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会社ごと異世界に転移してしまったが、うちの社員は商売上手だった件  作者: 早寝早起き
変化する国々編(アルメリア~サリファス・スレイブへ)
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先ずは許可が必要です!

ギャラン滞在2日目、早速動き出そうと......

 ギャランの街2日目。さっそくギャラン卿と一緒に川を北上するつもりの高橋と蓮見だったんだが。


「では先ずはお二人と共に、王都へ許可を頂きに参りましょうか」


「......そ、そうですよね。先ずは許可が要りますよね。あはは」


「高橋、まさかそのまま行く気だったんじゃ......」


「蓮見! お前も行く気だっただろうが!」


 高橋と蓮見は同年代であり仲が良い。珍しい物が見れて田村を含め驚いていた。


「なかなか見られへん光景やなぁ」


「田村君、私も思ったわ」


「同じく」


「お腹減ったでおじゃる!」


「私もお腹減った!」 「恵は子供だよね」


 田村の発言に倉木と安田が反応し、トミ-の発言に森田と栗田が反応している。


「ほんなら一緒に馬車も持って行ってもらえるんやろか?」


「ん? 勿論そのつもりだ。うちの馬車は乗って行っても良いか?」


「大丈夫でっせ。暫くはこの街を活動拠点にしまっさかい。王都で国の方針も聞いてくださいな」


「ああ。俺達が考えている事で間違って無いだろうが、他にもある可能性があるしな」


 こんな会話の後、3人は護衛と共に王都へ出発した。街道の舗装も無いので時間は掛るだろう。


 街を出て数時間、景色を楽しみながら進んでいたが、急に馬車が止まった。


「ん? 何かあったんだろうか?」


「まさか盗賊とか?」


「高橋殿も蓮見殿も安心してくれ。この国は盗賊など滅多に出ない。この先に橋があるんだよ」


 一度馬車を降りてみる事にした高橋と蓮見の目の前には、木製の古ぼけた橋が掛かっていた。


 橋の幅も馬車一台がやっと通過できるぐらいだ。


「あー、これも考えないとダメだな。交互に渡らないといけないからか」


「多分橋の耐久値もかなり弱いな。あの感じでは流される事もあるんじゃないか?」


「蓮見殿、そうなのだよ。川の氾濫規模によっては橋が流されてしまうんだ」


「ギャラン卿、橋の土台も流されますか?」


「ああ。土台も固定できずに流されておる。あまりに頻繁にある物だから、国としても予算が出せないほどなのだよ」


 国中にある橋が同じように流されたり破損するので、予算が出ずに小型の橋しか作れないそうだ。


 早急に改善するには、ダムの建設を急いだほうがよさそうだ。


「出来るだけ急いで王都へ向かった方が良いな」


「高橋、俺もそう思う」


 そんな現場を何箇所か確認しながら王都へ向かうギャラン卿と蓮見達。王都までは五日ほどの日程だ。




◇◇◇



 一方、蓮見達が出発した後の田村達は、今後の動き方について話し合っていた。


「ほんなら倉木さんや安田さんは、間宮さんと一緒に綿の研究でっか?」


「そうなるわね。でも間宮さんは恵と洋子と一緒に農家へ行くんじゃないの?」


「ええ。私は森田君と栗田君の付き添いで獣皮を見に行きますよ。どうもこの街には加工業者は居ないようなので」


 間宮さんは、品質管理部門で岡田さんと共に仕事をしている。新商品の開発や品質チェックを任されている人なんや。


「安藤のにいさんは、ここで風呂を作った後、道路整備の方を手伝うんでっか?」


「にいさんって言うな! 俺はこれでもまだ30歳だ!」


「だって見た目がなぁ。俺と2歳ぐらいしか違わへんのに......」


「残念な者を見る目でこっち見るな! 俺だって気にしてるんだぞ!」


 安藤さんは、ぽっちゃりでお腹が出ている。顔は優しげだが坊主にしているので、実年齢より老けて見えるんだ。本人はそれを気にしていると言うが、食欲旺盛だし痩せる気は感じないんやが。


「まぁ良いか。俺は他の職人引き連れて風呂場を作った後、金物屋へ行って来る。どうせ工場も借りないとダメだしな」


「後はアルメリアの文官の方々はどうするんでっか?」


「我々はここの一室をお借りして、情報を集めます。国からは信頼雑貨の方々のフォロ-も委任されています」


 今回はアルメリアの文官達も、うちの社員と同じく協力してくれるそうや。正直人数的に助かるわ。


「私はこの街の教会へお邪魔するでおじゃる。親善が大事なのであ-る!」


「では私もトミ-君に着いて行こうかしら」


 イメルダさんがトミ-神父の面倒を見てくれるみたいやな。


 ある程度皆の予定が決まって来た時に、倉木さんから唐突に突っ込まれた!


「で? 田村君は何するつもり?」


「お、俺はですねぇ。とにかく街の住民に話を聞きながら、小さな露店を出そうと思ってますです!」


「露店? グランベルクでやったみたいに?」


「そうです! やる事は同じでも、経験がありまっさかい!」


「そうか。私達も落ち着いたら手伝うわ。店舗もいずれ借りるつもりだしね」


「私もたむらんを手伝うでおじゃるよ!」


「トミ-はん、ありがとうなぁ。法被も持って来てるさかいな」


 田村が露店様に持って来ているのは、これまで販売していた木製の食器や団扇等の小物。それに倉木さん達が持って来た女性用の化粧品関係。これを販売しながら、この街のお店やギルドを巻き込みたいところだ。


「予定が決まったんやったら、早速行動しまっせ!」


「「「「おお-!!」」」」


 そして田村達も動き始めた。露店の場所の使用許可はギャラン卿から頂いているので、商業ギルドへの登録を先に済ませる必要がある。田村は先ず、街の商業ギルドへ顔を出すのだった。


 田村が向かった先にあった建物は、かなり古ぼけた建物だった。


「なんかかなり年季の入った建物やなぁ。大丈夫かいな」


「いらっしゃいませ。本日はどの様なご用件でしょうか?」


「露店を出したいので、登録をお願いしまっさ」


 そう言ってギャラン卿の推薦状を受付の姉さんに出したんやが。


「こ、こ、これは領主様の推薦状! という事は貴方は『神の御使い』様ですか?!」


「うわっ⁈ びっくりするがな! 急に大きい声出さんとってや」


「す、すみません! すぐに登録いたします!」


 なんやビックリされるんやな。速水もそんな事言ってた気がするわ。


 暫くして登録は無事終わったさかい、出店する場所を決めたんや。


 やっぱり目立った場所にせなアカンから、街の広場に出す事にしたで!


 こうして初めての露店を出した訳やけど、俺の想像を上回る人出に腰抜かしそうになるんや...... 

田村達の行動予定も決まり、早速露店の準備を始めた田村。


これが予想以上に客寄せするのだが......


次話も田村サイドです。区切りの良いところまで書きますね。

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