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メルボンヌの街

新たな謎もあったが、少しの希望と共に街を見る速水達。

 サヨコさんの日記で新たな謎は生まれたが、希望もある事が分かった。翌日、街を見て回る事にした俺達は、宿でパルマさんとジュ-ンさんに合流。街の案内をしてもらう事になった。


「おはようございます。では今日は私が、案内役を務めさせて頂きます」


「ジュ-ンさん、よろしくお願いします」


 ジュ-ンさんは、この街から行商に出ているんだ。世界の事に興味があったジュ-ンさんは、この街を拠点にしながら行商人をしているんだ。


「あの出店で売ってるんは、お好み焼きに見えるで!」


「田村さん、その通りですよ。曾祖母の時代から売ってるそうです」


「へぇ、あの店はパン屋さんだよね?」


「速水さん、そうですよ。かなり研究したらしいです」


 ジュ-ンさん曰くパンは当初、固いものだったらしい。それを柔らかくする為にかなり研究した様だ。


「あれは牛乳? でも牛なんて居たかしら?」


「中村さん、あれは山羊のミルクですね。この辺りは山羊が多いんですよ」


 乳製品も多く売っていた。極めつけはピザだ。


「なんとピザまであるのね。あのソ-スは何なのかしら?」


「花崎さん、ピッツァはこの街で出来たものです。パンの研究中に出来た物らしいですよ」


 俺達が街を歩いていると、行き交う人たちが会釈をし合っていた。どうやら学校で日本風の挨拶を教えていた様だ。食事の際の『いただきます』や『ごちそうさまでした』と言う言葉も、この街では常用されている。それと一番驚いたのは、お箸なんだ。この街の食事では、お箸が出て来る。器用にお箸を使う外国人に、何故か笑ってしまった。


「この街の人は、器用にお箸を使いますね」


「学校の給食で、使い方を学んでいるんですよ」


「ああ、それで納得しました。幼い頃から使っているんですね」


 お箸に給食。まるで日本の学校だ。西洋の文化と日本の文化が合わさって、現代の日本を見ている様だ。ただ建物なんかは石造りだから、不思議な感じなんだが。色々見て回った結果、この街にも文房具や歯ブラシなんかの日用品を売る事に決めた。紙はやはり貴重品で、学校の授業では木の板に文字を書くらしい。炭を利用した鉛筆もどきで、木に字を書くんだってさ。サンプルで持って来た鉛筆と紙に、とても驚いていたしね。


「それとこの街には、服を広めたいわ。女性が着る服もきっと流行ると思う」


「静香もそう思うんだ。ちょとこの街の女性は地味だよね」


 この世界の服事情は、貴族が着る服以外は地味だ。シンプルな物が多いのは、貴族とそれ以外の人の格差を表しているんだ。出来るだけ安価で、質の良い物を提供したい。


「主に食事に関しては、色々と研究されているみたいだね」


「曾祖母の時代からなので、粉物が多いですね。最近ではお米を使った食べ物もありますが」


「これはグランベルクでも参考にできるな。ただこの街も、衛生環境は良くない様だな」


 俺と蓮見課長は街を見ながら、色々考えた。この街はその立地から、多くの物が流通している。しかし衛生環境が良くないのと、保存が利かない食品も多い。やはり下水整備と水道は、早く必要になりそうだ。




◇◇◇



 速水達がメルボンヌの街の街を廻っている頃、グランベルクでは......。


「兄貴、そろそろこの工事も最終段階ですね」


「おう。パイプを埋める作業は、深く掘らないからな。それにこれだけ多くの人員だ。予定よりも早い」


「例の水道設備は、数か所準備出来てますぜ!」


「あいつら帰ってきたら、びっくりするだろうさ」


 来栖は工事が始まった段階で、ある事を考えていた。折角の公共工事なんだから、花が無いといけないとね。果たして何を考えているのやら......。



◇◇◇



 同じ頃、グランベルク1号店では、大声を張り上げてお客を呼び込む2人。


「みなさぁ-ん! 今日の特売はこの包丁(ほうちょう)!」


「あれよあれよと切れるでござるよ!」


 大勢の民衆の前で、実演販売する二人。日本のテレビでよく目にする光景だった。


「ちょっと、マリアとトミ-張り切りすぎじゃない?」


「美樹が提案したんでしょ? ケガしなきゃ良いけど」


「あれだけ練習したんだから、大丈夫でしょ。きっと」


 良質の鉄鉱石が入って来た事で、包丁やナイフなんかも製作出来るようになった。そこで販売するに当たり、担当を決める会議で手を挙げたのが2人だったんだ。社員の指導の元、使い方と売り方を練習した2人。今日はそのお披露目なのだ。


「それにしても、あの2人。教会の仕事忘れてるわよね?」


「もう今更じゃない? だって毎日いるもの」


「街の人も当たり前に受け止めてるもんねぇ......」


 店が開店してから、休み以外は出勤する2人。勿論、助かっているのだが、完全に本業を忘れていたのだった。



◇◇◇



 色々と見たメルボンヌの街。目的であった遺物の確認も終えた速水達は、明日帰る事になる。果たしてこれから速水達を待ち受けるのは、どの様な運命なのだろうか......。

目的を果たした一行は、グランベルクに向けて出発する。

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