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補強工事と王都の変化

補強工事の進捗と変わって行く王都の状況は?

 同盟国との会談もあり、アルメリア王国も騒がしくなっていた。信頼雑貨の提案した外壁などの補強工事は、侵攻された場合に通過するであろうルコモンドの街、そして王都を優先して始まった。


「ここの城砦も堅牢だが、これでも危ないのか?」


「ルコムンド辺境伯殿、いくら頑丈と言っても岩ですからね。爆発で崩れると(もろ)いですよ」


「それでどう言った工事になるんだ?」


「まずは外壁部分なんですが、前面にこの様な構造で壁を増築します」


 鉄筋を使った壁を新たに設置するのだ。外壁にも補強の意味合いで鉄板は取り付けるのだが、試しに穴を開けてみた所ボロボロと崩れてしまった。厚さもあるので貫通させるとなると大幅に時間が掛かってしまうんだ。それなら新たに建設した方が早い。


「成程な。外壁については分かった。この一番上の部分が前に反っているのは、何か意味が?」


「ええ。外壁を登られない為ですよ。はしごなどを架けられないようにするためです」


「色々と考えられているんだな。侵入を防ぐためか、この考え方は面白い!」


「それと門扉なんですが、鉄製の物に交換します。既に採寸も終わりグランベルクで扉は製造してますので」


「しかし鉄の扉など重くて動かせないんじゃないのか?」


「そこは考えてあります。下部に車輪を取り付けて、開閉用のレ-ルを設置しますので」


 トロッコと同じようにレ-ルに乗る形で動かせる設計だ。土埃の心配もあるので、門扉周辺はアスファルト塗装も行う。この工事で一番悩んだのは溶接機が使えない事。電気がないので悩んだのだが、すべてボルトで止めれる様に設計する事で解決だ。足場部分は研究の結果、コンクリートに近い素材を配合できた。しっかり固めた上でアンカ-を打ち込み、さらに補強は行うのだが。


「出来上がりが楽しみだなぁ、草薙君」


「完成まで何も無い事を祈りますよ。俺らは戦争とか勘弁してほしいですから」


「その時はこの砦の精鋭が、必ず守って見せる。安心しておけ」




◇◇◇



 同じ頃、王都でも工事が始まっていた。王都は外壁工事と並行して、下水工事も開始していた。


「おーい! そっちの部品持って来てくれ!」


「はいはい。こっちで良いの~?」


「ビリ-! だらだらすんな!」


「だって重いんだよ! 俺も頑張ってる!」


 速水が助けたビリ-も頑張ってる様だ。スラム地区は解体工事が始まり、住居に使われていた木材などは撤去されている。匂いの染みついた土も一度掘り起こされ、下水管を埋め込んだ後アスファルトで覆われた。新たに建てられた住居になる建物は、現代で言うアパ-トに近いものだ。2階建ての住居はそれ程大きなものでは無いが、家族単位で住めるように割り振られた。ビリ-の家族も安心して住めるだろう。


「しかし建物が無くなるだけで、すっきりしたもんだな」


「宰相殿、言い方は悪いですが、ガラクタの山でしたからね。撤去すれば奇麗になりますよ」


「蓮見君と最初に取り壊しを見た時は参ったがな。土埃で目の前が真っ黒になった」


「あはは。私もあれ程とは思いませんでしたよ。マスクを二重にしても駄目でしたから」


「このアスファルトという物も凄いな。とても歩きやすい」


「ええ。工事しながら道路の整備も同時にやりますよ。これだけ働き手がいれば、日程通り運べますしね」


 スラムの解体工事に立ち会った宰相と蓮見は、開始当時を振り返っていた。ガラクタと言っても良い状態の住居を解体した際の土埃は、一時周辺を真っ黒に染めた。同時に匂いも凄まじかったんだ。解体が終わった今では、考えられないが。


「それであの公衆浴場? という物はこの場所以外にも作ってくれるのか?」


「配管工事が終われば設置場所は考えますよ。気になりますか?」


「それは気になるだろう? 大勢が入る風呂など見た事無いしな」


 今回新たに公衆浴場を設置したのには訳がある。ここの住民は風呂など入らないので、汚れたまま平気で過ごすんだ。衛生的に良くないので、急遽作る事になった。ある程度でお湯の入れ替えは行う必要はあるが、最初は嫌がっていた住民も今では喜んで入っている。


「工事で疲れた体も風呂に入ると吹き飛ぶんですよ」


「一度入ってみたいものだな。王都の民衆もかなり興味を持っていると聞いている」


「ファリス教の方々も作って欲しいと依頼がありましたよ」


 現状、この風呂は五右衛門風呂を大きくしたような物だ。浴槽を下から温める形なので、温度の調節は難しい。ガスも無ければ専門家もいないので、お風呂の改良は時間を掛けて研究中だ。せめて電気があれば良いが、発電施設を作る必要がある。今現在、国も協力して研究は進められているが、まだあと数年はかかりそうだ。


「外壁の補強工事はどうなっているのだね?」


「順調ですよ。王都ですからねぇ、他とは違い構造も頑丈に設計してます」


「そうか。君達の技術力は恐ろしいものだな。我々では考えつかない発想だ」


「まぁここの職人が研鑽を重ねれば、将来的に頑張ってくれますよ」


「育成の方も順調そうで何よりだ」


「皆、勉強熱心ですよ。常に新しい知識を吸収しようと頑張っていますから」


 学校で文字を覚え、新たな職業に就く者、又、職業訓練校で覚えた技術を活かそうとする者。加速的に民衆たちの意識は変わってきている。このアルメリア王国の発展が、この世界に与えていく影響は計り知れない―――



 

不気味なほど静かな帝国。今の間に工事が終われば一息付けるのだが......。


次話は他国の情報が入って来ます。グランベルクでも新たな発見?

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