変わるグランベルクの街
ここで新たな人物をクロ-ズアップ。
街が近代化して行きます。
街中の道路整備も順調に推移し、住宅街を除く主要の道がアスファルト舗装された。これにより街中を漂っていた土煙が減り、空気が良くなったと言われていた。
「ほんと街って感じがして来たな」
「うちの職人達凄すぎるわ。こんな会社やったんやなぁ」
「普段は小売り中心だったしな。社長のお蔭だよ」
「ほんまそれやな。困ったら工場、品管が頼りやし」
管理組合の事務所に向かいながら、田村とそんな会話をしていた。本当に工場や品管大活躍だよ。
「それにしても、舗装だけでこないに違うんか」
「そうだな。これならマスクも必要ないかも」
舗装前の街中は、視界を遮るほど土煙が舞っていたんだ。それが無くなるだけで、空気が良くなった実感がある。
「そういえば聞いたか? 街灯も試験的に建てるらしいで?」
「ああ、それは俺も聞いた。夜間に電池式のライトを付けるって」
「品管が研究してたらしいけど、どんだけ凄いんや」
「時計に使う目的で改良してたからな。その副産物って事だろう」
この世界の街は、夜になるとほとんど真っ暗だった。教会でさえロウソクだったしね。街灯があるだけで防犯にも効果的だし、明るくなることで新たな商売も生まれる可能性がある。
「高橋課長が男爵に、何か相談しているらしいぞ」
「営業部の長が、何か企んでんのかいな?」
「企むとか言い方おかしいぞ! 街灯の設置で何か考えがあるらしい」
ゴォーン! ゴォ-ン!
「お? もうお昼か?」
「そんな時間か。なら昼飯たべてから事務所に入ろう」
この街の教会には、時計が新たに設置された。今までの様にロウソクで計る手間が無くなったので、クリスタさんからは物凄く感謝されたよ。夜間の当番も無くなり、しっかり睡眠が取れる様になったって。
「何食べるんや? やっぱり米か?」
「そうだな。『ごはん屋』行こうか」
「よっしゃ、腹減ってるからめっちゃ食えそうや!」
『ごはん屋』と言うのは、うちの食堂の浜岡 久美子さんが出店したお店だ。『J-Style』の隣に出来たこの店は、アルメリア米の普及の為に出店を決めたんだ。
◇◇◇
「毎度! 浜岡さん来たでぇ-」
「あら、田村さん。いつもおおきに」
「浜岡さん、席どこでも良いですか?」
「速水さんもおおきに。好きな場所に座ってね」
店内にはこの街の住民の姿も多い。浜岡さんはとても人当たりの良い人で、社内では『お母さん』と呼ばれていた。岩さんも母の様に慕っており、この店の出店が決まった時にお願いした様だ。
「今日は何がオススメでっか?」
「そうねぇ。川魚の定食か豚汁定食かしらね」
「おっしゃ-! ほんなら豚汁定食で!」
「俺は川魚の方を。塩焼きですか?」
「煮魚もあるわよ。焼きも大丈夫」
「うわぁ、悩むなぁ。......よしっ! 今日は煮魚にします!」
「煮魚ね。今日は鮮度の良い魚が入ってたから、美味しいわよ-」
俺達が入ってからも続々と入って来る。職人や工事関係者も浜岡さん目当てで、この店にやって来るんだ。浜岡さんも営業上手だった件(笑)。
◇◇◇
所変わってシルバの街では~
「草薙さん、この配管はこのまま繋げて良いんですか?」
「おう! この配置図通りで埋めてくれ。北東の農地に向かう形で、中央からこう伸びるんだ」
「ああ、そうか。で分岐にポンプ場ですね」
「そうだ。勾配に気を付けて頼む。後は工事の途中でも水分補給忘れずにな」
「わかりました! 気を付けます!」
現在、シルバの街でも水道工事が始まっている。指揮するのは草薙 太一。彼も信頼雑貨の工場部門では古株だ。人を指導する事に長けていて、新人の教育係でもあった。初めての外部工事の指揮を執る人間としては、彼以上の適任者は居ないだろう。
「そろそろ入れ替えの職人が来る頃か」
「あっ! 草薙さん! バスが来ました!」
「わかった。到着したら打ち合わせするから、集まるように伝えてくれ」
草薙の目にもバスの姿が見えた。製作段階から携わって作り上げたバスだが、彼から見てもやり過ぎだと思っていた。
「うん。ありゃぁ、護送車だな」
車体各部に窓ガラス。勿論、強化ガラス仕様なんだが、窓の前面には格子状にフェンス。御社も外部から見えない様に工夫されている。30人乗りの護送車......。
「あれを欲しがる街の領主が増えてるんだよなぁ。分からんもんだ」
試験運用されたバスを見た貴族達から、すでにバスの発注も入っていた。多人数が移動でき、尚且つ安全なら欲しがるのは必然だろう。
「草薙さん! 職人集まりました!」
「わかった。すぐに行く!」
「皆、ご苦労さん。直ぐに作業に入ってもらうが、注意事項がある」
ここで下水道工事の注意点が説明される。一通りの注意点を確認した後、この工事に参加していた半数がレ-ル工事へ移動する。人手を分散させる事で効率化を図り、知識も吸収させるためだ。
「じゃあ、これで打ち合わせは終了する。各自持ち場へ移動よろしく!」
「「「了解です!!!」」」
こうして工事は問題なく進む。まだまだ一部が始まったばかりだが、工事により経済にも変化が起き始めていた。雇用と消費が生み出す経済効果は、アルメリア王国に更なる変化を生む事になる。
このお話でこの章は終わります。人物紹介を挟み新たな章へ移行。さて今後はどういった展開が待っているかお楽しみに♪




