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会社ごと異世界に転移してしまったが、うちの社員は商売上手だった件  作者: 早寝早起き
変化する国々編(アルメリア~サリファス・スレイブへ)
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変化の始まり

アルメリア国内では更なる変化が始まっていた。

 速水達が各国へ向かった後、アルメリア国内も変化が起こっていた。


「お? お前も買ったのか?」


「息子にせがまれちまってよぉ」


「まぁこれは移動に便利だよな。前に物も入れられるし」


「ああ。とにかく楽だわ。やはりあの集団は考える事が違うな」


 これはある街中での会話だ。現在アルメリア国内でブ-ムになっているのは自転車。


 街中で走るのは普通の自転車だが、長距離移動用に電動自転車も販売開始されたのだ。


 通常の自転車が銅貨3枚。日本円でも3千円ほどで購入できるので、多くの国民が使用できるのだ。


 一方で電動自転車は銀貨1枚。日本円で1万円。主に商人を中心に販売が伸びている。


 信頼雑貨が目指す生活改善の中には人々の移動も含まれている。道路整備により国内の移動が速くなり、国内の流通は飛躍的に良くなった。トロッコ列車で国内が繋がった事で、経済の活性も進んでいる。




◇◇◇



 グランベルクの街では、更に大きな変化が起こっていた。


「専務、下水工事の際に仕込んでいたのは、この為だったんですね」


「清水君、蓮見から最初にこの話を聞いた時は、実現できるのか不安だったんだがな」


「うちの工場部門の力に驚かされるばかりですよ」


「それで例の物は、順調に販売できそうなのか?」


「先ずは30世帯を対象に無償で提供し、全ての世帯から好評を頂いてますよ」


「そうか。それなら安心だな」


 蓮見は今後必要になる電化製品を使用できる環境作りを、かなり前から考えていたんだ。


 電柱を建てるとなると、更に工事が大きくなり予算も増大する。


 その為、領主の了解の元、下水工事の際に電源ケ-ブルを地中に仕込んでいた。


 ちなみに今回販売されるのは、冷蔵庫だ。


「だがこの街は電力供給をうちから出来るが、他の街へとなると問題だな」


「その件は王国と話し合っているようですねぇ。電力施設を共同で建設する計画も進んでいるようですよ」


「そうなると信頼雑貨は何でも屋だな」


「専務。もうそれは今更ですよ」


「あはは。それもそうだな」


 電力基地の建設については、早い段階で国と協議されている。現行は水力発電がメインになるのだが、火力発電と合わせ考えられている様だ。ただ、蓮見達は環境問題も考えているので、闇雲に工場などの建設を行う事は反対と言う立場をとっていた。


「そう言えば電力供給の問題点として、使用する制限なども決まっていたんだよな?」


「ええ。住民の夜の電力使用は、一部を除いて時間制限してますね」


「新しくできた夜の街は制限なしだったか?」


「そうですね。今日も行かれるんでしょ?」


「ああ。大人の娯楽も必要だろ?」




◇◇◇



 その頃は速水は、サリファスの王城へ戻っていた。


「おお、速水殿戻ったか」


「国王様、お待たせいたしました」


「それでセレス教の反応はどうだったのだ?」


「はい。学校の件については了承を得ました」


「なんと! 速水殿と言えど難しい問題だと思っていたが、よくセレス教が了解したな」


「趣旨をしっかりと説明し、お互いの利益を提示しましたので」


 俺はここでルシ-ル様に説明した内容を話した。集まっている人達にも分かり易く説明したので、会議でも反対する意見は出なかったよ。


「そうか。ならば公共事業として学校建設は進めよう」


「国王様、後は農業改革なのですが、現在の二圃制から三圃制への転換を提案します」


「三圃制とな? どう違うのだ?」


「はい。現在行われている二圃制では、土地の活用も効率が悪く生産量も増えません」


 ニ圃制を簡単に説明すると土地を二分割し一方を休耕地として一年休ませるやり方だ。


 三圃制は、土地を三分割し春耕地・秋耕地で異なる作物を育てる。一箇所は休耕地だ。


 それを年ごとに変える事により効率よく作物を育てながら、土地を休める事が出来る。


 又、休耕地を家畜の共同放牧に利用する事で、肥料を用いる事無く地味を維持できる利点がある。


「それは興味深いやり方だな。だがすぐにという訳にもいかぬがな」


「ええ。来年からの導入をご検討ください。それと来栖の方から提案がありまして」


「ん? なんだね? 何か新しい提案があるのか?」


「はい。実は風車と言う物がございまして。これについては後日詳しくご説明致しますが」


 来栖さんから伝える様に言われてたんだが、この国はスレイブ王国側から吹きおろしの風が吹く。それなら今後の動力源になり得る風車を、建設したいと話があったんだ。風車を活用する事で、農民の経済活性化を図る目的もある。


 こうして新たな提案も含め会議は続けられた。停滞していた国を活性化させる事は、この国で生活する人々の悲願だ。この会議では前向きな意見が交わされ、大まかな方向性が決まって行く。


 だが大きな事業になる為、翌日も引き続き会議を重ねる事になった。


 一度静香さん達と合流し、この日はセレス教本部の宿舎へ泊めてもらたんだが、疲れていたこともあり例の話は聞けなかったんだ。


 翌日の会議で数々の事案は承認され、サリファス王国の公共事業はスタ-トする事に。


 俺は会議が終了した後、静香さん達と共に皆の待つルコモンドへ帰る事にした。

サリファス王国の改革は始まった。アルメリアとは違う部分でも開発が進められる事になる。



次話からは田村サイドに戻ります

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