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まずはこれからの行動目標を話し合おう!

貴族が名刺交換!? 

出来上がった名刺を持って、領主であるライアン氏の館に訪れたのは、会談から3日後の朝だった。

今回は、俺と品質管理の岡田さん。それに女性代表で中村さんの3名で訪問した。



「こちらが出来上がったライアン様の()()です」


「おお! 待っていたよ♪ 昨日、隣の町の領主であるレオナルドの奴に話していた所だったんだ」


 詳しく話を聞いてみると、ライアン氏は男爵だったようだ。話に出て来たデラークと言う人は、同じ男爵なのだが、派閥があって常に相手より優位に立つことを意識しているようなんだ。ライアン男爵は、クラーク伯爵派で、レオナルド男爵はアリスト伯爵派なんだそうだ。これは、もしかしたら貴族の中で名刺交換が流行るかもしれない! と思いライアン男爵に提案してみた。


「ライアン様。この名刺を他の貴族の方にも紹介して頂けませんか? 勿論、この領地の品として」


「ふむ、私も思っていたのだよ。クラーク伯爵にも話を通しておこう」


「すみません。そのお話と別なのですが、実は衣料品が無くて困っているんです…」


 そう言ったのは、中村さんだった。確かに何着かの着替えは大半の人が、会社のロッカーに入れてあったので、洗濯しつつ使用していたが男はともかく女性は大変だろう。


「そうか。それならば、私が用意させてもらおう。それと、名刺の代金として金貨50枚を支払う」


 金貨50枚!? 日本円にして500万? オイオイ流石にマズくないだろうか。そう思って隣の中村さんを見ると口に人差し指を当てていた。言わないで良いって事ですね! 了解しました!(頷いた)


「それと商会の許可の方は、ギルドに声を掛けておいたから手続きはそちらで行ってくれ」


 ギルドと言うのは、色々な職種の協同組合の事らしい。街の中心部に建物がある様なので、一度会社に帰ってから行く事にしよう。とにかくライアン男爵のご厚意に感謝して今必要な事をやらないとな。この話の後、ライアン男爵は忙しいようで退席されたが、代わりに執事の方が入ってきたんだ。どうやら文字を教えてくれる人へのを紹介状を男爵から預かっていたらしい。中身を検めさせてもらったところ、教会のシスターさんのようだ。教会の場所も聞いたので、ギルドへ手続きに行く前に教会を訪問する方が良いかもしれないな。帰りに金貨の詰まった袋を持って来てくれたんだが、何か怖かったんで足早に会社へ帰った。



◇◇◇




会議室~


「では、速水君達も帰ってきたので、今後の事について皆の意見を聞こうと思う」


 議長は、清水部長だ。この人は、体育会系でリーダーシップがあるんだ。沢田専務に次ぐポジションだしね。


「それでは、現在の状況をお伝えします。太陽光発電システムですが、何とか復旧の目途が立ちました」


 工場の代表として蓮見課長から待ちに待った報告が入った。これでシャワーが使える。やっぱり熱いお湯が恋しいんだよ。

 会議室に入りきれなかった社員からも歓声が上がった。皆、考える事は同じだな。


「だが、得られる電力も限られているので使用に関して条件を付けたいと思います。条件については、各部門の代表者から後で聞いてください」


 まぁ、そうだよなぁ。太陽光発電ってそんなに万能じゃないよね。


「女性を代表して私から報告です。衣類について、ここの領主であるライアン男爵様から提供を受けられる事になりました!」


 中村さんからの報告に女性社員から安堵のため息が漏れた。良い報告が2つ続いたからね。


「今回、ライアン男爵に名刺分の代金をお支払い頂きましたが、食品や備品の購入に使用します。これについては思う事もあると思いますが、今後の事がはっきりしない状態なので我慢頂きたい」


 そう発言したのは、経理部門の大塚係長だ。真面目を絵に描いたような人柄。きっちりと七三分けした髪が気難しい印象を与える人なんだが、この人だから会社が傾かなかったと俺は思ってる。営業職の俺も、売り上げの計算何かでとてもお世話になってるんだ。不満の声が出るかと思ったが、特に意見を言うものも居なかった。まずは、衣食住が大事だもんな。使用した内訳も社内に貼りだされるらしいし。


「一番気になるのは、俺達は元の世界に帰れるのか? って事なんだが……」


 この発言をしたのは、食堂の調理を担当する岩本さん。通称”(ガン)さん”だ。見た目もがっちりしていて喋らないと怖い。とっても良い人なんだけどな。この発言で空気が重くなったんだが…


「それについては、調査チームを各部門から人数を決めて作りたい。まずは、身の回りの不安要素を失くすことから始めよう。必ず全員で元の世界へ帰ろう!」


 そう声を上げたのは、沢田専務。皆の顔も暗くなりかけたさっきよりも生気が戻って来たよ。


 この会議は、夕食の時間を跨いで夜遅くまで続いたんだ。皆、不安に思っていたことを口々に声に出し始めると止まらない様だった。全員で話しても纏まらないから、各部門で意見を纏める事にして1度目の全体会議はお開きになった。ああ、眠い。明日は、とりあえず教会に行かないと…。そう思いながら意識を失った。




まだまだ色々大変そうです。早く文字を覚えないと書類なんかが作れませんよね… 

チ-トさんどっかに隠れてないだろうか?

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― 新着の感想 ―
[一言] 岩さんってニックネームがなんか好きです笑
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