ギルドの申請と教会支部?
静香と千鶴、マリアは商業ギルド本部へ向かっていた
速水が王城で話をしている時間、静香と千鶴、そしてマリアは商業ギルド本部に赴いていた。
「ねぇねぇ。静香ぁ、これ終わったらごはん食べに行こうよぉ-」
「マリアは変わらないよねぇ。話が終わってからよ」
「商業ギルドの登録と流通管理組合の場所も決めないといけないんでしょ?」
「千鶴、そうよ。ギルド登録はこの国に出店する予定だからだしね」
「それは分かってるんだけど、この国の物価も調べないといけないわ。予算はあるけど無駄使いは出来ないからね」
「でたよ千鶴の節約ト-ク! そんな事言ってるとモテないからね-だ!」
「ちょっと! 何でマリアにそんなことわかるのよ!」
「ええ⁈ 私ってモテるんだよ?!」
「ちょっと二人で何もめてるの? 恥ずかしいからやめてよね」
「静香はリア充だって皆言ってたよ! リア充は爆発しろって!」
「はぁ⁈ 誰よ?! そんな事教えたのは!」
「はいはい。静香もマリアも急ぐわよ」
「「千鶴が言うなぁああ」」
何とも賑やかな3人は商業ギルド本部へ急ぐ。3人共黙っていれば美女軍団なのだが......
◇◇◇
商業ギルド本部~
「では登録名は『信頼雑貨株式会社』でよろしいですか?」
「はい。宜しくお願いします」
「わかりました。ではこちらの許可証をお渡ししておきます。新たな組合の手続きはあちらの担当にお声をおかけください」
無事にギルドへの登録は出来たのだが、その名前を聞いた周りの商人や職員の反応が凄い。
「失礼ですが、アルメリアに現れた『神の御使い』殿ではございませんか?」
「え、ええ。そうなりますが。何か御用でしょうか?」
「ぜ、是非ともうちの商会と取引を!」「ちょっと待て! 抜け駆けは許さんぞ!」
こうなる事は速水から聞かされていた静香と千鶴は、職員に声を掛け商人達を押さえてもらった。
今後の付き合いはあるにせよ、今は登録と申請を先に済ませる必要があるからだ。
それに活動の拠点となる場所の確保も出来ていないので、ここで話を纏めることも出来ない。
「すみません。私、信頼雑貨の中村と申しますが」
「はい。中村様ですね。ム-ラン宰相様から聞いております」
どうやら宰相から連絡が入っていた様だ。そこで静香と千鶴が流通管理組合(仮)の必要書類に記入していく。名称については後で変更できるのだが......
「名前はどうするの? マリアと静香とついでに千鶴の仲良し会でけってい!」
「何よその名称......」
「マリア! ついでって何よ!」
「千鶴、問題はそこじゃないから。名称については速水君と相談してから決めるわ」
「ええ⁉ せっかく考えたのにぃ!」
「あはは。考えたのね......」
「ついでって......」
地味にショックを受ける千鶴と却下されないと思っていたマリアに対し、静香はがっかりしていた。
「ああ! そうだ! 私も教会支部作るんだったよぉ!」
「え? 教会支部? ファリス教の?」
「うーん。ちょと違うんだけど、そう言う事にしとこうかなぁ」
「ちょと違う? マリア?」
何かを思い出し頭を抱えだしたマリア。他国に他の宗教の支部など認められないのでは無いだろうか?
一体どういうことなのだろう?
「ねぇ。千鶴はどう思う?」
「ついでって......」
「はぁ。だめだこりゃ。マリア! ちょっと二人ともしっかりしてよ!」
意外な話が出たので申請書類を提出した後、食事を兼ねてお店に入る事にした。
「それでマリア。その支部って何なの?」
「んーとねぇ。お姉ちゃん達からのお願いなの! 私が作らないと!」
「お姉ちゃん? 教皇たちのお願いって事?」
「そうそう。教会を作るの!」
「そ、そう。教会を作るっていったい......」
「静香、もしかしてあの話が関係するんじゃない?」
急に復活した千鶴が言うあの話。普段のマリアからは想像できないのだが、彼女はこの世界に生まれた特異点なのだ。
「千鶴、やっと復活したのね。あの話っていうとマリアが特異点だっけ?」
「そうそう。それにマリアは生まれ変わりだって速水君が言ってたわ」
「それって『始まりの女神ジュノ-』の生まれ変わりってやつ?」
「そうだよ。その『ジュノ-教』みたいなのを作るって話じゃ無いの?」
「ねぇマリア、そうなの?」
「ぴき-ん! 二人とも正解! そうなのでぇ-す! 私が教祖よ!」
「何で急に偉そうなのよ! それに教祖?」
「うん♪ そうだよ。私はこの世界共通の宗教を作るのだ!」
急に壮大な話になって来た。確かに始まりの神を崇拝する宗教が無いのだが、逆に何故今まで無かったんだろうか?
「そう言えば神話に出て来る女神の中で、一番偉い女神を崇める宗教が無いわね」
「静香もそう思った? 私も何で今まで気がつかなかったんだろう」
静香と千鶴は不自然に思った。この世界が出来てからどれ程の時が経っているのかは、正確に知らない。だが各国に女神を祀る宗教が存在するのに、主神たるジュノ-を崇める宗教が存在しないのか?
「これは確かめないといけないわね。ルシ-ル教皇に聞かないと!」
「ええ。わかったわ」
「あーはっは! 皆の者頭が高い!」
調子に乗るマリアの頭をはたいた静香は、食事をキャンセルしてセレス教本部へ向かった。
この話は今後の信頼雑貨の社員にとって、重要な話になるのだった―――
無事に登録と申請を済ませたのだが、マリアから聞かされた話から事態は動き出す。
何故主神の宗教が存在していないのか? その謎に次話で迫る!