第18話 目的の人物
私達は、ローレリムさんの家に向かっていた。
キーラさんの案内があるおかげで、迷うことはない。
ローレリムさんがキーラさんのお祖母さんであったことは、本当に幸運だったといえるだろう。
「さて、あそこが私の実家ですわ」
「あれが……」
キーラさんの言葉に、私は驚いた。
なぜなら、見えてきた家は、とても大きなものだったからだ。
キーラさんが、結構いい家の出身だということは知っていた。だが、実際にこのように家を見るのは初めてなので、驚いてしまったのである。
「今は、私のお母様とお祖母様があの家にいるはずですわ」
「そうなんですね」
どうやら、その家にはキーラさんのお母さんとお祖母さんがいるようだ。
私達が用があるのは、ローレリムさんだが、キーラさんのお母さんにも会うことになりそうである。
「さて、とりあえず、私が事情を説明しますわね」
「あ、はい。お願いします」
家の前まで着いて、キーラさんはそう言ってくれた。
身内のキーラさんから言ってくれれば、話もわかりやすくなるだろう。
キーラさんは、家の前で呼び鈴を鳴らした。だが、すぐに戸は開かない。大きな家なので、少し時間はかかるだろう。
「はーい……あら? キーラ?」
「ええ、お久し振りですね、お母様」
数秒してから、キーラさんによく似た女性が中から出てきた。
どうやら、この人がキーラさんのお母さんであるようだ。
「そちらの方は……えっ?」
「うん? お母様、どうかしましたか?」
そこで、キーラさんのお母さんは目を丸くした。
その視線は、明らかに私の方を向いている。
キーラさんのお母さんは、私を見て、驚いているのだ。
「あの? 私に、何かあるのでしょうか?」
「え? えっと、いえ、なんでもないですよ……」
「お母様? 私から見ても、お母様は少し変ですわよ?」
「ほ、本当になんでもないのよ……」
私やキーラさんの言葉にも、キーラさんのお母さんは変な反応をした。
明らかに焦っている。やはり、これは私に何か思う所があるということだろう。
しかし、キーラさんのお母さんと会うのは、これが初めてである。何故、このような反応をされるのだろうか。
私は、ガランの娘ということで、色々と嫌な目で見られたことはある。だが、一目見ただけで、私をガランの娘と見抜けるのだろうか。名乗っているならともかく、見た目だけで判断するのは中々難しいように思える。
「カーラ、どうかしたのかい?」
「あ、お母さん……」
私がそんなことを考えていると、家の奥の方から老齢の女性が歩いて来た。
恐らく、その人がローレリムさんなのだろう。
「なっ……」
ローレリムさんも、私を見て目を丸くしていた。
どうやら、キーラさんのお母さんもお祖母さんも、私に何か思う所があるようだ。




