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問題に対応する為に

街に戻った速水は、会社へ報告に戻る。

 グランベルクに戻った俺は、すぐに報告に上がる。この問題は社員全体で話し合う必要があるからだ。


「失礼します。広報部の速水です」


「おお、速水君ご苦労様。どうした?」


「はい。今回の王都であった出来事をご報告に来ました」


「わかった。話してくれ」


 俺はまず宰相からの相談でスラムへ行った事、そこで俺が行った判断と発言、そして転移者の情報を順番に話した。専務は時折頷きながら聞いていたが、転移者の情報については苦い顔をしていた。


「そうか。スラムの件については良く言ったな。私でも同じことを言っただろう。それにアナマリア殿との人間関係も、上手く行っている様で安心したよ。だが転移者の件は気になるな」


「ありがとうございます。出しゃばった発言に関しては、私も反省しています。やはり問題は転移者の事ですねぇ」


「そうだな。今日の業務を短縮しようか。緊急で社内会議を開こう」


 そう言った専務は、総務部の人間に調整を頼んだ。店舗の営業時間を短くできるか? 確認しないといけないからだ。その間に管理職に召集をかけ、社内会議の前に意見を聞く事になった。



 各管理職が集まりもう一度今回の件を説明したんだが、やはり転移者の件は様々な意見が出た。


「その聞いた話だと爆弾は実際作れるのか?」


「清水部長、岡田君の話だと火薬は作れるみたいですね」


「蓮見君、それは本当か?」


「ええ、前の完成式典で花火を使ったでしょ? あの時に聞いたんですよ」


「でもそうなると爆弾の可能性が高まるな」


「高橋さんもそう思われますか。私も同意見ですね」


「大塚君も高橋君と同じ意見か」


「速水君はそうなると、別の物も可能性が出て来ると言っていたな?」


「はい専務。技術的な問題もあると思いますが、例えば銃火器を作っている可能性もあるのではと」


「蓮見君。その辺りはどう考える?」


「そうですねぇ。例え何年か時間があったとしても、無理だと思います」


「何故無理なんだ? ここなら作れなくも無いんだろう?」


「いえ、無理ですね。一般の銃のような精巧なものは作れません。火縄銃ならもしかすると? ってところですね」


 素人のイメ-ジでは作れる気がしていたんだが、蓮見さんが言うなら無理なんだろうな。すこし安心した。


「俺達はたまたまこう言う会社で工場もありましたけど、その転移者は違うでしょ? 機械も無く精巧な物を作るとなれば、それなりに発展した世界で無いと作成できないでしょう」


「だが爆弾も厄介だな。大砲などが万が一あれば、被害は恐ろしい事になるだろう」


「危険を承知で石を飛ばすように爆弾を使われると怖いですね」


「速水君に聞いた話だと、元属国の人間に使わせる可能性もあるのか......」


 管理職の会議では、これ以上の話は出なかった。その間に店舗などの調整が出来たようで、夕方早めには、社内会議が出来そうだ。全体で会議を行うので、今回は工場の広いスぺ-スを確保した。




◇◇◇



 工場に集まった社員の中には、新入社員の姿もあった。彼らはこの世界の人間だが、今後の事もあるので出席してもらった。


「ねぇ、速水君。まずはお帰りなさい。緊急らしいけど何かしら?」


「中村さん。お久しぶりです。ちょっと皆に聞いて欲しい内容なんです」


「なんか面白そう♪ まだやらないの?」


「ほんとでごじゃる。早く始めるです」


「ちょっと何でまた居るのよ?! 社内会議なのよ?」


「だってフランソワ達もいるもん!」


「あの子たちはここの社員なのよ!」


「中村さん、良いですよ。ファリス教も協力関係ですから」


 当たり前のように居るマリアさんとトミ-神父。もう慣れたし驚かないよ。皆の集まりを待ち、社内会議は専務が議長で始まった。


「急な呼び出しで済まない。今回の話は速水君から先ず説明をしてもらおうか」


「わかりました。皆様お疲れ様です! 実は王都でこんな事が......」


 スラムの話から転移者の情報までを話した後、質疑応答に入る。


「ちょっと良いですか? 経理部新田です。今の話だと戦争に巻き込まれる可能性ありますよね?」


「新田君、その可能性は否定できない。今の所、確かな情報は無いのでな」


「はい! 営業部大八木です。会社としてどう動くんですか? 俺はこんな場所で死にたくないですよ」


「大八木君の言う事はもっともだ。私だってこの世界で死ぬことは考えていない」


「はいはい! 工場の内藤です。他の国に逃げましょうよ! 俺も死にたくないです!」


「内藤君、我々には他国との付き合いは無いよ。それに逃げたとして、その国が受け入れてくれる可能性も絶対ではない」


「専務、俺からも良いですか?」


「蓮見君か。何でも言ってくれ」


「皆に言っておくが、例え爆弾であっても防げない訳じゃない。時間があるなら国境の砦、王都の外壁を強化すればある程度は防げると思うんだ」


「強化と言うと? そんな事が可能なのかね?」


「勿論、100パ-セント防ぐのは無理ですよ。ですが鉄筋で補強して外壁を厚い鉄板で補強は出来ますし、扉を鉄製に取り換える事も出来るでしょうね」


 成程、蓮見課長は防御を固める事を考えていた様だ。この短時間の間に色々と考えていたんだな。


「はい! 販売部のクオンです。僕も良いでしょうか?」


「クオン君、君達の意見も聞きたかったんだ。何かな?」


「これはお願いでしかありませんが、皆さん、どうかこの国の為にお力を貸して頂けませんか? お願いします!!」


「「「「「私達からもお願いします」」」」」


 クオン君が頭を下げ、それに続き他の新入社員も同じく一斉に頭を下げた。


「皆、どうだろうか? 我々もこの国には恩がある。出来る事はやりたいと私は思う」


 ......暫くの沈黙の後、皆は顔を見合わせながら立ち上がった。


「まぁ、確かにこの国の生活は楽しいからな。そうだろ? みんな」


 岩さんの問いかけに、この世界に来た時を思い出したんだろう。ため息をつきながらも次々に立ち上がる。なんだかんだ言って恩義は感じているんだ。逃げると言う選択肢を、提案していた人間も立ち上がったよ。


 最終的に全ての社員は立ち上がり、出来る事をするという決断に至った。専務と俺、蓮見課長と来栖さんの4人は、もう一度王都に向かう事になった。国と話し合いの場を作る為だ。動くなら早いに越したことは無いだろう。



速水「思ったほど意見は割れなかったですね」


専務「宣戦布告されたなら違う決断も必要だったはずだぞ」


速水「確かにそうですね。国の方で情報があれば良いんですが......」


確かな情報が無いまま社内会議を行ったが、アルメリア王国には恩義がある。今日明日に戦争が起こると言うのであれば、違う選択肢も考えたんだろう。


次話は王国との会議です。

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