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パーティを追放されたので、犬耳獣人少女と生きていく。  作者: 木山楽斗
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第6話 夜中に目覚めて

 夜中、私は目を覚ました。

 私の隣には、ラノアとクラーナが気持ちよさそうに寝ている。

 そんな二人を起こさないように、私はベッドから抜け出す。


「うっ……」


 音をたてないように、私は部屋を出ようとした。

 しかし、私はその足を止めた。戸を開けた先にある闇を見て、少し怖く思ってしまったからだ。


「クラーナ……」

「ん……」


 私はベッドの側まで行き、クラーナに呼びかけた。

 気持ちよさそうに寝ているところ悪いが、起きてもらいたかったからだ。


「アノン? どうかしたの?」

「じ、実は……トイレに行きたくて……」

「トイレ?」


 私の呼びかけに応えて目を覚ましたクラ―ナに、私は用件を伝えた。

 私は、トイレに行きたくなってしまったのだ。


「怖いから、クラーナについて来てもらいたいんだ……」

「ああ、そういうことね」


 今日聞いた幽霊の話で、私はトイレに行けなくなっていた。

 一人で、トイレまでの道筋を歩むことなど、できそうにはない。

 そのため、クラーナについて来てもらいたかった。クラーナが一緒なら、きっと大丈夫なはずだからだ。


「いいわよ、行きましょうか」

「あ、ありがとう」


 私のお願いを、クラーナはすぐに受け入れてくれた。

 私は、立ち上がったクラーナの腕にゆっくりと抱き着く。

 これで、クラーナとくっついていられる。これなら、恐怖も和らぐはずだ。


「さて、それじゃあ行くわよ」

「うん……」


 私は、クラーナとともにゆっくりと廊下に出た。

 やはり、暗闇はとても怖い。だが、クラーナがいるおかげで、その恐怖も和らいでいた。


「こ、こういう時に限って、トイレに行きたくなるんだよね……」

「まあ、そういうことはわからない訳ではないわね」


 トイレまでの道のりは、そこまでない。

 そのため、すぐにつくことができた。


「さて、それじゃあ、私は待っているわね」

「うん……」


 トイレの明かりをつけ戸を開け、私は中に入っていった。

 しかし、その戸を閉めたくなかった。このまま戸を閉めれば、私は一人になってしまう。そんな考えが頭をよぎったからだ。


「どうかしたの?」

「えっと……」


 そんな私に、クラーナはそう問いかけてきた。

 トイレに入って、戸を閉めない。それをおかしく思うのは、当然だろう。

 だが、私には戸を閉めることはできなかった。やはり、怖いのだ。


「クラーナ、中に一緒にいてくれない?」

「え?」


 そのため、私はそのような提案をしてしまった。

 だが、こんな提案をするべきではなかっただろう。いくらなんでも、おかしな提案だ。


「いいのね?」

「えっ……?」


 しかし、クラーナはすぐにトイレの中に入って来て戸を閉めた。

 その迅速な行動は、私も驚いたほどである。

 だが、入ってくれたのはありがたいことだ。これで、クラーナが傍にいてくれる。少々恥ずかしいが、恐怖よりはましだろう。


「クラーナ、後ろを向いてもらえる?」

「それは、受け入れたくないわね」

「え?」


 そう思っていた私のお願いに、クラーナは不思議な返答をしてきた。

 受け入れたくないと言われても、それは流石に恥ずかしすぎる。そのため、できれば後ろを向いてもらいたい。


「も、もしかして……」


 そこで私は、クラーナの変化に気づいた。

 目の前のクラーナは、なんだかとても楽しそうだ。先程まで、若干眠たそうにしていたはずだが、すっかり目を覚ましている。

 そんなクラーナの表情から、私は一つのことを察した。だが、それはいくらなんでもまずいのではないだろうか。


「クラーナ、ここはトイレだよ?」

「大丈夫、問題ないわ」


 私の質問に、クラーナははっきりと答えた。

 これは、もう逃れようがないだろう。ここは、私も気持ちを切り替えるべきだ。


「仕方ないよね……」

「ええ……」


 こうして、私はクラーナとトイレの中で過ごすのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] > 目の前のクラーナは、なんだかとても楽しそうだ。 にこにこ(フレーメン反応)するクラーナを空見。
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