表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
会社ごと異世界に転移してしまったが、うちの社員は商売上手だった件  作者: 早寝早起き
変化する国々編(ハーメリック~ファインブル・グ-テモルゲン)
159/200

マリア教皇誕生 前編

選挙運動の真っただ中に呼び出しを受けた俺達......

 帝国内で始まった皇帝選挙。国内の話題が選挙一色になる中、俺達信頼雑貨のメンバ-は、ミネルヴァ教の本部に呼ばれていた。


「速水様。お久しぶりです」


 俺の目の前に居るのは、アナマリア様。あれ? なんで此処に居るんだろう?


「暫くぶりですアナマリア様。どうして此方に?」


「驚くのはまだ早いですわ」「その通りです」「ビックリしてくれた?」「私って影が薄い」


 アナマリア様に続きルシ-ル様、イメルダ様、エルファ様、メ-ガン様の順番で出て来る。


 聖女大集合なんですけど? 俺以外の社員達も驚いて固まっている。


「うふふ。皆さんの驚く顔が見れましたわ」「ついでに私の紹介もしてよ? ジャニス」


 ロザヴィア様までいる。ほんと一体何事なんだろうか?


 会議室に集まったのは、聖女6人とロザヴィア様。それに信頼雑貨の9人だ。


「久しぶりだから色々と話もしたいんだけど。今回集まって頂いたのは、ジュノ-教の本部をこの国に置く事になったからなの」


「ちょっと待ってください。以前ジュノ-神の存在は、認知されていなかったんですよね?」


 話し始めたジャニス様に俺が質問した。確か3か国で行った実績でジュノ-様の存在が公になったはずだ。俺達の結果が反映されるなら、まだこの国でジュノ-様は知られていないはずだよね?


「はい。私達聖女も含めそれが当たり前でした。ですが先日女神からのお告げがあったんです」


「またお告げですか......今回はどの様なお告げだったのですか?」


「明確なものじゃ無いんですよ。こう感覚的な物で」


 うーん。いつもこう明確なお告げの話って聞かないよね。マリアさんの時なんていきなり踊り出したし。


 ジャニス様以外の聖女達も苦笑いをしている。


「なんやこう言ったらあれですけど、ファンタジーっぽくありませんなぁ」


「こら篤さん! 聖女様達に失礼でしょ!」「田村さん、空気読もうよ」


 田村の気持ちもすごくわかる。夢に女神が出て来てあ-だこ-だ言うイメ-ジだもんな。倉木さんや安田さんは違うのかな?


「おほん。皆様のお気持ちも分かりますが、そう言う物だと思ってください。話を続けますね?」


 ジャニス様は話を続けた。感覚的な物であるが、主神ジュノ-様の存在を認知できた。これにより各国でジュノ-様を祀る必要がある。それなら早急に神殿なども用意しなければいけないと言う話になったんだって。


「ちょうどこの国は新たな発展を迎えていますし、各国の中心に近い。ですのでジュノ-神の神殿をこの地に建てるのが一番という結論になりました」


「お話は分かりました。ですが私達は何をすればよいのでしょうか?」


「速水様以外の皆様には、今回の決定のお話と神殿の建築にご協力いただきたいのです」


 え? 今何か聞き間違った? 俺以外って聞こえたんだけど? 


「ジャニス様? 今速水君以外って聞こえたんですが?」


 静香さんがジャニス様に質問する。やっぱり俺以外って言ったよね?


「はい。速水様には後程ご説明いたしますが、お力をお貸し頂きたいことがありますの」


「すまない。ちょっと良いだろうか?」


「えっと、来栖様ですわよね? 何でしょうか?」


「神殿の建築って言われましたが、そこまでの建築技術は持ち合わせていませんよ。出来てもお手伝い程度になると思うのですが?」


 通常の建築ならこれまでも複数の物を作って来た。しかし神殿となると専属の職人が必要になるだろう。


「彫刻などについては、教会からも人員を派遣いたします。予算も各国の教会から出しますし、是非お願いできないでしょうか?」


「来栖さん、ちょうど蒸気機関車も帝国まで(じき)に入って来ますし、会社から人員補充したら良いんじゃないですか?」


「安藤、そうは言うがなぁ。お前も参加したいのか?」


「新しい物にチャレンジ出来るんならやってみたいですけどね。橋を架け替えた時に知り合った職人もいますから」


 あれ? 安藤兄さんはやる気なんだ。確かに職人の中では色々チャレンジしたい人もいるだろうけど。


「ちなみにこの国以外の国はどうするんですかね? 新たに教会も建てるんですか?」


「それについては各女神の像の隣に、ジュノ-神の像を新たに建てます。主神はジュノ-様ですが、女神信仰は変わりませんので」


 ジャニス様の説明では、世界の主神はジュノ-様だが各国で信仰されている女神は変わらない。ただ主神の神殿は必要なので、新たに建築したいと。


「分かりました。受ける方向で考えますが、一度うちの上司に相談させて下さい」


「そうですか。出来るだけ早くお返事いただけると助かります」


 多分会社は受けるだろうね。この世界でうちの社員達は『神の御使い』と呼ばれているし、俺達を呼んだのもジュノ-様だ。神の心象は良くしておきたいよ。


「ではそろそろ呼んで貰えるかしら?」


 ジャニス様が教徒へ声を掛けた。呼ぶ? って何だろう?






◇◇◇





 暫くして部屋に入って来たのは......勿論、マリアさんだ! 珍しく静かに入って来たんだけど?



「お姉さま方、ご無沙汰しております」


 は⁈ 誰⁈ こんな喋り方する人俺は知りませんけど?!


 静香さん達もマリアさんの様子に驚いている。一体何があったんだろう? これもジュノ-様に関係あるんだろうか?


「皆さま、どうかされました? 私はこれからジュノ-教の教皇として皆を導いて行かねばなりません。特に速水様は私を導いて頂かないと」


 何だろう。目の前の美少女にお願いされているんだが、どうも調子がでないな。もう何時もの元気なマリアさんのイメ-ジが大きすぎて、どう接したらいいか分からない。


「......」









「ってもう! どうして誰も突っ込まないの? プンプン!」


「ぷっ......もうだめ! せっかく我慢してたのに!」


 アナマリア様が吹き出して笑っている。それに続き他の聖女様も笑い出した。


「ビックリした。マリアが普通になったのかと思ったわ!」


「ちょっと静香ぁ! 頑張っってたんだからねっ!」


 暫くの間皆で笑ってしまった。聖女様達も頑張って普通にしてたんだけど、やっぱり無理だったみたいだ。


「もう! お姉ちゃん達もいつまで笑ってるの?! 激おこだよ?!」


「はいはい。ごめんねマリアちゃん。あまりにも見慣れないから」


 ちょっと待てよ? マリアさんが教皇って事は、神殿建てたらこの国に住む事になる?


「マリアさん、教皇になるって言う事はわかったんですが、グランベルクには帰らないって事ですか?」


「うん。だからトミ-に伝言を頼んだの! クリスタお姉ちゃんに伝えないといけないし」


「私から伝えてもよかったのに。トミ-と離れても良かったの?」


 アナマリアさんの言葉に俺も相槌をうった。マリアさんとトミ-神父って、セットみたいに考えてたんだけど。いつも一緒に居るイメ-ジなんだよね。


「トミ-はクリスタお姉ちゃんが大好きだもん! 将来結婚したいって言ってたし」


「え? そうなの? クリスタ姉は多分、弟みたいに思ってると思うけど......」


 あちゃ-。きっとトミ-神父の初恋だと思うし、頑張って欲しい。そうか、マリアさんはトミ-神父をどう思ってたんだろうか? 


「マリアも寂しくなるね。まぁ暫くは私達もこの国に居るけどね」


「静香はこの後何処か行くの?」


「私は速水君の側に居るよ? 別の国に行くなら一緒に移動するつもりだから」


「なら一緒に居れるね♪ 私も、はやみんから離れないし!」


 ん? どう言う事? マリアさんも着いて来るのか? 


「マリア? どう言う事かな? 一緒に他の国も回るの?」


「え? 私、はやみんと離れられないの! だって運命の人だもん!」


 はい? 突然の宣言に俺と静香さん含め固まった。唯一冷静なのは聖女様達だ。


 この爆弾発言から俺の役割が語られる事になるとは、想像していなかった。


 『導き手』と『特異点』二人の運命は複雑に絡み合う――― 






 





マリア教皇の誕生は分かっていた事だったが、マリアの爆弾発言に困惑する。


果たしてどう言う事なんだろうか? 後編へ続く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ