
その気持ちは、とてもよくわかる。私も、たくさん聞くべきことあるはずなのに、中々考えがまとまらないからだ。
お互いに、話したいことや聞きたいことが多すぎるのである。それ程、私達は衝撃的な出会い方をしてしまったということなのだろう。
「まあ、とりあえず、あの子と私に何があったのかを話した方がいいのかね。それなら、あんたに話すべきことを話せるはずだろう」
「そうですね……それなら、お願いします」
ローレリムさんの言葉に、私はゆっくりと頷く。
お母さんから、母親と何があったのかは聞いていない訳ではない。
しかし、それをローレリムさんから聞くことで、何か得られるものがあるはずだ。
こうして、私はローレリムさんから話を聞くことになるのだった。




