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会社ごと異世界に転移してしまったが、うちの社員は商売上手だった件  作者: 早寝早起き
変化する国々編(アルメリア~サリファス・スレイブへ)
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サリファスの王都へ(速水サイド)

速水達はサリファスの王都へ向かっていた

 王都へ出発した速水達。のんびりとした道程だったのだが、ここでもマリアさんはブレなかった。


「ねぇねぇ。ここのごはんマズい!」


「こらマリア! そんな事言ったら失礼でしょ!」


 途中立ち寄った街で食事をしていたのだが、アルメリアで俺達の食事に慣れていたマリアさん。


 言いたい事は分かるんだけど、空気は読んで欲しい。


「お客さん、うちの料理はこの街でも一番と言われているんだが?」


「だって味も薄いし、ぬるいもん! ダメダメだよ-!」


「何だって? そんなにケチ付けるなら出て行ってくれ!」


「ちょっと待ってください。我々は信頼雑貨と言う会社の者でして」


「ん? 信頼雑貨? ......って『神の御使い』様か⁈」


「ええ、まぁ」


 周りで聞いていた街の皆さんも急に態度が変わった。お忍びのルシ-ル様も騒ぎになる事は避けたかった様で、店主に内密にするように言ってくれた。


「店主殿、ここは私の顔を立てて下さい。マリアちゃんも謝りなさい」


「ええ-。なんかすいませんでした!」


「あ、ああ。わかったよ。何でうちの料理がマズいのか、教えてもらいたいんだが」


 ここで俺が店主に事情を説明した。この国も手づかみ文化の為に、熱い物は出していない。そして調味料なども独特だったんだ。新鮮なのは野菜だけで、肉は臭みが残っている状態だ。


「なるほどな。だが現物を見ない事には納得が出来ん。出来れば何か作って欲しいのだが」


「速水君。私達の持って来ている物で何か出来ないかしら?」


「静香さん、そうですねぇ。岩さんに持たせてもらった中に、何かあったかなぁ?」


 一度厨房を見せてもらうと、豚の肉にじゃがいも、ニンジンかぁ。ん? これで出来るものは......


「静香さん、醤油と砂糖ありましたよね? それに味噌も」


「ええ。ならどっち作るの?」


「静香さんも考えてることは同じですね。カレ-粉あったら一択でしたけど」


 時間が掛からなくて出来るなら、肉じゃが。それか豚汁っぽいものなら直ぐに作れるだろう。


「ここは静香さんにお任せします。男料理より女性の方が良いですし、静香さんの手料理が食べたい」


「うふふ。速水君がそう言うなら、頑張っちゃいましょうかね♪」


「はいはい。桃色空間ご馳走様です!」


「千鶴! 何言ってるの! 貴女も手伝いなさいよ!」


「私、料理はちょっと。静香に任せるわ」


 花崎は料理が得意ではない。性格は几帳面なのだが、料理だけは昔から苦手にしているのだ。


「静香早く! お腹空いた!」


「はいはい。分かったから大人しくしていてね」


「じゃあ、準備は手伝いますね」


「速水君も料理するんだっけ?」


「ええ。1人暮らし長いんで、ちょっとした物ぐらいは作れますよ」


 突然降って湧いたイベントだが、俺にとってはラッキーだった。静香さんと二人で料理とか最高じゃないか!


 こうして急遽、料理を作ったんだが、それを食べた皆の反応は凄いものだった。


 俺達は持って来たスプ-ンやホ-クの使い方を教えながら、料理の説明をした。


 興味半分、驚き半分の感じだったが、食べ始めると全員が無言だった。


「おいひぃ-♪ お代わり!」


 1人楽しそうにがっついて居たが、何時もの光景だ。そして徐々に驚きと歓声が響く。


「何なんだこれは! お願いです! これの作り方を教えて下さい!」


 店主はそう言うと俺の手を握り締めた。何で俺なんだ! 男に手を握られても嬉しくない!


 あまり数を持って来ていないのだが、木製の食器なども店主に提供した。因みに今回出したのは肉じゃがと豚汁だ。味噌はアルメリアでも普及していないので、肉じゃがの作り方だけ教えておいた。


 店主も料理人なので、色々と研究すれば違うメニューも作れるだろう。ただ砂糖が高いのが問題なんだが。


「ありがとうございます。レシピまで教えて頂いて」


「いえ。これから食器の方も徐々に普及していくと思いますので、このお店から使い方なんかも広めて行って下さい」


「はい。私も新たなチャレンジが出来ます!。本当にありがとうございました!」


 俺としては静香さんの料理が食べられて大満足だ。それに新たな文化を広めるきっかけにもなったしね。


 そんなイベントもありながら、王都へ向かう事5日目。やっとの事で到着した。



◇◇◇



 王都へ到着した俺達は、とりあえずセレス教の本部へ向かった。今日はここで一泊して、明日王城へ行く予定なんだ。


「皆さま、お疲れでしょう。今日はゆっくりと休んで下さいませ」


「ルシ-ル様、ありがとうございます。お言葉に甘えさせて頂きます」


「速水様は、私と同じ部屋でもかまいませんのよ?」


「ちょ、ちょっと! それはダメです!」


「あら? 静香さん? どうかしたのかしら?」


 にらみ合うルシ-ル様と静香さん。冗談だよ? 絶対!


「ちょっと二人とも落ち着いてください。ルシ-ル様も冗談はそれぐらいで」


「速水様、冗談では無いですよ? 私はかまいませんもの」


「へぇっ⁈ い、いやいや! それは無理です!」


「は・や・み・く・ん。顔がにやけてるけど?」


「し、静香さん! そ、そんな事無いで......」


 だって男の子だもん! 冗談でも想像してしまうじゃないか!


 その後、静香さんと花崎さんに、引きずられる様に連れて行かれました。残念だなんて思ってませんよ?


 両手に華で大満足だった事は、内緒にしておこう。


 そんな中、ソファ-で爆睡しているマリアさんが羨ましかった。


 翌朝もひと悶着あったのだが、まぁ何時もの事だ。ルシ-ルさんの本心は分からないが、案外静香さんと仲良くなりそうだ。


 そして王城で国王達との会談が始まる―――

サリファスも食文化が発展していない。この事がきっかけで、木製の食器が普及していくのだが......。


王城での会談は2度目だが、今回はバルトフェルト達の事もあり速水は緊張していたんだ。

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