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この世界の時計って?

これから製作する時計。でもこの世界の時間は何で計っているの?

 思わぬ情報を得て上機嫌で会社に帰ったのだが、何やら会議室の周りに社員が集まっていた。先ほど会った鉄工ギルドの面々と蓮見課長、来栖さんで時計について議論しているようなんだが......。


「一体どれ程の技術があれば、このような物を作れるんです?」


「いや私達の世界では、この時計が当たり前なんです。しかし作った訳ではありません」


「なんという技術なんだ! これほど細かい細工は見たことが無い! それに何ですかこの丸いボタンの様な物は!」


 ここで、説明を来栖さんに代わった。


「えっと、それはボタン電池と言ってだな......」


 彼らが驚いて見ているのは、腕時計だ。確かにこの世界の技術水準で作れるものじゃない。電池すらないんだから。


「この腕時計みたいな物は、今のこの世界では作れない。作るとすれば、水時計か重りを使った時計だな」


「水時計? 重り? それはどういう物なんです!?」


「えっとだなぁ。簡単に説明すると、水時計は水の落ちる水流を利用して時計の針を回すんだ。仕組みについては、図面を書くから」


 この世界で時間を計る方法は、一般的には火時計と言われる物なんだ。時計と言ってもそのものじゃない。30センチのロウソクが燃え尽きるのに大体4時間。それを目安に教会が鐘を鳴らすんだ。だから4時間に1回鐘が鳴る。夜も交代で鳴らすものだから結構大変なんだ。それに代わるものと言えば、砂時計。こちらは、3時間で砂が落ちるらしい。でもどちらも正確では無いんだ。火が消えたり砂が落ちなかったら、その分ずれてしまうからだ。彼らが驚いているのは、余りにも精巧にできた時計が至る所にあるからなんだ。


「それで重り時計は、歯車を回す原動力を重りが下がる力を利用して作るんだ。これも口で言っても解らないだろうから、後で図面を書くよ」


「そうですか。とても興味があります。この建物の中も見慣れない物ばかりで、違う世界に来たみたいです」


 そんな話の後、鉄工ギルドの面々と蓮見課長、来栖さんは工場へ向かった。多分、工場でも騒ぐだろうなぁ。見た事無い機械いっぱいあるし。しかし時計と聞いて、それだけの情報を知っている来栖さん恐るべしだよ。いったいどんな経験をしているのか? 今度聞いてみよう。皆が工場へ行った後、沢田専務の元へ向かった。




◇◇◇




「失礼します。速水ですが、沢田専務は居られますでしょうか?」


「速水君か。すぐにお呼びしますね」


 応対に出たのは倉木さんだった。あれ? 今日は露店じゃなかったっけ?


「あれ? 今日は露店じゃなかったんですね」


「そうなの。こっちの仕事が溜まってたんだよ。静香さんに代わってもらったんだ」


「そうなんだ。中村さんが露店に行ったのか」


「何? 気になるの?」


「え? いやいやそんな事無いよ? 何か田村に似て来たな 倉木さん」


「そう? 最近一緒に居るからかも」


 そんな世間話をしていたら沢田専務が出て来た。


「おう。速水君、何かあったか?」


「実は、男爵から情報提供がありまして......」


 ここで聞いた話を報告した。暫く何か考えていた専務だったが、倉木さんに蓮見課長を呼びに行かせた。


「そう言う事なら私も行きたいと思ってな。例の馬車がどれぐらいで実用可能か聞きたいんだよ」


「ああ、それで蓮見課長ですか。確かに人数がいる方が良いですよね」


「それもあるが、その転移者の女性がどの時代の人物か気になる。君達では読めない字を書いている可能性もあるからな」


「そうか。その可能性を考えていませんでした。あまりに達筆な方だと、多分読めません」


 暫く経って蓮見課長がやって来た。走って来たのだろう、息が乱れていた。


「蓮見君、すまんな。急がせてしまったようだ」


「いえ、大丈夫です。それで何か御用でしたか?」


「例の馬車の改造なんだが、完成までどの位なんだ?」


「今、馬車の足回りを取りはずして、構造を見ています。金物の加工は時間かかりませんので、問題になるのはサスペンションですね。高度な物は作れませんので、バネを使った物を考えています。強度と振動の検査もしたいので、約ひと月程度と考えています」


「そうか。わかった。忙しいところ済まなかったな」


「それは大丈夫ですが、何か急ぐ予定がありましたか?」


 そこで俺から先程の転移者の話をした。蓮見課長も興味があるようで、日程が決まったら同行したいと言い足早に工場へ帰って行った。


「あれも色々と興味があるんだよ。蓮見も元々は、工場の経営者であり技術者だからな」


「そうなんですか。あまり詳しく聞いた事が無かったんですよ」


「あいつは、人付き合いがうまくないからな。誤解されやすいんだよ」


 そんな話を暫くした後、俺は営業部の部屋へ向かった。露店を任せてしまっている分、営業の仕事をしないとダメだからさ。今後の方針としては、行商人のパルマさんと連絡を取って提携商会の人間と会合する。そして他の街へのル-トを開拓したい。時間はかかるが商品を選定して、何点かを先行して出すつもりなんだ。さて受け入れやすい商品は何だろうか? 会社のカタログを見ながらそう考えていたんだ。


時計製作と馬車の改造どちらも簡単には作れない。次話では資材の入手に関して詳しい話が出ます。

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