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国との会議その③

次の案件は例の転移者に関わる話だ。

 下水工事に関しては2人の公爵の賛成もあり、当初の予定で進められる事になった。引き続き会議は次の議題に入る。


「では次の話だ。これは我が国、同盟国にも関わる重大案件なのだが......」


 宰相はバルトフェルトさんから聞いた話を、この場の貴族に説明した。


「何だって? 我々が聞いていた話と違うではないか!」


 そう声を荒げたのはエルモンド侯爵。俺達を含め伝わっていた史実では、内戦と聞いていた。


「エルモンド卿がそう言うのも無理はない。我々の認識では、あの地方(連邦)の小競り合いだと思っていた」


「それでその()()と言うのはどれ程の危険があるんでしょうか?」


「サダラ-ク卿、それについては信頼雑貨の皆に説明をお願いしようと思う」


 宰相からの指名に沢田専務が説明を始めた。


「私の認識では()()という物を用いた危険なものです。大きさなどにより変わりますが、一度の爆発で建物や多くの人間を吹き飛ばします」


 その発言にこの場の人間の顔色が変わる。ここから説明が来栖に変わった。


「火薬という物の成分は色々と種類がありますが、黒色火薬なら木炭・硫黄・硝石などを混ぜ合わせる事で作ることが出来ます。ただ取り扱いが非常に難しく、少しの揺れで爆発する危険な物なんです」


 一概に火薬と言っても数種類ある。と言っても成分に違いは無い。用途により含まれる量が変わるんだが。


「その様な物にどう対応すればよいのかね? 多くの国が降伏するようなものに対して我が国は?」


 うろたえた様子でそう言うのはハ-モニック公爵。ここで蓮見から提案をする。


「正直な話、どこまでの精度の物があるかは分かりません。ですが被害を抑える対策は出来るんです」


 そして外壁の補強などの話に移った。鉄板を使った補強。新たに鉄骨を用いた防御壁の建築。そして門扉の交換などだ。この話には多くの貴族から質問が飛んだが、現状で対策をするならこれ以上の案は無い。


「静粛に! 私もこの話を聞き、早急に手配が必要だと感じている。勿論、同盟国にも提案しようとも思う。異議のある者は挙手を!」


 この時点で異議など出るはずも無く、最後に国王が語りだした。


「ハ-メリック帝国に現れた転移者は、『幸運の君(ラッキ-ロ-ド)』などではない! 我が国はこの転移者を『破壊者』と認定。直ちに同盟国と連携し対応を行う!」


 国王の言葉に皆が賛同した。平気で人を殺すような人間を『幸運の君(ラッキーロ-ド)』とは言えない。すぐに国の使者が同盟国へ走らされた。そしてこの後、補強工事の打ち合わせも始まったんだ。


「では補強工事に関わる計画と、必要資材の手配等を信頼雑貨にお願いしたい。忙しいところ申し訳ないが、国からの要請をお受けいただけるだろうか?」


「そのつもりで参っております。では急ぎ手配を開始します」


 来栖さんは王都の外壁を見に行く事になり退出。この場は沢田専務と蓮見課長に任せ、俺はファリス教総本部に向かう事になった。




◇◇◇



 歩きながら考えた。社内会議では俺の考えていた最悪の展開は否定された。(銃とかの製作は専門知識が無いと無理だという事)これについては安心して良いのだろう。でも爆弾の存在は怖い。俺のイメ-ジでは地雷が設置されていてもおかしくないのだから。それに自爆覚悟で手りゅう弾的な使い方をする事だって考えられるし。そんな考えをしていたら、教会本部に着いた。



「こんにちは。アナマリア様は居られますでしょうか?」


「は、速水様!! お待ちください!」


 もうね、この対応に慣れて来た。普通の人間ですよ-!


「お待たせいたしました。速水様、今日はどうされたのです?」


「お忙しいところすみません。実は......」


 俺は先ほどの会議で決まった内容を話した。アナマリア様に話す事は国からお願いされたんだよ。


「そうですか。ファリス教としても看過出来る事ではありませんね」


「ただ、この事が民衆に恐怖を与えると思うんです。アナマリア様にお願いしたいのは、民衆がパニックにならない様に対応して欲しいのです」


「わかりました。でしたら私が皆にお話ししますわ」


 噂って広まるのが早いから、正確な情報が伝わりにくいんだ。国民に絶大な人気を誇るアナマリア様なら上手くやってくれるだろう。



「ではすぐに大衆の前でお話をします。速水様も参加してくださいね」


「え?! 今からですか?」


 アナマリア様は直ぐに枢機卿を呼び、慌ただしく準備が進められた。お願いはしたけど、まさか今からとは思わなかったんだけど......。




◇◇◇



 王都教会総本部前広場~



「皆さま、私の話を冷静にお聞きください。この国に魔の手が迫る可能性があります!」


 突然始まった、アナマリア様の演説。その姿を見ようと続々民衆が集まって来る。ちょっと集まるの早いよ? あっという間に大観衆なんだけど?


「しかし慌てる事はありません! この国には皆様もご存じの『神の御使い』、速水様がおられます!」


 だ・か・ら! なんでそこで俺を強調するんですか?! めちゃくちゃ見られてるし......。


「速水様! どうぞこちらへ」


「はぁ。わかりました」


 そこから今回の経緯、そしてそれに対抗するための工事の説明を行った。工事には皆の協力も必要なのでそのお願いもしたのだが、熱狂的に盛り上がった観衆にドン引きだった。


「皆さま、速水様と共にこの国を守りましょう! 私達をファリス様が見守っておられます!」


「「「「「ファリス様に感謝を!!!!」」」」


「「「「「アナマリア様!!!!!」」」」」


「「「「「速水様!!!!」」」」」


 熱狂的な信者たちは盛り上がっていたが、俺はまたもやアナマリア様に使われた気がした。これでファリス教は更に信者が増えるんだろうな―――



対策は直ぐに行われる事になる。どれだけ時間があるかは分からないが、打てる手は早い方が良い。


次話は同盟強化と広がって行く技術。

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