表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
会社ごと異世界に転移してしまったが、うちの社員は商売上手だった件  作者: 早寝早起き
変化する国々編(ハーメリック~ファインブル・グ-テモルゲン)
172/200

新しい娯楽

 速水達がルシャの街から戻って、更に半年が過ぎた頃。


 ようやくファインブル王国の流通も整って来ていた。道路工事も進みレールは王都まで繋がっている。


 この間にも発電設備の建設は進んで居るが、まだ完成までは暫くかかる見通しだ。


 この世界で電力がとても喜ばれている一つに、今までなかった夜間の営業がある。アルメリアやサリファス、そしてスレイブ王国では夜間営業の店舗が賑わっているのだ。


 それに対してハ-メリック帝国は未だ夜の店舗は少ない。まだ治安が安定して居なんだってさ。


「この国も夜に出歩ける場所があればええのになぁ」


「まぁ電力設備が無いと難しいだろうな。ランプかロウソクも良いんだけど」


「部屋飲みもええけど、やっぱり外で飲む酒はまた別もんやからなぁ」


「田村ってそんなに飲まないだろ?」


「酒に酔いたい時もあるんや! グランベルクが懐かしいんや!」


 あはは。田村の言いたい事も分かるけどさ。グランベルクなら今頃専務や部長が飲みに行ってるだろうな。エ-ルもよく冷えた物が出るし、街の大人が集まるから楽しいしな。


「日本のビ-ルが懐かしいわ! こんなぬるいエ-ルは飲めたもんやない!」


「そう言いながら酔うまで飲むなよ。倉木さんと何かあったのか?」


「愛さんとは上手く行ってる。仕事も忙しいから二人の時間はあんまり無いけど!」


「ならなんだよ? 店の方も忙しいんだろ?」


「なんて言うかなぁ。おもろないんや! ストレスたまってるんや!」


 ストレスが溜まるのも分からなくはない。この世界もこの国も娯楽が無い。テレビも無いしなぁ。


 カードゲ-ムもあるんだけど、もう飽きたんだよな。まぁこの国でも売れてるけど。


 何か新しい娯楽も考えないといけないな。と言っても俺も趣味が少なかったから、何が良いか想像もできないんだけど。






◇◇◇





 この国に来てから6日に1日は休む事にしている。落ち着くまでは週一の休みしか取れないけどね。


 この街の住人も特定の休みって無かったんだよ。王様が変わる時とか、飢饉で仕事が無いとかじゃ無いとね。


 それを俺達が来てからカレンダ-を作ったんだ。週6日制の5週でひと月。ひと月30日だからさ。


 最初の3ヶ月は慣れない人が続出したけど、身体を休める事に慣れた今はちゃんと休日として成り立っている。


 この世界は子供も働く事が当たり前だったけど、学校も出来てとても楽しそうにしているよ。



「大人も子供も楽しめる物って何なんだろうなぁ」


「速水君。どうしたの?」


「静香さん。この国にも娯楽になる物が欲しいなぁって」


「うーん。娯楽かぁ。大人だとお酒飲むところぐらいしか思いつかないわね」


「ですよねぇ。いっそ遊園地的な物を作って貰おうかなぁ」


「でも電力が無いと遊具も難しいんじゃないかなぁ。ただの公園なら良いけど」


「ですよねぇ。やっぱり電力が無いと難しいですよね」



 俺と静香さんが話していると、そこにやって来た安藤兄さん。俺達の話は聞いていた様で、面白い提案をして来たんだ。


「ならアスレチック公園とプ-ル作ったらどうだ?」


「え? アスレチック公園?」


「木と鉄で遊具は作れるし、子供ならジャングルジムでも喜ぶだろ? 大人もアスレチックで身体動かしたら楽しいぜ」


「確かに面白いかもしれませんね。それに暑い日にプ-ルもいいですねぇ」


「ああ。海は波が荒いし泳げないが、プ-ルなら安全だろうしな。どちらも怪我をしない様に注意は必要だけどな」


 俺はこの案をメロ-宰相に提案する事にした。予算の関係もあるし、国から補助が出れば新しい仕事にもなる。


 健康的な娯楽なら他の国にも勧められるよね。そのモデルがこの国に出来れば良いんだけど。







◇◇◇






 俺は静香さんと一緒に王都へ向かった。安藤兄さんはこの件を蓮見さんに伝えておくと言ってくれた。実際に計画が動き出せば、職人さんたちの負担が増えるしね。


 そして王城へ着いた俺達は、会議室へ通された。勿論、事前にアポは取ってます。



「速水殿、どうされたのだ?」


「メロ-宰相、お忙しいところすみません。実は提案がございまして」


「ん? 何か新しい提案だろうか?」


「ええ。実はですね......」



 そこから今回訪問した理由を説明したんだ。するとメロ-宰相は乗り気になってくれた。


 メロ-宰相自身も身体を動かす事は好きだが、運動と言っても走るぐらいなんだそうだ。兵士たちも訓練以外で身体を動かす事も無い。


 早速、国の会議で予算を組んでくれると快諾を得た。後は土地の確保と工事の正式な計画書を提出する事になった。


 土地の方は国に抑えてもらうのだが、細かな事は蓮見さん達と打ち合わせなければならない。



「じゃあ帰ったら蓮見さんと打ち合わせします」


「なら私は愛達と水着の製作を打ち合わせるわ。素材やデザインも考えて貰わないと」


「そうか。男性用も作って貰わないと駄目ですね。流石に下着では厳しいですし」


「そうね。速水君でも下着はちょっと」


 そんな会話をしながら静香さんの水着を想像していた。直ぐにバレて怒られたけど(あはは)


 街に戻った後、蓮見さん達と打ち合わせを行った。アスレチック公園で使う資材や職人の手配。そしてプ-ルの建設と総合デザインなど。


 蓮見さんも今回かなりやる気な様だった。アウトドア派の工場メンバ-が、既に遊具の案を出しているらしい。大人も子供も楽しめる遊具がどんな物か気になるよね。


 一方で水着の方も打ち合わせは進んでいる。水泳の文化が無かったこの世界でも、入浴の際に着る物はあったらしい。その素材を水着に活かしたいと張り切っているようだ。


 それを聞いてまたもエッチな想像をしてしまった。どうやら俺もストレスが溜まっているらしい。


 そうストレスが......。








◇◇◇







 この話が出てからちょうど3か月後、隣のウェックウッドと言う街に建設が決まったんだ。ちょうど畑として使えなくなった土地を活用するんだって。


 元々畑があった場所なので、水路もあるんだ。建築の条件的には最高の立地だよね。



 中央にプ-ルを作り、その周りがアスレチック公園になる予定。



 果たしてこの建設計画でどの様な施設が出来上がるのだろうか―――







身体を動かすって大事ですよね。健康維持にもストレス発散にもなる施設。


さてどうなることやら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ