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会社ごと異世界に転移してしまったが、うちの社員は商売上手だった件  作者: 早寝早起き
変化する国々編(アルメリア~サリファス・スレイブへ)
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進む工事と繋がる国々

メルボンヌの街でも工事は進む

 速水達が出発した後のメルボンヌでは、街道工事と下水設備についての打ち合わせが行われていた。


「スティング殿、では街道の整備についてはこの日程で行いますね」


「来栖殿、分かりました。それで例の件なのですが」


「ああ。アルメリアとサリファスを繋ぐレ-ル工事の件ですね?」


「ええ。どの程度の日程になるんでしょうか?」


「ルコモンドからメルボンヌまでは大した距離じゃありませんので、ひと月以内に終わりますよ。問題は国境の警備ですが」


「その話は両国間で既に終わっております。国境での出入りは両国で厳重に行い、駅が跨るように建設されるのですね?」


「ええ。管理の方法は国にお任せします。スレイブ王国側でも同じように進んで行く予定です」


 今回の共同事業では国々をレ-ルで繋ぎ、物資の流通を増やす事も含まれている。既に工事は始まっており、レ-ルの取り付けから駅の建設が急がれているんだ。


「わかりました。それにしても今回の事業で、サリファスも大きく発展できるのでしょうか?」


「それは間違いないと思いますよ。サリファス王国は土壌に恵まれてますから、アルメリア以上の発展も夢ではないと考えます」


「そうですか。私もこの事業を任されておりますので、今のお言葉で安心しました」


「来栖さぁ-ん! やっと見つけましわ!」


「ん? フランソワとレビン、ロイドか。 どうしたんだ?」


「私達もお手伝いに参りましたの! それでマリアさんは居られませんの?」


「あの嬢ちゃんは王都へ行っている。それにしても手伝いってどういう話なんだ?」


 ここでフランソワから説明があった。信頼雑貨の社内で多くの者が協力を申し出て、サリファスとスレイブに派遣される事になった様だ。今回来た3人はこの後もここに残り、工事の調整やこの国に店舗を出す際の準備を手伝う事になる。


「わかった。ではフランソワにこの街の店舗については任せよう。レビンとロイドは手伝ってやれ」


「「わかりました!」」


「必要かと思って資材関係も運べるだけ持って来てますよ」


「レビン、助かる。お前は草薙と一緒に現場も見ておけ」


「はい。草薙さんに勉強させてもらいます」


「ロイドは動き方が分かるまで、岡田に教えてもらえ」


「はい。岡田さんはどちらに?」


「あいつは金物屋に行っているが、そのうち帰ってくる」


 スレイブ側と同様に応援の社員がやって来た。これから各街に出店もしていくのだが、その為にはこの国の人材も雇い入れたい。どうしたものかと思っていた来栖だったが、目星は付けていた。


「来栖さん、お待たせしました」


「サリナさん、わざわざすみません」


「それでどう言ったご用件でしょうか?」


「実はこの街に新たな店舗を出店する予定がありまして、人材のご紹介をお願いできないかと」


「そうなんですか?! この街も田舎の街ですから、仕事が増えるのは嬉しい事です。早速知り合いに声を掛けておきます」


「そうして頂けると助かります」


「来栖さん、お知り合いですの?」


「ああ、ちょっとな。後は速水達が組合の手続きを済ませるまでに、出店場所を押さえたいんだがな」


「それでしたら私が空き物件をご紹介しますよ」


 ここに現れたのは領主であるメルル卿だった。領主の紹介なら良い物件が期待できるだろう。


「では私、フランソワが見て参りますわ」


「そうか。じゃあ任せようか。メルル卿、よろしくお願いします」


「わかりました。ではフランソワ殿、行きましょうか」


 この後、スティング卿と共に打ち合わせは続く。


「それで下水設備についてなのですが」


「ええ。先に図面を書きましたので、日程と共にご確認ください」


 メルボンヌの街はトイレは辛うじてあるのだが、衛生環境の改善には下水工事は急務なのだ。


 問題は資材なのだがレ-ルさえ先に繋いでしまえば、アルメリアから物資を調達できる。


 この件については草薙と打ち合わせは済ませてあり、手配済みだ。


「後はこの街の職人を手配してもらう事とサリファス王国内での育成も必要ですね」


「それについては、先行して職業専門学校で学んでいる人材を当てます。勿論、国内での人材教育も急がなければいけませんが」


「その件についても速水が国王達と話しているはずです。アルメリアの場合と違って、うちの会社が無いので時間はかかるでしょうね」


 アルメリア王国が発展したスピ-ドは早かった。国とファリス教の協力も大きかったが、一番の要因はうちの工場があった事だ。生産設備があった為に、必要となる物が供給できた。今回はそれが無い為、時間短縮するには国と国が繋がる前提が必要だった。


「来栖殿のおられた世界では、他国との交流も容易だったのですか?」


「入国の際に厳重なチェックはありましたが、世界中が繋がってましたよ。交通機関も発展しておりましたし、空の移動も出来ましたので」


「空からですか?! そんな事が可能なのでしょうか?!」


「ええ。まだこの世界の技術水準では不可能ですが、今後の研究次第では可能でしょう」


「来栖殿はその方法をご存じなのですか?」


「どう答えて良いのか分かりませんが、一部は知っています」


「それはどう言う?」


「申し訳ありませんが、国防にも関わる事案だと考えますので」


「そ、そうですね。その技術があれば戦争にも使用できる事になりますから」


 飛行機の構造は来栖も知らない。だが移動するだけなら気球など製作できる物もあるのだ。


 信頼雑貨は兵器に流用できる知識は教えない。戦争に利用されるような知識は与えないのだ。


 少し重い雰囲気になりかけたが、この後も街の工事についての話は進んで行った。

新たにやって来たのは、新入社員の3人。フランソワとマリアのコンビが再び結成?


次話は王都での様子。

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