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会社ごと異世界に転移してしまったが、うちの社員は商売上手だった件  作者: 早寝早起き
変化する国々編(ハーメリック~ファインブル・グ-テモルゲン)
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宗教統合への道

大変お待たせしました!

 宗教団体が力を持つ構造は、俺達の世界でもあった。


 今いるこの世界は特にその力が強いと言えるだろう。


 しかし今回の信頼雑貨の支社設立に合わせ、各国で動きが始まったんだ。


 ハ-メリック帝国ではミネルヴァ教が。そしてアルメリア王国や他の国々でも時を同じくして。


「......という事は全ての国で同じようにですか?」


「そうね。私達教皇の総意なの。そしてそれは......」


 俺の問いかけにジャニス様はそう答えた。


 ここまで5ヶ国に渡り活動して来た事で、人々は女神ジュノ-の存在を認識した。


 この事により宗教の統一を目指すと言うのだ。でもなぁ......ジュノ-教の教皇って......


 そう考えながら目の前で豪快に眠るマリアさんを見た。


 ああ。リアル鼻風船とか初めて見たよ! それを微笑ましそうに見ている俺達。


「お、おほん。速水様が何を考えてるのかは理解できます。でもこれも女神ジュノ-様の御意思ですの」


「そ、そうですか。ま、まぁ俺達も出来ることがあれば協力はしますよ」


 とは言え直ぐに移行などできないので、じっくり時間を掛けての話になるだろう。


 実際、教皇である聖女様以外の教会関係者の中にも、教会の権力を笠に着る人間もいるからね。


 その意識改革の一環として、信頼雑貨の支社に教会関係者を登用という流れになったんだってさ。


「では基本的に教会の方々には、学校関係を希望される人が多いんでしょうか?」


「静香。そうでもないのよ。あなた達の商品って魅力的だからね」


「では店舗にも希望者がおられるんですか?」


「そうなのよ。マリアちゃんが可愛い服着てる影響もあると思うんだけどね」


 マリアさんは公の場以外では『J-Style』の服を愛用している。


 これにはうちの社員が率先的に着させている影響もあるのだが。まぁ本人も満更でもないらしい。


 それに繊維の方でも綿製品がかなり流通してきているんだ。デザインも俺達の世界に近い物だし。


「あっ! そう言えばエルファがソワソワしてるわよ? いつ来るんだって」


「えっとエルファ様って......一度お会いしてましたよね?」


「速水様。それは本人に言ってはいけませんよ? マ-ルス教の教皇です」


 エルファ様はグ-テモルゲン王国のマ-ルス教の聖女様だ。大きな声では言えないが影が薄い。


 決して目立たない人では無いんだけど、周りの方々が何か凄いんでね。


「この支社・支店計画が進んでいる間に、ファインブル王国の改革も一段落するはずですからねぇ」


「ではそう言う風に伝えておくわね。私達も少し忙しくなりそうだわ」


 そんな話をしながら今後の予定を確認していく。とは言っても俺達が行うのは人選だ。


 ハ-メリック帝国が建物や土地を準備してくれているし、改築工事の人員もいるからね。


 俺は各部門の面接日の日程を詰めて行った。職業訓練校の卒業生達も支社への入社希望者が多い。


 即戦力は魅力的だし立ち上げにはもってこいだろう。


 俺が意外だったのは教会関係者でも、手に職をつけたい人が居た事だ。


「へぇ。結構品質管理部希望者も多いんだな。研究職も花形何だろうか?」


「慎一さん。それは女性も同じよ。デザイナーを目指したい人も多いの」


「静香さん。そうなんですね。確かに今は女性の社会進出のチャンスですから」


 この世界でも多くの国で、男尊女卑の傾向はあった。聖女様は別だが。


 しかし俺達の店舗で働く女性をみて、憧れを描く人がかなり増えたと思う。


 良い意味で変化してきているとは思っているんだけどさ。


 ある程度日程が調整できた段階で、面接の為に来栖さんや倉木さん達を呼んだ。


 営業希望者や広報部門なら俺が面接出来るけど、他の部門はやはり専門じゃないとね。


 そして丸々3ヶ月を掛け、信頼雑貨のハ-メリック帝国支社が設立された。







◇◇◇







 一方その頃、ファインブル王国の王城ではちょっとした騒ぎが起きていた。


「一体どうなってるのだ! あまりにも遅いでは無いか!」


「おいおい。鼻息が荒いじゃないかデネブ殿」


「とぼけた事を! 今回の件は断固抗議させてもらう!」


 王城に怒り心頭で現れたのは、グ-テモルゲン王国の宰相リカルド・デネブであった。


 それをのらりくらり躱すのは、ファインブル王国宰相のアナハイム・メロ-。


 隣国であり年齢も近いこの二人は、お互いにライバル心を持っている。


 だが決して仲が悪い訳では無い。どちらかと言うと似た性格なのだ。


「とりあえず落ち着いてお茶でもしよう」


「くっ......まぁ良い」


 応接室へ移動した二人はソファ-で向かい合った。


「デネブ殿も大変よなぁ」


「メロ-殿、そう言うな。国の体面もあるのだから」


「で? 国王殿がしびれを切らしたのか?」


「いや。どちらかと言うとマールス教のほうだ。教皇が国王にせっついたらしい」


「聖女殿かぁ。それならば仕方のない事だな」


「どちらかと言えば大人しい方なのだがな。よほど待ち遠しいらしい」


 怒り心頭だったはずのデネブとメロ-は、笑顔で語り合う。


 王城関係者が今の姿を見たら、かなり驚く事だろう。


「まぁ来週には速水殿も戻られると聞いている。その前に蓮見殿がそちらへ向かう予定だ」


「そうか! なら大丈夫だな! 帰ったらその旨伝えておこう!」


 この後お互いの国の状況を話し、楽しい時間を過ごした二人の宰相。


 この1週間後、信頼雑貨の先遣隊がグ-テモルゲン王国へ出発した。





◇◇◇




 ファインブル王国での活動を終えた社員達が、グ-テモルゲン王国へ先遣隊として出発した後。 

 

 ハ-メリック帝国での支社設立を無事に終えた速水夫妻とマリアは、ファインブル王国へ戻って来た。


 時を同じくして田村をはじめとする他の社員達も続々と集結する。


「なんや。速水達もこのタイミングかいな」


「田村か。そっちも問題なく終わった様だな」


「まぁまぁ順調やったわ。いよいよやな」


「ああ。これで残す国は1つだ」


「これが終わった時どうなるんやろなぁ」


「うーん。また地震でも起きるのか......ちょっとその時までわからないな」


 全ての国々の改革や開発、そしてジュノ-教が統一宗教となる時。


 果たして日本へ帰れるのか? 俺達社員全員が不安に思っていた。


 でもあまり深く考えても仕方ない。まだやるべきことはいっぱいあるしね。


「じゃあ俺達も行きますか!」


「「「おー!」」」


 そしてグ-テモルゲン王国へ向け俺達は出発したんだ―――


 


 

次話から最終章の始まりです!

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