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ゴムの木の捜索と女性部門発足

グランベルクの街が騒がしくなってきました。

 パイプラインを製造するに当たり、問題になったのは接続部分。水漏れしてしまうと意味が無い。そこで国中の情報を集めたのだが、船などの防水には、木質タ-ルを使っている事がわかった。これは木を燃やして出来た成分を利用しているのだが、水を弾く事以外は万能でない。そこでゴムの木を探す事になった。工場部門の蓮見が、商人ギルドに依頼をかける。


「出来るだけ、暑い地域で探して欲しい。特徴は、白い樹液が出る。大きなものでは30メ—トル近くに育つ事もある木なんだ」


「オーク以外の木で、その特徴のあるものを探せばいいんですね?」


「ああ、だが種類も豊富にあるから1種類でなくていい。粘着質の樹液が出る木を探して欲しい」


 こうして国中の木が調べられる事になる。日本では観葉植物としても人気がある木なので、あるはずなんだ。ゴムの木が見つかれば、その多様性は色々な分野で活躍する事になるだろう。2週間程経過した頃、徐々に情報が集まって来た。そこでその樹液を集めて、乾燥させて貰えるように依頼した。


「出来るだけ大きな入れ物に樹液を貯めて欲しい。固めれば輸送も可能になる」


「固まるのも特徴なんですか? それならわかりやすいですね」


「それと果実の様な花をつける種類もあるから、出来るだけ多くの木を調べて欲しい」


 ゴムの木の大捜索が行われている間に、街にも動きがあった。鉄の加工と部品作りの始まったグランベルクの街には、各地から鉄工職人が押し寄せて来ていた。新たに職人が滞在できる宿舎の建設も始まったんだが、この世界の建築は石を重ねるだけなんだ。あまり意味のないモルタルも使われているが、不思議なほど頑丈に出来ている。石工職人の技術も侮れないようだ。




◇◇◇



 街の様子を眺めながら、ライアンは執事と話をしていた。


「かなり人が多くなりましたね。産業がこの国を動かし始めたんですかね」


「そうだな。あの商会が来てから、この街にも活気が出てきたようだ」


「そうですねぇ。『幸運の君(ラッキーロ-ド)』と言うのも頷けます」


「確かにな。次から次へ新しい物を出してくる。この街の成功は、私にとっても喜ばしい事だ」


「先代にもこの光景を見て貰いたかったですよ」


「そうだな。お前も父の代から仕えてくれているものな」


「はい。これからもよろしくお願いします」




◇◇◇



 所変わって信頼雑貨の社内では、新たに決まった裁縫チ-ムが集まっていた。ここには各部門から女子社員を中心に、15名ほどが選ばれた。


「では私、中村が議長としてミ-ティングを始めます」


「はい! この世界の下着や肌着は付けるのが大変です。特に紐が頼りないと思います」


「森田さん。そうねぇ、締め付けがきつくて日本人には向かないよね」


「そうなんです。腰とか拷問ですよ! 私達のデザインで変えていきたいです!」


「はいはい! 何か蓮見課長がゴムの木を探してると聞きましたが、それなら紐もいらなくなりますよね」


「栗田さん。そうなのよ。ゴムがあれば、簡単なスカ-トや衣類にも使えると思う」


「はい! それもそうなんですが、糸とかどうするんですか?」


「向井さん。それについては、ナタリ-商会から仕入れる事が決まってます。毛皮なんかもあるんだけど、ちょっと高いのよね」


「私も良いですか? 毛皮はこの辺り暖かいから今は必要ないですね。それより靴とか革製品はどうかと」


「田崎さん。そうねぇ、確かに靴とかも欲しいわね。うちの在庫も数が無いし」


 色々な意見が出て来たが、女性は特に服や下着を早急に作りたい。靴などは、職人の手配もしなければならないだろう。それと静香には、このチ-ムを通じてやりたいことがあった。


「それでは先ず最優先は、普段着る服と下着関係の作製ね。ミシンが無いから手縫いになってしまうので、人数を増やして行こうと思うの。街の女性と一緒にやらない?」


「良いですね!」 「女性の為の部門だ」 「女性の労働人口を増やすのだぁ」


「わかった。それなら高橋課長を通じて、雇用できるか相談します。その為の準備をこれから頑張りましょう」


 この事業でグランベルクの街から、新たなファッションが生まれて行く。ファッションの街としても認知されていくのだが、それはもう少し後のお話。



◇◇◇



 最近出番のないマリアとトミ-は、珍しく教会に居た。実は王都の本部から人が来ていたのだった。


「それでその商会に対して、我がファルス教が後ろ盾である発言をしたのかね?」


「えっと、あの時は貴族が横暴な態度だったからカッとなって」


「うんうん。僕も見てたけど、あれはおかしいでごじゃる」


「スミス司祭様。あの商会からは、月に金貨1枚のお布施も御座います。懇意にしても問題ないと思いますが」


「クリスタ君がそう言うのであれば、問題は無いのでしょう。しかし、教会は()()の立場と言う事も忘れてはなりません」


「わっかりました-! でもご飯は食べに行くよ!」 「しぶしぶわかったでおじゃる!」


「こら! 二人とも!」


「あはは......まぁ良いでしょう。本部としてもあの商会には興味があります。転移者がこの国に何をもたらすのか。何かあれば本部に連絡をお願いしますね」


 本来ファルス教は、争いには介入しない。国から保護されている理由には、その部分も大きいのであった。今回許されたのにも、教会としての思惑があるようだが、果たして......。


次話は、貴族の関係に変化? でございます。

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