護衛依頼と提携商会との会合
まずは、護衛問題からだよね。
翌朝、いつものように朝ご飯を食べに来たマリアさんとトミ-神父に、ちょっと聞いてみたんだ。
「おはよ-! さぁ朝ご飯食べるよ-!」
「負けないでござる! 今日こそマリアより食べるんだべさ!」
「お、おはようございます。いつも早いですが、教会は大丈夫なんですか?」
「ん? クリスタが居るから大丈夫なの!」
「うんうん。クリスタがちゃんとやってるけん!」
「そ、そうなんですね。一度ご挨拶に伺わないといけませんね」
「そうしてちょうだい! じゃ! ご飯が呼んでるから行くわね!」
「ま、待つでござるぅ!!」
そうか、ご飯が呼んでるんだ……。ってそんな訳あるかぁ-いっ!! すでに2人は居なかったので、周囲の人間に1人で何叫んでんの? って顔されてしまった。あの2人の事も、クリスタさんに聞かないといけないな。俺も田村と一緒に朝食を食べた後、朝の講義を受けた。色々出かける用事が重なったので久しぶりだったが、書類関係を見る事で何となく理解できているので、皆に追いつくことは出来そうだ。講師はマリアさん。何時ものポンコツ具合が、なりを潜めている。普段もそうして下さい! シスタ-っぽいです! そんな事を考えながらもちゃんと最後まで講義を受けました。午後からは沢田専務、大塚係長と一緒にギルドへ訪問予定だ。
◇◇◇
ギルドに到着した俺達は、受付に声を掛け会議室に向かった。既に本日会う約束の傭兵ギルド関係者が、椅子に座って待っていた。
「「「お待たせして申し訳ございません」」」
3人揃って頭を下げると、待っていた人達も慌てて席を立った。
「そのなんだ、俺達が早く来てしまったんだ。頭を上げて欲しい」
「そう言って頂けるとありがたい。改めまして、信頼雑貨株式会社の沢田 智則と申します」
「同じく、信頼雑貨株式会社、大塚 誠二と申します」
「同じく、信頼雑貨株式会社、速水 慎一と申します」
「これはご丁寧に。こう言うのは苦手なんだ。俺は、傭兵ギルドのブラウンだ」
「私は、ソフィア」 「俺は、ジョンだ」
挨拶を交わし席に着くとギルドの3人は疲れていた。本当に慣れてないんだな。
「で、今回うちに依頼ってのは、護衛という事で間違いないか?」
「はい。その護衛なんですが、細かい説明をお伺いしたいのです」
「細かいって言ってもなぁ。何が聞きたいんだ?」
「私共の商会としては、街での護衛と商会の建物の護衛をお願いしたいと考えています」
「街? ああ、店を出してるんだっけか? それは問題ない」
「いえ、それだけでは無く、商会の人間が街に出る時にも護衛をお願いしたいのです」
「と言われてもなぁ。うちのギルドも人数に限りがあるぞ?」
「勿論、そうでしょうね。商会としても何名かに1名程度、護衛をつけて頂ければありがたいのですが」
「そうだなぁ。お前らどう思う?」
「それなりの金額貰えれば良いんじゃないの?」「俺も同意」
「相場が解らないんですが、ひと月金貨5枚で如何でしょう?」
「はぁ⁈ 金貨5枚⁈ そんなに払えるのか?」
「ええ、足りないでしょうか?」
「う、いや、良い話だと思ってな。うちのギルドは30人程いる。その条件なら全員出そう」
金額については、もっと請求されると思ったが、納得して貰えたようだ。細かい条件は、うちの建屋に来てもらい現場を見て決めて行くことにした。こちらが用意した書類に、お互いサインをし契約は完了だ。
「じゃぁ、明日の朝にお宅の商会に行けば良いんだな」
「ええ、1Fに大塚がいますので、声を掛けてください」
握手を交わして会議室を出て行く傭兵ギルドの3人。女性のソフィアさんは、良い筋肉していたよ。女性も10名程在籍しているらしいので、安心した。俺達はそのまま会議室で、提携を決めた商会の面々を待つ。20分程経った頃、1人、また1人と各商会の人間が入って来る。
「それでは、今後の話を詰めて行きたいと思います。まずはラ-グ商会様に、こちらを」
ラーグ商会は金物中心の商会なので、工房から預かった必要な物が書いた書類を読んで貰う。
「次にナタリ-商会様には、こちらの資料を」
ナタリ-商会は、繊維中心なので俺達が着る物を含めて欲しい物を集めてもらいたい。
「こちらは、ロドリゴ商会に注文です」
ロドリゴ商会は、肉全般と野菜なども扱っているので、食堂で使う食材を注文する。
「ナダル商会様には、注文とこちらの資料に目を通して頂きたい」
ナダル商会は、鉄工の職人が集まっている。例のブラインドの件も含めて、人材の紹介もお願いしたい。
「キュ-ズ商会様には、鉱石の件でご相談がございます。この資料に書いてあります物の手配と加工について私共の工房でお話したいのですが」
「わかりました! では、明日の午後にでもお伺いします」
一通り各資料に目を通してもらい、今後の事業展開について話をした。その前に資材が手に入るかどうか? その加工についても問題がある事など包み隠さず説明した。取り扱う商品については、現物を見てもらい各自で扱える商品をピックアップしてもらう事になった。
各商会の代表者たちは、これから起こるであろう商売の活性化を期待していた。街の人間の購買意欲を高める為に、お互いが協力する必要性を感じたのだろう。
さて、護衛は決まった。後は、商売の活性化だね。