街道整備と新店舗
引き続き『燃える土』から始まります。速水君鈍感野郎ですが、この社内恋愛果たしてどうなりますやら。後2話程でこの章は終わり新展開を迎えます。今しばらくお付き合いくださいませ。
またも忙しくなって来た信頼雑貨の面々。工場部門は忙しい最中だったが、街の道路整備を優先する事になった。これ以上街中の道が荒れるようだと、下水管の心配もあったからだ。
「とりあえず中央の通りから始めてみるか。確かにこの状態は不味い」
来栖は現場を確認に走ったのだが、ちょうど車輪が通る部分が凹んでいた。すぐに工場から『燃える土』と石灰石を砕いた物を用意し、混ぜ合わせた上で窪みに流していく。この作業の間に、蓮見が男爵邸を訪問していた。
◇◇◇
男爵邸~
「お時間をお取りして申し訳ございません。実は......」
蓮見から街の道路の状態と補修内容を聞いたライアンは、即決で予算を出す事を決める。
「この街にとって良い事だ。君達の技術は分かっているし、街の整備なら金は出す」
「そう言って頂けると助かります。この問題は、他の街にも関わると思います」
「そうだな。どうしても工事となると大量の資材が動く。わかった。国にも上申しよう」
この進言によって国も街道整備に動く事になる。この事で大量の雇用が生まれ、国が活性化していくのだが......。
◇◇◇
「どうだ? 乾いただろうか?」
「兄貴! どうせなら道全体に広げ無いんですかい?」
「勿論そのつもりだ。出来るならこの街全てやってしまいたいんだが......」
来栖が職人と会話していると、そこに蓮見がやって来た。男爵との話は終わったようだ。
「蓮見さん、如何でした?」
「ああ。男爵が予算を出してくれるよ。街の発展に繋がるからとな」
「そうですか。窪みに流した『アスファルト』は問題ありません。これなら街道全体に使えますよ」
「そうか。なら順番に進めて行こう。資材が通る道を優先して、空いた時間に他もやって行こうか」
「わかりました。製造メンバ-以外に余ってる人員を使います」
こうしてグランベルクの街に、アスファルト塗装の道路が出来て行く。徐々に近代化していくこの街。後は品管が研究している電気があれば、街灯も設置できるのだが―――
◇◇◇
急遽始まった街道整備が行われる中、街の一角では新たな店舗の準備が進められていた。
「ちょっと愛! これはどうするの?」
「静香さん、それはこっちの棚にお願いします」
「この靴可愛い-! 履いて良い?」
「マリア......後にしなさい!」
「ええ-、後で履かせてね-」
ここは『J-Style』が独立した店舗なのだ。今は開店に向けて商品の搬入が始まっていた。このお店の店長は倉木 愛。グランベルク1号店はそのまま営業するが、担当は別社員が行う事になった。
「ちょっと面接の人来てるんだけど?」
「千鶴さん! すぐ行きます!」
花崎も応援で駆り出されていた。このお店では、店員も街の女性を雇う。既に有名になったこの店で働きたい女性は、非常に多い。
「では飲食店で接客経験がおありなんですね? わかりました。採用します」
「ありがとうございます! やったぁ-!」
「うふふ。では明日から来てくださいね。まだ開店まで数日有りますが、準備と研修を行いますので」
「はい! では明日必ず来ます」
この様に一人一人面接を行う倉木。自分の目で雇う人間を決めたいと本人が進言した様だ。
「愛も大変ね。店の準備も面接もやって、その上デザインもあるんでしょ?」
「千鶴さん、大丈夫ですよ。私、今楽しいんです。こんな経験日本じゃ出来ないだろうし」
「それなら良いんだけど。あまり無理して身体壊さないでよ」
「あら? 千鶴が優しい?」
「静香......何か? 私はいつも優しいでしょ?」
「うーん。そう言う事にしておきますか。私はてっきり、上に居る人に会いに来たのかと」
「はぁ? それは静香でしょ! 速水君、上で作業してるもんねぇ」
「ちょ、ちょっと何の事かしら?」
「静香さん、千鶴さん! 上に丸聞こえですよ?」
「あ……」 「しまっ......」
この日、建物の2階では速水達が事務所の準備に追われていた。下の声は大きかったが、正直聞いている余裕など無かったのだが。
「なぁ、モテモテの速水君? うらやましいこって」
「ん? 何の話だ? 忙しいんだよ俺は」
「またまた-、そない急がんでもええやろに」
「お前は倉木さん目当てだろ? 下を手伝って来ても良いんだぞ」
「そ、それが出来ひんから、ここに居るんやがな」
「はぁ、それならこの机そっちに頼む」
「速水さんって鈍感ですよね」
「ジュ-ンさん? 何のことですか?」
「いえ、独り言です」
お気づきだろうか? この事務所の職員としてジュ-ンさんが採用されたんだ。信頼雑貨の商品が扱える事で、日本文化を知りたいと本人が希望したんだ。因みにこのギルドは国に申請を出して、正式に認可されたんだ。そして国からも補助金が出て、王都にも支部が出来る事になっている。そしてこのギルドの正式名称は、『アルメリア流通管理組合』と決まった。




