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国との会議その②

貴族会議に出席する事になったんだけど......

 翌日、俺達が止まる宿の前に1台の馬車が止まっていた。サダラ-ク公爵が迎えに来てくれたようだ。


「おはよう。一緒に行こうか」


「わざわざ来て頂き、ありがとうございます」


「良いんだよ。君達に聞きたい話もあったんだ」


 どうやら内密な話があるようだ。


「あまり時間がないから、端的に話そう。君達は選民主義についてどう思う?」


 その問いかけに、多分俺の言った事が原因かな? と思い発言しようとした。それを抑える様に沢田専務が返事を返した。


「我々は貴族至上主義について、反対はしていませんよ。思うところはありますが」


「思うところと言うと何かね? 是非聞かせてもらいたい」


「貴族の方々が領主として街を治める。領民は守ってもらう代わりに税を納める。この事は当たり前の事だと思います。しかし生まれや育ちで差別され、ただ搾取される人がいるのは納得できませんね」


「沢田君、差別とは言うがそれは仕方のない事じゃないのか?」


「そうですね、ですが生まれてくる子供にまで同じ(かせ)をはめてしまうのは違うと思います。典型的なのはスラム地区の問題です」


「そうは言うがね、スラムに住む者にも問題はある。あそこは犯罪の巣窟だ」


「公爵殿はけがを負い職を失った者には生きる価値が無い、と思われますか?」


「私はそうは思わないが、実際はそういう風潮はある」


「我々にはこう見えます。取れるだけ取って後は知らない。只の道具だとね」


 結構強烈にディスってる気がするけど? 専務もはっきり言うよね。だけど俺の考えも同じだよ。搾取される側の人権が守られてない。


「成程な。沢田君の言っている事は正論かも知れない。だが一部の貴族はその発言を良く思わないだろうな」


 まぁそうだろうね。貴族たちは自分たちが高貴な生まれで、民衆など視界にも入らないだろうしね。サダラ-ク公爵やライアン男爵が、他の貴族とは少し違うだけなんだよね。


 そんな話をしていると、王城に到着した。公爵がこの様な話を聞いてくるという事は、多分会議でも他の貴族から何か言われそうだな。




◇◇◇



 王城会議室~



 俺達が入室した時には参加者はほとんど着席していた。国王から始まり宰相、公爵、侯爵、子爵、伯爵まで揃っていた。


「では会議を始めたいと思う。先ずは王都の下水工事についてだが......」


 宰相が今回の工事の意味、進めたい方針などを順番に説明していく。ある程度説明が終わったところで手が上がった。


「質問よろしいですかな?」


「何だね? クランケ子爵。貴殿が質問とは珍しいな」


「スラムを解体すると言う話ですが、あの底辺の住民の為に大切な国費を使うなど納得できません」


「それについては先ほど説明したが、衛生環境の改善の為だ。病が広がる可能性も否定できんぞ?」


「それならこの国から追い出せばよいのではないですか? そんな事に私は税金を納められませんな」


 出たよ。そんな考えだから自身の街の住民が死んだ目をしているんだ。イライラしていた俺の肩をサダラ-ク公爵が叩く。


「私もよろしいですか? その件に関して思う事があります」


「サダラ-ク卿、思う事とは?」


「クランケ卿、貴殿はそう言うが、工事によって雇用が生まれ経済が動くとは思わないのか?」


「経済ですか? 私には理解できないですね。常に一定の税金を住民に納めさせれば良いでしょう。それを維持する為に不作なら重税していますから、私は国に貢献しておりますし」


「それで住人が減り、税金が減ればまた税を上げるのか? そのやり方だと街は死んでいくぞ?」


「そ、そうは言われましても父の代からやっていたことですし」


「先代のクランケ卿は、その様なやり方は行っておらんよ。不作の時は減税していた。それによって住民が頑張り今のように街が大きくなったと聞いている」


 それが本当なら先代は良い人だったのかもね。クランケ子爵はやっぱりだめだな。経営は出来ない人だろう。


「この場でその件についてはその辺りにしておけ。経済についてせっかく来てもらった彼らに話を聞こうじゃないか」


 国王がそう言い、沢田専務が話し出す。


「では代表して私がお答えします。お金が回るという事は、消費が増大し民衆の生活が安定してきます。それにより労働意欲も上がり税金として跳ね返ってくる。このサイクルが無いと国は疲弊していきます」


 それから当たり前の話が続いた。住民も手持ちのお金が無いと食べていけない。仕事が無いと収入にならない。安定した収入があれば、安心して物を買いお金を使う。こんな話を興味深く聞くこの国の貴族達。やはり意識を変えないとダメだろうな。


「とても興味深い話だった。だが街や国の財源を回すだけではダメであろう?」


 そう言ったのはハ-モニック公爵。まぁそれも当たり前だよね。


「その通りです。ですのでその街が他の街と、あるいは国が他の国と新たに商売を行う。又は既存の作物などの収穫を増やす必要があります」


「商売と言うが今の現状で何が出来るのだ?」


「我々は自社の製品を販売しています。ですが持っている技術は惜しみなくお伝えしますよ」


「その為の協力は惜しまないと言うのか。ならば私は今回の工事に賛成する」


 技術自体は職業訓練校を含め、今までも職人を育て教えて来た。これからもそれは変えないしね。


 少し話は脱線したが、公爵の賛成により他の貴族も下水工事について反対は無くなった。スラム地区の人間に対する偏見は、直ぐには無くならないだろうしね。時間が必要な問題だ。

 

 会議は更に進み、肝心の対ハ-メリック帝国の話が始まった。


 

スラム地区への偏見は貴族だけでなく住民の意識も変える必要があるだろうね。


次話で会議は終わります。

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