表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/200

過去の戦争

バルトフェルトから語られる過去の事実。

 元ロンダ-ク王国の騎士、ロイター・バルトフェルドは語る。『ハ-メリックの栄光』として史実に記載された戦争の事実は、俺達を震撼させた。


「私の属していたロンダ-ク王国は、豊かな農地に恵まれ平和な国でした。私自身15歳で騎士団に入隊し鍛錬を重ね、18歳で第一騎士団の団長となり順風満帆でした」


 へぇ、3年で騎士団団長って凄いじゃないか。それだけの実力があったという事だな。


「当時、ロンダ-ク王国のあった場所は、大小様々な国々に囲まれておりました。その中にハ-メリック帝国もありました。私が団長になった頃は、各国が他国を侵略しない条約を結んでいたんです」


 俺達の読んだ文献では、そんな事は書かれていなかったな。内戦って書いていた気がする。


「私が団長になって3年ほど経った頃、ハ-メリック帝国が周囲の国々に対し突然宣戦布告。不戦の条約を破る行為に対し、各国は抗議の声を上げました。しかしその翌年、隣接する国に侵攻が始まったんです」


「わずかひと月で2か国を征服した帝国は、降伏勧告の文面を送ります。その内容は到底看過出来るものではありませんでした」


「どんな内容だったんですか? 無条件降伏とかでしょうか?」


「そうですね。降伏すれば命の保証はする。共に戦う国は反対する国を攻撃せよという内容でした」


 属国として対立する国を亡ぼすって事か。でもひと月で2か国を落とす戦力があれば、それまでの間でも戦争を起こす事が出来たんじゃないか? 俺はそんな風に疑問を持っていた。


「周辺国もそれなりに武力は持っていたんです。そんな言葉に従う事は無いと、一番近いリンデラ王国がハ-メリック帝国に侵攻したのですが、わずか3日で敗走しました」


「そのリンデラ王国って武力に自信があったんですか?」


「ええ、交流があった時代に剣術の大会があったのですが、常に上位に入ってましたね。『武のリンデラ』として有名でした」


「そんな国が負けたとなると、周辺国も危機を感じたでしょうね」


「はい。直ぐに情報を集めました。そしてハ-メリック帝国の指揮をした人物の事が分かったんです」


「それが転移者だったんですね? どんな情報だったんです?」


「侵攻したリンデラ軍の敗走者が言うには、突然周囲が吹き飛んだようなのです。炎に包まれるリンデラ軍に対し指揮する人物が放った言葉が、『帝国に歯向かうと吹き飛ばすぞ!』だったらしいです」


 まさか爆弾か? この世界に火薬などまだないはずだ。どの時代の人物なんだ? 


「その情報で周囲の国は降伏を決めました。それでも降伏しない国には、隣国により侵攻がはじまります。我がロンダ-ク王国は、その情報の真偽もわからないまま降伏など出来ませんでした」


「そうですねぇ。実際に見ないと分からない部分がありますから」


「降伏した国はリンデラが負けた事で、戦意を喪失したんだと思います。それに様々な情報の中にその人物が、『幸福の君』だと言うものもありました」


「文献の名前から見るとその人物は、我々と同じ世界から来たんだと思います。でも情報が少なすぎますね」


「私自身は騎士団の団長でありましたから、目の前に迫る軍隊に立ち向かうしかなかったんですが」


「その時の戦いで負傷されたのですね」


「ええ、激しい戦いでした。四方から囲まれ我が国は蹂躙されました。私は生きる事を優先し流れついたのがこの国だったんです」


 バルトフェルトさんからの情報から考えると、転移者であることは間違いないだろう。それと気になるのは、爆発物を所有している可能性だ。もしそうなら、銃などの兵器が開発されている可能性もある。戦争に勝利してから静かなのも、開発に時間が掛かっている可能性もあるな。


「速水様、何かお気づきですか? ずっと考えていらっしゃいますけど」


「ええ、その事でブラウン様とアナマリア様には後でお話があります」


 一通りの話を聞いた後、スラム地区の今後について話をした。工事の日程が決まり次第、バルトフェルトさんに伝える事にし今日は帰ってもらった。


「速水君、それで私達に話とは何だね?」


「速水様、私も気になっておりました」


「あくまでも可能性の話なのですが......」


 それから俺が感じた事、大量破壊兵器の可能性などを話した。宰相は顔色を変え、直ぐに情報収集すると言って城に帰って行った。


「速水様、もしも危険になった場合の事はお考えですの?」


「そうですね。私もそちらの方面に詳しくないんです。会社に帰って皆の意見も聞こうと思います」


「私は貴方の味方ですよ。お困りの事があれば、何時でもお話しくださいね」


「はい。その時はお力をお貸しください」


 最初に文献を調べた時に感じた不安は、悪い意味で的中した様だ。戦争に介入し人を殺傷するような人物が『幸運の君』? そんなわけないだろう? それに火薬の製造など一般人は知らないはずだ。不安と怒りを感じながら、会社へ急ぎ帰る事にした。多分、今頃王城も騒がしくなっているだろう。



 その日のうちに帰る事は出来なかったが、翌日の昼にグランベルクに帰った。この件について皆はどう思うんだろうか―――


 





 

 

知り得た内容は多くは無かったが、転移者の性格や知識などは分かった気がする。


次話は、荒れる社内会議。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ