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会社ごと異世界に転移してしまったが、うちの社員は商売上手だった件  作者: 早寝早起き
変化する国々編(アルメリア~サリファス・スレイブへ)
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新たな産業?(速水サイド)

速水達がサリファス王国で活動を始めて4ヶ月が経過していた。

 サリファス王国の公共工事が始まり、4ヶ月弱が経った頃。


 道路整備は既に王都まで完了していた。


 何故これ程のスピ-ドで工事が進んでいるのか?


 これにはサリファス王国の農民の活躍と、来栖の秘策が関わっていた。


「しかし早いですねぇ。まさかこんなぺ-スで王都まで終わるなんて」


「確かにねぇ。工事のやり方の違いで、ここまで変わるんだね」


「牛さんとお馬さんがぎゅ-ん! ノシノシがぎゅ-んってなってたもん!」


 速水と静香が工事の感想を話していた。


 マリアの感想は、まぁ言い得て妙なんだが。


 この道路整備には、農業で使われる農機具が大活躍した。


 農地を耕す農機具を整地に利用したのだ。


 農地を耕す際、サリファス王国では牛を利用しレ-キを引かせていた。


 それに目を付けた来栖が、レ-キを改造し牛を馬に変えて引かせてみたのだ。


「来栖さん、これは本当に大成功でしたね」


「ああ、農業が盛んなこの国ならではのやり方だけどな。お前の提案した三圃式農業でも活躍するさ」


 実際にこのやり方は、中世の農業で行われていたそうだ。


 道路の整備に使われていたかは、分からないんだが。


「農民たちが積極的に参加してくれたのも大きかったよ」


「それだけ今回の事業が国民に期待されているって事ですよね」


「確かに作業されている人達の顔は、とても楽しそうだったわ」


「私も手伝ったんだよぉ! 牛さんはお尻が痛かったけど!」


「マリアは乗りたかっただけでしょ? 牛には乗っちゃダメ!」


「ええ⁈ 褒めてくれたもん!」


 マリアは手伝っているつもりだったようだが、牛は嫌がっていたよ。


 シスタ-にはこの国でも文句言えないんだし。


「後は順番に下水工事ですね。来栖さんは暫く王都ですか?」


「ああ。草薙に下水工事とレ-ル工事の指揮を任せてあるからな」


「そう言えばトロッコ列車も、メルボンヌまで到着したんでしたっけ?」


「ああ。蒸気機関車もアルメリアで運行開始した様だしな」


「そうなると物資の運搬が早くなりますね。メルボンヌに出したうちの店も順調ですし助かりますよ」


 メルボンヌの街には、信頼雑貨の店が開店している。


 従業員はメルボンヌの住人を採用し、花崎が店長を務めている。


 俺達も手が空いた時は店を手伝っているのだが。


「速水達も暫くこっちにいるんだろ?」


「ええ。俺は組合の事務所をそろそろ準備しようかと」


「私とマリアは明後日帰ります。千鶴に怒られますし」


「静香は、はやみんと離れたくないんだよねぇ!」


「ちょ、ちょっとマリア⁈ な、何言ってるのよ!」


 マリアの的確な突っ込みに真っ赤になる静香。


 それを見ながら恥ずかしそうな速水だった。


「それじゃあ、そろそろ俺は打ち合わせに行って来るわ!」


「来栖さん、頑張って下さい!」「行ってらっしゃい!」「バイばぁ-い」


 来栖は今後の工事と金物製作の打ち合わせがあるようだ。


 俺達は来栖を見送った後、管理組合の本部となる建物へ向かった。




◇◇◇




 流通管理組合の本部となる建物に到着した3人。


 事務所となる1Fには、すでに机なども準備されていた。


 管理組合の組合員として、この国の行商人達が多数登録されている。


「こんにちは! お久しぶりです!」


「え⁈ パルマさん⁈ どうしてここに!」


 速水達の前にアルメリアで懇意にしているパルマが居た。


「私は元々この国にも出入りしているんですよ」


「そう言えばパルマさんの商会は、各国にあるんでしたっけ」


「まぁ私の商会なんて大きくないですけどね」


「あはは。でも知り合いがいると助かりますよ」


「速水さんとは長いお付き合いになりそうですからね。実は今日来たのは、お耳に入れたいお話がありましてね」


 パルマはそう言い、俺に伝えたいと言う話を話し出した。


 その内容はとても興味深い物だった。


「この国で生産されている絹を、グ-テモルゲン王国がとても気に入っているらしいのです」


「確かにこの国で作られている絹製品は、質が良いと言われてますけど。ですが生産量は知れてますよ?」


「何でも王族の方が大層気に行っている様で。流通経路が確保されれば、一大産業になるんじゃないでしょうか?」


「流通経路ですか......でもそれにはハ-メリック帝国を通過しないといけませんしねぇ」


「そこが問題なんですが。速水様達なら何か良い方法を考えられるかと」


 その話を聞いてた静香さんは何やら思い出したようだ。


「その話を聞くとシルクロ-ドを思い出したわ♪」


「え? 静香その食べ物美味しそう!」


「マリア、残念ながら食べ物じゃないの」


 マリアさんは置いといて、シルクロ-ドねぇ。


 あれって陸路と海路を使って、某国が広めたって言う絹の通り道の事だよね。(にわか)


「パルマさん。この世界で船を使った輸送は一般的ですか?」


「船ですか? 漁船の方はそれなりにありますが、大型船はそれ程ありませんねぇ」


「と言うと海に問題でも?」


「これまでに何度か船で他国へ向かったらしいのですが、どれも失敗してますねぇ」


 うーん。確かにこれまで海には近づいてなかった。


 俺達が普段、船を使う習慣が無いって言うのもあったが。


 一度、海路の方も考えるべきなんだろうか?


 それに絹ねぇ。養蜂ならぬ養蚕も産業として成り立ちそうだな。


「パルマさん。ありがとうございます。ちょっと考えてみますよ」


 空路が難しいと言う話は、来栖さんから聞いていた。


 ハーメリック帝国の内部が落ち着くまで、あの国には入国できない。


 それなら別の方向も考えた方が良いのかも知れないな。


 俺はパルマさんと話した後、海路についての情報を集める事にしたんだ―――









パルマからの情報により速水は新たな流通経路について考え始める。


次話はこの世界の海。

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