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会社ごと異世界に転移してしまったが、うちの社員は商売上手だった件  作者: 早寝早起き
変化する国々編(アルメリア~サリファス・スレイブへ)
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ギャラン1号店の開店(田村サイド)

スレイブ王国で初出店となるギャラン1号店の開店向け大忙しの面々

 田村達は『ギャラン1号店』開店に向けて大忙しだった。店員としてギャランの街の住民を雇う事にしたのだが、田村達の想像を超える応募があったのだ。


「しかしこないに応募があるとはなぁ」


「新しい物はこの世界でも敏感なんじゃない?」


「グランベルクもこんな感じだったじゃない」


 田村と倉木と安田の3人は、面接を担当したのだ。


 男性・女性・子供と幅広い応募の中から、実際に選ばれるのはごく少数だ。


 今回の面接では倉木の提案でちょっと変わった面接方法も試されていた。


「これなんて、ええんやないですか?」


「才能を感じるわ」「確かに。これは良いよね」


 田村達が見ているのは、この世界でも共通の花の絵だ。この国でも学校建設の話は出ているのだが、すぐに実現するかは分からないのだ。


 そこで絵本での学習を考えた倉木は、面接で絵の才能を持つ者を探していた。


「うんうん。この子は採用しましょう♪」


「そうでんなぁ。うらやましいですわ」


「田村君は才能ないもんね!」


 この様な感じで人選は進んで行き、店舗の人員は確保される事になった。


 一方で『J-Style』の裁縫部門でも募集は行われていた。


 こちらの方は単純に裁縫が出来る者であれば良いのだが、森田と栗田は独自の考えがあった。


「洋子もたまにはいいこと考えるじゃない」


「恵は私の事どんな風に見てるのよ?」


「え? ちょっとあれな......」


「何でよ! これでもちゃんと考えてるわよ?!」


 そうは言っても別に特別な考えがある訳ではない。男性女性問わず雇い入れるつもりだが、意外と子供も裁縫上手な子が多かったのだ。そこで母子家庭や父子家庭の子供を多く雇い入れる事にしたのだった。


「家計を支える子供達は優先的に雇いますからね」


「はいはい。これでスラムの子供も雇えるもんね」


「あの子たちの為にお風呂が欲しいわね」


「安藤さんに頼んで公衆浴場を作って貰う予定じゃない。洋子も聞いてたでしょ?」


「え? そ、そう言えば言ってたような?」


 工場部門の職人である安藤は、衛生環境改善の為に動いていた。


 下水工事の計画を進めると共に、お風呂の建設なども急いでいたのだ。


「洋子は相変わらずよね。でもまさかこの世界にもあんな人が居るとは思わなかったわ」


「そう? そりゃあ女心も分かる男性はいるわよ」


「まぁそうなんだけど、流石にあれは......」


 森田と栗田が話しているのは、おかまさんの事だ。


 ムキムキマッチョな乙女が面接に来た時、栗田は卒倒しそうになった。


 そんな栗田とは正反対な対応を見せたのは、森田だった。


 時折デザインの話題で盛り上がり、即採用を決めたのだった。


「あの子は店舗に立つわけじゃ無いんだから」


「そうだけど意外だったわ」


「意外? 私は人を見た目で判断しないのよ」


「まぁ洋子だしって事で納得したけどね」


 今話題に出ているムキムキ乙女は自称メリ-ちゃん。


 店舗の方も応募したらしいのだが、残念ながら不採用だったらしい。


 田村が面白がって採用するつもりだったのだが、倉木と安田の猛反対で諦めたらしい。


 後に岩さんと友人関係を築くのだが、その話は後日談にでも描こうと思う。


 この様な感じで新店舗の準備が進められる中、岩さんは軽食の出店をもくろんでいた。


「ならこのスぺ-スは俺に任せてもらおうか」


「ほんまによろしいんでっか? 岩さんなら普通に店だしてもらってもかまいませんよ?」


「いや、店までは出すつもりは無い。軽食ならこの街の人間にも教えやすいしな」


「ほんならメニュ-は、何出しますのん?」


「今の所、田村にちなんでお好み焼きとフランクフルトだ」


「そこはたこ焼きちゃいますのん?! フランクフルトは関西関係ありまへんがな!」


「ん? まぁフランクフルト自体、ドイツ風だろう? なんちゃってだから良いんだよ」


「ばったもんは関西文化って......ま、間違って無いような気もしますけど」


「まぁ他意はないんだ。関東でも贋作はあるしな」


「そう言えば有名なスポ-ツメーカ-のばったもんは、小さい頃に使ってましたわ」


 田村は思い出していた。あれは〇-マというメーカ-の贋作で4本足だったなぁ。別名ピュ-〇。


 それに三本ラインのはずが、4本ラインのアディ......。


「ま、まぁよろしいわ。でもガスとかどないしますの?」


「今回はいっぱいあるカセットコンロを使う。別に木炭使っても良いんだが、店内にこもると危険だしな」


 岩さんのスぺ-スは通りに面した一角だ。


 匂いでも集客しようという事だろう。


 試食した他のメンバ-もその味を確認して、絶賛の嵐だった。


 料理人の本気を侮ってはいけないのだ。


 この様に準備は順調に進み、とうとう開店の日を迎える。


 当日は事前にチラシを配った事もあり、恐ろしい程の盛況だ!


「はいはい! 最後尾はこちらでっせ!」


「どれぐらい待つのでしょうか?」


「今日は初日やさかい、ちょっと時間が分かりませんのや。待ってる間に軽食なんか如何でっか? オススメでっせ!」


「あの良い匂いの食べ物ですか?」


「この番号札渡しますさかい、買いに行かれても大丈夫でっせ!」


 初日は入店待ちの番号札が配られた。万が一品切れの際は、翌日の優先入場が出来るのだ。


 田村は販売部のエ-スと言われる手腕をいかんなく発揮した。


 売る事に関しては信頼雑貨でも一目置かれる存在なのだ。


 この日、用意した商品は全て完売となり、多くの人々が入店できなかった。


 しかし翌日の優先入場が確約されている為、騒ぎは起きなかったのだが......。


「はぁ思った以上に疲れましたわ」


「田村君もお疲れ様。立ちっぱなしは疲れたでしょ?」


「倉木さんこそお疲れさまでした。俺は大丈夫でっせ!」


「お! 田村君、愛の前だと元気だねぇ」


「安田さん! そ、そんな事ありまへんがな!」


「またまたぁ! まぁそう言う事にしておくわ」


「美樹? 何か言いたそうね?」


「ん? 何でもないわよ。それにしても入れなかった人も怒ってなかったわね」


「ちゃんと田村君がアナウンスしてたもの。頑張ってたよ?」


「へぇ良く見てるのね♪ 忙しかったはずなのに」


「そ、そんなの当たり前でしょ! べ、別に気になって見てたんじゃないから!」


「はいはい。そうですか。まぁ面白いから良いけどね」


 田村は正直に疲れていて今の会話を聞いていなかった。


 聞いていれば鈍感君も気が付いたかも知れないが。


 こうしてギャラン1号店は大盛況で開店日を終えたのだった―――




 

ギャラン1号店は大成功。グランベルクと同じく街に馴染むのも早いだろう。


次話は高橋と蓮見の活躍。

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