表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/200

武器は作らない。

日本人としてここは譲れない

 遺物の確認と街を見た俺達は、グランベルクへ向けて街を発った。男爵も合流しルコムンドの街へ向かうのだが、ジュ-ンさんも同行する事になった。日本人の血が流れる彼女は、俺達の作り出す物に興味をもったらしい。


「沢田殿は私の馬車で、今回の件を聞かせて貰えるだろうか?」


「はい。大丈夫です。今後のご相談もさせて下さい」


 ライアン男爵は直接見聞きしていないので、帰路の馬車で報告して欲しい様だった。男爵自身とても興味はあったが、プリべ-ト辺境伯が放してくれなかったらしい。俺達の乗る馬車にはジュ-ンさんが乗り、うちの女性達と仲良さそうに談笑している。華やかで良いものだなんて思って見ていたら......。

 

「なんや速水、鼻の下伸ばしてからに」


「なんだよ? 田村だって嬉しそうじゃないか!」


「女性が増えると華やかで良いじゃないか」


 俺と田村の話に珍しく蓮見課長が噛んできた。


「蓮見さんもそう思います?」


「俺も男だからな。普段は男連中に囲まれてるしな」


 そう言って笑う蓮見課長を新鮮な感じで見ていたんだが、そこに花崎さんが一言。


「蓮見さん、そんな事言ってると奥様に怒られますよ?」


「花崎、そう言うんじゃないんだが......」


 きっと場を和ませようとしたんだろうが、女性陣は怖い。俺と田村は苦笑いだった。

 


 そんなコムンドまでの道程も特にトラブルも無く到着。俺達の視界には、相変わらず立派な要塞が目に入った。


「思ったより早かったじゃないか。では私も話を聞かせてくれ」


「ルコムンド卿。お出迎えありがとうございます」


 ルコムンド辺境伯とライアン男爵、それに沢田専務と蓮見課長は、報告の為に連れられて行った。残った俺達は、中村さん、花崎さん、ジュ-ンさんの3人が夫人とお茶会に。俺と田村はパルマさん達と、この街に卸す物を相談だ。



◇◇◇



「それで知りたい情報は手に入ったのか?」


「ええそれなんですが......」


 沢田からルコモンド辺境伯に、今回得られた情報を話す。内容を聞き、難しい顔をしたその場の面々。


「まぁ君達の役割は、この世界にとっての希望となる物なんだろうさ。変に塞ぎこむ事も無いだろう」


「ええまぁ。沈んでいても解決策すら分からないですからね」


「話は変わるが、例の馬車作って貰えるのだろう?」


「はい。馬車に関しては製作させていただきます。しかし武器は作りません」


 蓮見と辺境伯は、メルボンヌの街に向かう前に話をしていた。そこで俺達の様な馬車を作る事、そして武器の製作について打診されていたんだ。


「やはり武器はダメか。何故か理由を聞いても良いか?」


「私達の住んでいた国は、過去に戦争を経験しております。そしてその教訓から、人を殺める為の物は持たないと言う考えがあるのです」


「では、もし侵略されたらどうするのかね?」


「対話による解決を目指したいと思います。この世界では、甘いと思われるかも知れませんが」


「確かに甘いと言わざるを得ないな。しかし君達の考えも分からなくもない」


 実際、住んでいた日本でも自衛隊の存在もあった。全く武器を持たないと言う選択肢もあったはずだが。


「本音を言うと、対話だけで解決は難しいと思います。ですが諦めてしまっては、世界から争いが無くなりません」


「それを分かった上での考えなら、それを尊重しよう。何、我々が君達を守るさ」


「私も君達を保護するよ。これはこの国の総意であるからな」


 辺境伯と男爵は、蓮見の話す言葉に何かを感じたようだ。武器の件は同行したメンバ-と話し合い、作らない事は決めてあった。この件は他の貴族とも、話し合わなければいけないだろう。




◇◇◇



一方、その頃速水達は......。


「それでこの街には何を卸すんです?」


「それなんですが、ルコモンド夫人が女性の化粧品が欲しいと言われてるようで」


「なんやそんな事言うとったな。化粧水やら風呂のセットやったっけ?」


 女性用の化粧品関係は、品質管理部門で試験的に作っているらしい。インクの研究と合わせて、石鹸に香り付けや何かも考えている様だ。この街までの距離もあるので、多くの物は輸送が難しい。


「現状、多くの商品は持って来られないだろうな。大量に運べる手段も考えてはいるらしいんだけど」


「職人が何か考えてるって言うてたで」


 この世界の流通を、もっと便利にする方法も考えられている。さてどんな案なのか......。




◇◇◇



 

 女性達はと言うと......。


「あら、これはいい香りがするのね」


「これは香草を利用した物です。汗をかいた時なんかに良いですよ」


 静香が夫人に渡したのは、匂い袋だ。これも品管に作って貰ったらしい。


「後は香水も研究していますし、石鹸も匂いの良い物を考えています」


「このお菓子は何と言うの? 美味しいわね」


「これはクッキーです。私の街では良く食べられてます」


 お茶会の席にジュ-ンが持参したのは、クッキ-。これもサヨコが広めた物らしい。甘すぎず素朴な仕上がりだ。


「これは懐かしい味ね。これなら直ぐに作れそうね」


「あら、千鶴って料理できたっけ?」


「静香! 私だってクッキーぐらい作れるわよ!」


「まぁまぁ2人とも、それぐらいで」


 静香と千鶴に割って入るジュ-ン。それを微笑ましそうに夫人が見ていた。



◇◇◇


 ルコモンドでの1日はあっという間に過ぎて行く。夕食にはこちらのお米も堪能した。例のアルメリア米だ。次はアリストの街だが、流石に公爵達は帰っているだろう。......多分。


武器を持つことに関しては賛否両論だろう。しかし異世界だからと言って人の命の重みは変わらない。


次話からは少し帰るスピ-ドが上がります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ