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ここの教会大丈夫なの? 

朝からの訪問者は……

 朝、マリアさんと共にやって来たのは、若い神父様だった。彼は、ブラウンの髪をした中々のイケメン君であった……。 喋らなければね……。


「皆さん、おはようございます! ここで美味しい朝ご飯を頂けると聞いて飛んできましたよ!」


「えっと、今回のご訪問は、ご飯を食べに来られたんですか?」


 対応に出た大塚係長も困惑している。開口一番、ご飯たべさせろ! って普通は言わないよ? 


「うふふふ、トミ-ったらそんなにお腹すいてるの? 早く食堂へ行きますよ!」


合点承知がってんしょうち! さぁ、その食堂とやらへ行きまっしょい!」


 合点承知とか最近使う人居ないよ? ちょいちょい語尾が気になるなぁなんて思ってたら、マリアさんが中村さんを見つけて、腕を組んで引っ張って行った。俺も気になるから田村を連れて食堂へ向かったんだが。



◇◇◇



 俺達が食堂へ着いた時には、ニコニコ顔のマリアさんとトミ-神父が、山盛りのお皿を運んでいた。今日の朝食は、バイキング形式のようだ。トミ-神父もマリアさんに教えられて、フォ-クとスプ-ンを使って勢いよく食事を始めたんだが、その早い事……。食べ終わると次々におかわりしていった。その光景に社員達は、苦笑いだ。そこにやって来たのは、(がん)さんだった。


「良い食べっぷりだねぇ、どうだい味の方は?」


「とっても美味しいです! このバイキング!」


「バイキング最高でし! 誰にも渡しませんぞよ!」


「そ、そうか…… ちなみにバイキングはメニュ-の名前じゃないんだが……」


 流石の岩さんもこの二人には、押され気味だな。しかし、何度も言うが神父の語尾がおかしい。二人の食べっぷりを観察していたら、何故だろう? お腹がいっぱいになって来た。


「速水、気持ちは解らんでもないけど、朝はちゃんと食べなあかんで」


「あ、ああ。取って来た分は、ちゃんと食べるよ」


「ほんと、気持ちいい食べっぷりよね。私も何かお腹がいっぱいになってきたわ」


「く、倉木さん! お、おはようございますです!」


「どうしたんだ? 田村らしくないじゃないか?」


 田村が、ニヤニヤする俺を苦虫を嚙み潰したような顔で睨んできたが、満面の笑みで返しておいた。いい気味だ! やっとやり返す事が出来たよ。


「倉木さん、おはようございます。珍しいですね、いつもはもっと早いんじゃないですか?」


「今日は、少し寝坊しちゃった。昨日、久しぶりにシャワ-したら気持ちよく寝ちゃってね」


「く、倉木さん! 今日もお美しいです! ご一緒出来て光栄であります!」


「あら、田村君ありがと♪ 何も出ないわよ?」


 真っ赤な顔した田村って新鮮だなぁ。そう言えば昨日の選定会議どうだったんだろう?


「倉木さん、昨日の露店メニュ-の選定ってどうなりました?」


「ええ、それなんだけど、コピ-用紙大量にあるじゃない? だから鉛筆とセットで売っちゃおうかと思ってるんだ。紙も貴重品だけど、色鉛筆なんかもセットにしたら街の人喜ぶんじゃないかな」


「さっすが倉木さんやわ。目の付け所が違う!」


「そうですか。紙に関しても工房の人員がこの世界の樹木について調べてるようですしね。黒鉛は、手に入りそうだと言ってましたし、鉛筆何かを安価で販売する事は良いかもしれませんね」


「速水君! ちょっと良いかしら?」


 中村さんが、呼んでるみたいだ。すぐに行かねば! 二人に声を掛け中村さん達の座るテ-ブルへ向かった。


◇◇◇



「改めて紹介するわね。こちらのトミ-さんは、グランベルクの教会から来られました」


「はじめまして。私は、速水 慎一と申します。マリアさんには大変お世話になっております」


 そう言いながら名刺を差し出す。トミ-神父はとても驚いた顔で何度も俺の顔と名刺を見ていた。


「私は、トミ-です! こんな貴重な物を頂いちゃってありがとちゃん!」


「ちゃん? い、いえそんな大層な物ではございません。私達の世界での挨拶に使うものでして」


 必死に笑いを堪えながら中村さんの顔を見たら、お腹を抱えて笑っていたよ。笑った顔も美人です! それはさて置き、色々話を聞いて行くとこの街の教会は、王都から派遣されたトミ-神父とマリアさんを含む3名で運営されているようだ。信仰する神は、ファリスと言う女神様なんだとか。豊穣の女神様らしいんだが、やはり聞いたことのない神様だった。ファリス教グランベルク教会と言うのが正式名称らしい。社員調べでは、今いる国の名前は、アルメリア王国と言う名前で、グランベルク領を含む6つの領地のちょうど真ん中に王都がある事までは聞いていた。元の世界に帰るという目的があるので、生活が安定したら王都へ行ってみるのも良いかもしれないな。


「トミ-神父も講義に参加してくださるのよ。マリアと交代で来てくれるみたい」


「そうなのです! これで私も露店に参加できます!」


「それも交代でやりまっしょい! 私も参加したいんでげす!」


 大丈夫なのか? ここの教会。しかし、トミ-神父の喋り方は方言なんだろうか? 異世界補正がおかしいんだろうか? 中村さんは笑いっぱなしだから、俺だけ耳が変な訳ではなさそうだが。

 こんな感じで教会との関係は密になったんだ。それから週末までは、マリアさんとトミ-神父が日替わりで露店へ同行する事になる。勿論、法被も用意しましたよ? だって私もってうるさいんだよ……。

なかなか特徴的な教会だよ。街の人これで良いのか?

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[一言] トミ-神父いいキャラしていますね(笑)
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