夢の謎
日記で見落としを確認する為会社へ戻ったのだが......。
ジュ-ンさんと別れた俺は、一度会社へ帰った。サヨコさんの日記を確かめる為だ。
「花崎さん、サヨコさんの日記は何処に保管されてるんでしたっけ?」
「あら速水君。どうしたの? 日記ならここで保管してるけど」
「良かった。ちょっと確認したい事がありまして。見せてもらって良いですか?」
「それなら中の空いてる机で読んだらどう? 持ち出すと紛失の恐れもあるし」
「そうですね。お言葉に甘えます」
経理部にはあまり顔を出さないんだけど、空いてる席って......大塚係長の目の前(汗)
「係長、失礼します!」
「おお、速水君。珍しいじゃないか」
「しばらく飛び回ってましたので。必要経費の申請もお願いして良いですか?」
「ん? また何処かへ出張か?」
「ええ。予定では王都へ向かって、必要ならルコムンドの街へ行こうかと」
念の為、大塚係長にも田村と話した内容を伝えた。係長はその話に相槌をうちながら言った。
「それは皆にとっても重要な話だな。わかった経費は出せるようにしておく」
「ありがとうございます! 何か分かれば良いんですが」
そう話をしていると、花崎さんが金庫からサヨコさんの日記を出して来てくれた。前に見た時は必要な部分しか読んでないんだよなぁ。日記って日常も書いてるんで、読み飛ばしたりしてしまうんだ。
「私は最初から読んだけど、ほとんどがその日にあった事だったわよ?」
「今回調べたいのは夢の話が、どの程度の年代まで書かれているかなんですよ」
「夢の話ってあのご主人が亡くなるとか、そう言う内容だったわよね」
「そうですね。年代が分かれば良いんですけど」
俺はそう言いながら日記を遡って行く。日記自体は20冊にも及ぶが、毎日書かれている訳ではない。ん? サヨコさんは年齢を書いてくれてるな。ってちょっと待て、夢を見なくなったって記述があるよ!
「ああ、完全に見落としてますね。ここの部分見て下さい。去年から夢を見なくなったって書いてますよ」
「え? ほんとだ! えっと」
―――どうしてだろう? 去年から夢を見る事が無くなった。あの方は何も言っておられなかったけれど、悲しい未来は無いって事なのかしら? どうか孫のサリナが元気に育ちますように。
「これってかなり重要な文面ですよ。この去年は......68歳! そう言う事か!」
「ちょっと何1人で盛り上がってるの? 説明をお願い!」
「サヨコさんがこの世界に来たのが18歳。そして夢を見なくなったのは、50年を過ぎた次の年からなんですよ」
「それってもしかして50年周期って事?」
「そうです。50年にはやはり意味があるんですよ!」
「速水君、それは本当か⁉」
そう言って大塚係長も確認に来た。流石にこうもぴったり符合すると、意味があるよな。
「すみません! 俺今から王都へ向かいます!」
「ちょっと速水君! お金忘れてるわ!」
「あっ!、す、すいません。今からなら最終に間に合うと思うんで行ってきます!」
「気を付けてね。アナマリアさんとイチャイチャしたらダメよ?」
「え⁈ し、しませんよ!」
花崎さんってまだ何か疑ってる? 俺は中村さん一筋ですよ? 確かにすっごい美人さんですけど。
「あれ? 速水君何処かへ行くの?」
「中村さん、お疲れ様です! ちょっと王都経由でメルボンヌ方面へ行く事になりまして」
「ちょっとだけ時間待てる? 私も行きたい!」
「一緒にですか? 俺も衣類とか持っていくんで少しなら待てますけど」
「私もすぐに用意するから!」
何だろう? 中村さんが行きたいって言うの珍しいな。でも二人旅なんてチャンスかも! ちょっと浮ついた気持ちになったが、いけない! 用意しないと!
適当に荷物を詰め込みかばんを背負ったタイミングで、中村さんがやって来た。え? もう一人いる。
「私もお供しますわ。速水様と一緒なんて滅多にありませんもの♪」
こうして俺の二人旅の夢は砕け散った。ま、まぁ仕方ない。今回は、俺と中村さん、そしてセラフィアが一緒だ。広報部総動員だな。3人は駅まで走った。
◇◇◇
駅に着くとまだ最終トロッコは止まっていた。何とか間に合った様だ。
「すみません。まだ席って空いてますか?」
「ん? 速水さん、王都ですかい?」
「ええ。今からだと明日の昼過ぎには着けるんで」
何とか空席もあり最終のトロッコで王都方面へ出発。停車する駅には夜遅くなったが、駅から街には入ることが出来た。宿も何とか取れ安心したよ。翌日は朝一番の王都方面へ乗り、予定通り王都へ到着した。昼食はまだだったが、ファリス教総本部にその足で向かう。
◇◇◇
ファリス教総本部~
「失礼します! 信頼雑貨の速水です。アナマリア様は居られますでしょうか?」
「速水様! すぐにご案内いたします!」
もう慣れたもので、シスタ-の対応も早い。急いでる時は助かる。
「失礼します。速水様がお越しになりました」
「どうぞ、入って頂いて」
「こんにちは。お忙しいところすみません」
「うふふ。何時いらして頂いてもよろしいのですよ? あら素敵な方も一緒なのですね」
「初めまして。中村 静香と申します」 「セラフィア・アルメリアです」
「中村様は初めましてですわね。セラフィア様はお久しぶりです。それで今日は?」
「はい。お伺いしたいのは、アナマリア様がみる夢の件なんです」
俺は過去の転移者が50年周期で現れている事、そして1人の転移者が夢を見ていたことを話した。
「その方は選ばれた方だったのでしょうね。ですが他国の事ですし......」
メルボンヌはサリファス王国の辺境の街だ。そうなると信仰する神も変わるって事?
「やはり信仰する神が違うのでしょうか?」
「あの国は『大地の神セレス』様を信仰されていますね」
「女神さまの夢を見られるのは、アナマリア様だけなんですよね?」
「この国ではそうなります。ですが代替わりは、50年と言う単位ではありませんね」
そうか、やはりメルボンヌにもう一度行かないとダメだな。それなら先ずはルコモンドへ行かないと。確か今は草薙さんも行ってるはずだし、丁度いいか。
「俺達はもう一度、メルボンヌへ向かいます。お時間をお取りしてすみませんでした」
「お力になれなくてごめんなさいね。何か分かれば良いのだけれど」
「いえ、サリファス王国で信仰されている神様が分かったので、とても助かりました!」
「ではまだ日が傾かないうちに、向かう事にします」
「お気をつけて行ってらっしゃいませ」
総本部を出た俺達はもう一度駅に向かった。慌てたので経路の確認してなかったんだけど、大丈夫かな? 駅について確認したら、やっぱり違う駅だった(汗)王都には路線が2つあるんだ。方面が違うと別の路線になるんだったよ。3人は慌てて教えてもらった駅に走った。先ずはルコモンドを目指す―――
やはり謎への道筋は簡単には見つけられ無い。だがヒントはあった。
ルコモンドへ向かう3人はメルボンヌで何か掴めるのだろうか?




