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衝撃の事実と深まる謎 前編

衝撃の事実が明かされる!

 ルコムンドの街から出発する際、パルマさんの隣に居た女性にうちのメンバ-全員が釘付けになった。それもそのはず、その女性は俺達にとっても見慣れた容姿だったんだ。


「パルマさん。お隣の女性は......」


「やはり気になりますよね。こちらは、ジュ-ン・イトウさんです」


 目鼻立ちのはっきりした黒髪の女性は、やはり日本人の血が流れていたんだ。だってイトウさんだしね。


「初めまして。私も貴方たちの事を聞いて、是非会いたいと思っていました」


 ジュ-ンさんを俺達の馬車に乗せ、メルボンヌの街へ向かった。車内では彼女に質問が飛ぶ。


「それでジュ-ンさんは、文献に記載されているサヨコ・イトウさんの血縁の方ですよね?」


「ええ。サヨコは私の曾祖母になります。私の母はサリナ・イトウと言いまして」


「お母様にも是非お会いしたいですが、気になる事を質問させて欲しいのですが」


「どうぞ。私の知る範囲でならお答えできます」


「サヨコ様はご存命ではありませんよね?」


「ええ。曾祖母は私が生まれる前に他界しております」


「そうですか。文献でも100年前の記述でしたから、分かってはいたんですが」


「祖母がこの世界に来た年齢は、18歳だと聞いています。亡くなった時は、87歳でした」


 そこから詳しく聞いたんだ。この世界に現れたサヨコ・イトウさんは、メルボンヌの街に突然現れた。我々と同じように住んでいた家ごと現れたそうだ。当時のメルボンヌは食糧危機にあり、食べるものが不足していた。そこで小麦を使った食品をサヨコさんが考え、皆に広めた事で多くの住民が救われたそうだ。サヨコさんの功績はそれに止まらず、文字を覚えてからは学校を開き、学問を教えた。サヨコさん自身は、自分の事を女子大生と言っていたらしい。多くの住民が文字を覚える事で、新たな人材が育っていった。その後、教師時代に出会った男性と結婚しミドリさんを生んだのだが、戦争が起こりその男性は亡くなってしまった。それからは1人でミドリさんを育てながら、教師を続けていたんだ。ミドリさんも母を見習い学校の教師になったんだが、そこでサヨコさんの教え子である男性と知り合い結婚したらしい。そしてミドリさんが授かった子供が、ジュ-ンさんの母親であるサリナさんである。


「成程、サヨコさんはご苦労なされたんですね」


「曾祖母の話は、祖母からよく聞かされました。懸命に生きた人だったんだと」


 話を聞き、相当な苦労をされた事はわかった。だが彼女は元の世界に帰れなかったんだろうか? もしそうなら、俺達の今後も考えなければならない。亡くなった時の様子は、サリナさんが幼かった事もあり覚えていないそうだ。メルボンヌに着いたら、その辺りをミドリさんに聞きたい。それから到着までの間は、俺達の世界の事についての質問に答えた。ジュ-ンさんも曾祖母の居た世界が気になっていた様だ。




◇◇◇



 メルボンヌまでの道程は、ジュ-ンさんと話していたこともあり早かった。メルボンヌでは入国審査もあったが、男爵も居たのでスム-ズに入ることが出来た。俺達は宿をとり明日からの予定を決めた。


「それでは明日の朝に、イトウさんの遺物を見に行こうか」

 

 専務が言う事に皆は頷いた。その後、口々に喋り出す。


「はい。その後はこの街を色々見てみたいですね」


 蓮見さんはこの街が気になるようだ。日本人が居た街なら何かあるかもしれないからな。


「ジュ-ンさんの話は興味深かったけど、これからが不安になりました」


「速水、確かにな。帰る手段が見つかれば良いんだがな」


「私も不安になったわ。もし帰れなかったら......」


「静香、きっと何とかなるわよ。希望だけは持っておきましょうよ」


 皆、きっと何とかなると思っていたんだよね。だからこの世界で亡くなったという話に落胆したんだよ。




◇◇◇



 翌朝、宿を出るとパルマさんと一緒にジュ-ンさんも迎えに来てくれていた。ライアン男爵はこの街を治めるプリべ-ト辺境伯に、挨拶する為同行しない。案内されて向かった先に、古ぼけた日本家屋が見えて来た。家の作りから見て、我々の時代よりも昔の建物の様だ。その家の前には、年配の女性が立っていた。


「皆さん、あれが私の母のサリナです」


 紹介されたエリスさんも日本人に近い容姿をしていた。専務が代表で挨拶を済ませ、家に入れてもらった。建物は古くなっていたが、作りがしっかりしている。今すぐにでも住める建物だった。一度家の中を見させてもらった後に、応接間で話を聞く事になった。


「遠路はるばる良くお越しになりました。先程もご挨拶しましたが、サリナ・イトウと申します」


 それからエリスさんの知っている範囲で話を聞いたんだが、その内容は驚くものだった。


「本来であればここにミドリも呼ぶ予定でしたが、高齢なので休ませております」


 少し残念だったが、年齢を考えると仕方ない事だろう。ミドリさんはサヨコさんの最後を看取ったんだ。サリナさんはその時の話を、ミドリさんから聞かされていたんだが......。


「祖父母が亡くなった時、母も家に居たんです。この世界では珍しく長生きしていたんですが、最後は眠るように亡くなったそうです」


 問題はその後だった。サヨコさんが息を引き取った瞬間、サヨコさんの身体が透けて来たらしい。慌てた皆はすぐに駆け寄ったのだが、そのまま消えたんだそうだ。ベットに温もりを残したまま居なくなった事に、とても困惑したんだと。だがサヨコさんは別世界の人間だったので、何か納得した気持ちもあったらしい。その後家族だけで葬儀を済ませ、お墓も建てた。


 勿論、本人はそこに居ないんだが―――


1人の女性の人生を聞いた事で、俺達が恵まれている事を知る。しかしここで衝撃の事実が出て来た。

今後を左右する内容に困惑する一同だったが......。


後編に続く―――

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