第15話 掴めた手がかり
私は、クラーナとラノアとともに、ガランのアジトのとある人に話を聞きに来ていた。
その人が、レイコさんの待ち人らしき人について知っているらしいのだ。
「えっと……話を聞かせてもらってもいいかな?」
「は、はい、二代目」
情報を知っているのは、犬の獣人の女の子だった。
一応最高責任者の私が話を聞きに来たため、少し緊張しているようだ。
「あまり、緊張しなくてもいいからね。自然体で話してくれていいから」
「あ、はい……」
とりあえず、私は女の子を落ち着かせる。
まずは安心させるべきだと思ったのだ。
「ク、クラーナ? どうしたの?」
「別に、なんでもないわ」
「そ、そう……」
そんなことをしていると、クラーナが私の手を握ってきた。
もしかしたら、少し嫉妬しているのかもしれない。クラーナは、結構嫉妬深い所があるので、その可能性はある。
そういう所も、クラーナの可愛い所だ。不安そうに私に身を寄せてくるその姿には、私も痺れてしまいそうになる。
だが、できればクラーナに辛い思いをさせたくない。そのため、可愛いけどあまり見たいとは思えない姿なのである。
「実は、先日先輩と一緒に配達に出かけていたんです」
「あ、うん……」
私がそんなことを思っていると、獣人の女の子が話を始めていた。
どうやら、配達に出かけた時に何かあったようである。
「とあるお金持ちの家に寄った時、老婦人さんが私の顔を見て、懐かしいと言ってきたんです」
「懐かしい? それは、気になるね」
「はい。だから、私も聞いてみたんです。何が懐かしいんですかって」
配達先のお金持ちの老婦人は、この子を見て懐かしいと言ったようだ。
その話から、既にレイコさんの言っていた特徴に当てはまる部分はある。これは、期待できる情報かもしれない。
「そしたら、老婦人さんが昔親しい犬の獣人がいたんだと言ってきたんです。だけど、その子は亡くなってしまったとも言っていました」
「なるほど……」
老婦人は、親しくしていた獣人をなくしているようだ。
そのことも、レイコさんが言っていた特徴と一致している。
やはり、その老婦人はレイコさんの待ち人である可能性が高い。
「ありがとう。多分、それは私達が求めている情報だと思う」
「そ、そうですか? お役に立てて光栄です」
まだ確証はないが、この情報は検討してみる価値があるものである。
早速、その人の元に向かった方がいいだろう。確認して違ったら、それでもいい。とにかく、行動するべきである。
「その人の名前とか、どこに住んでいるかはわかる?」
「あ、住所は後で地図をお渡しします。名前は、ローレリムさんだったと思います」
「うん? ローレリム?」
そこで聞いた名前に、私は驚いた。
なぜなら、その名前は私が聞いたことがある名前だったからだ。
こうして、私はレイコさんの待ち人らしき人の情報を得るのだった。




