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グランベルク1号店計画とライン工場

何やら計画が始動?

 拡大する販路と工場が忙しくなって来た為、街で出店していた露店を閉める事になった。既に認知と言う点では、成功していた我が信頼雑貨株式会社。次の一手は、街に店舗を構える事だった!


「なぁ速水。こないに大きな店舗を買ったんやなぁ」


「これからの事を考えた上で、上層部が決断したらしいよ」


「速水君は、物知りなのね。私も不思議に思ってたのよ」


「中村さん! 実は花崎さんに聞いたんですよ......」


「え? 千鶴に? 私に教えてくれてないよぉー」


「ちょっと速水君! 内緒だって言ったでしょ!」


「花崎さん! すいません。つい......」


「千鶴! 抜け駆けは許さないわよ」


「し、静香......そう言うのじゃ無いのよ?」


「あれは何のラブコメなのかしら?」 「さぁ? 見てて面白いから良いけどね♪」


「倉木さんも安田さんも、楽しんでまんなぁ」


「だって微笑ましいじゃない」 「田村君! 君も参加しないとね」


「安田さん? 何の事でっしゃろか?」「ふふふ。さて何のことでしょうね?」


 購入した店舗は通常の街の店舗よりも、かなり大きな面積なんだ。『信頼雑貨株式会社グランベルク1号店計画』と銘打って、社内で事業展開が発表されたのが1週間程前になる。引き続き転移者の情報集めも行われているが、かなり時間が掛かりそうなので、それならいっそ開き直って商売しよう! という声が上がったんだ。元々お祭り好きな俺達社員は、それから精力的に動いた。ギルドに協力してもらい、店舗の空き物件を探し今の場所を見つけた。本来は別々の店舗だった物を、壁をぶち抜いて1つの店舗にしたんだ。ここまで大きな店舗を選んだ理由は、自社製品以外に提携する商会の製品も売る為だ。そしてこの店舗でも街の住民を雇い入れるんだ。開店するのは、3週間後になる。それまでに売り場の整理と人員の確保だ!



◇◇◇



 その頃工場では、1つの喜びに沸いていた。少なくない時間を掛けて挑んだ挑戦が、ついに実を結んだんだ。


「来栖君、やったなぁ! こんなに早く実現するとは思わなかったぞ」


「蓮見さん。俺達だけの力じゃ無理でしたよ。集まってくれた、あいつらが居たおかげです」


「兄貴! やりましたね! こんなの見た事ねぇや!」「すげえよ! 俺達!」「いやっほい!!」


 ついに電気を利用したライン工場が稼働したんだ。ここまでに多くの失敗を重ねた。最初に風力で実験を続けたのだが、安定した風が中々捉えられなかった。気候の関係に左右されてしまう風力を諦め、次に水力を試した。一定した水圧を継続させる事に時間を要したが、敷地内に水路を作る事で解決できた。人工的な流れを作り、安定した水圧を得る事に成功したんだ。既に電球も製作出来ている。まだ小型化は出来ていないんだが、ここまで研鑽を重ねているのでいずれ可能だろう。


「これで大幅に時間効率が上がるな。下水道工事が1週間後から始まるから、ヒヤヒヤものだった」


「これまで製作した数では街の半分に満たなかったんで、これから間に合わせますよ」


「新たに建てた工場が、3つ。ガラス用、部品用、木工用か。既存の工場で馬車の作業で良いんだな?」


「ええ。ライン作業用のコンベアを移動させたんで、スぺ-ス空きましたしね。一番手間が掛ったんが、ガラス用の工場でしたね」


「耐熱を考えて壁を厚くしたんだよな。中の温度を下げる為に、どうするかが悩みの種だった」


「まさかの発想でしたね。中に水路を通すなんて考えは、俺では思い浮かばなかったですよ」


「いやいや、電気を生む実験を見て思い付いたんだよ。風は通せないしな」


「俺は風通しを良くすれば、解決すると思ってました。ガラス職人に怒られましたが」


「まぁな。高炉の熱が風で余計に上がるし、中で熱風が吹き荒れたら作業員が倒れてしまうよ」


「水路を通す事で高炉の冷却も出来るし、室内温度も下がる。これ以上の解決策はありませんね」


 高炉のある工場は、本当に高温なんだ。中での作業は、常に水分補給しないと倒れるよ。そういう意味でも中に水路があると便利だ。直接飲むのはおススメできないが、身体を冷やす事は出来る。


「そう言えば岡田の方も、進展があったらしいですね」


「そうなんだよ。時計に使える電池が出来たようだ。但しまだ1日しか保て無い様だが」


「時計なら交換で良いでしょう。せめてひと月は保つ電池が欲しいですが」


「岡田もそう考えているよ。より多くの電圧を得られる方法を考え続けている」


「ここに来てから、普段考えもしない事をやってますね」


「そうだな。しかし工場の連中は、今のこの感じ懐かしいだろ?」


「確かに。今の環境はやりがいがあって、生きてるって実感しますね」


 蓮見と来栖は今の環境に喜びを覚えていた。他の職人たちも気持ちは同じであろう。ライン工場が稼働した事により、子供を含む人員も本格的に働き始めた。噂を聞きつけた他の街からも、仕事を求め問い合わせが入っている。安定した収入を求めるのは、どこの世界でも同じという事だ。


 

 

遂に稼働した工場。忙しくなる社員達。次話は、下水工事の始まりです。

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