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会社ごと異世界に転移してしまったが、うちの社員は商売上手だった件  作者: 早寝早起き
変化する国々編(アルメリア~サリファス・スレイブへ)
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スレイブ王国の特徴(田村サイド)

グランベルクを出発した田村達の一団。王都を経由したのだが......

 グランベルクを出発し、王都に着いた田村達。ここでは物資の補給と予想外の出来事があった。


「お待ちしておりましたわ。私もご一緒させて頂きたいのです」


「へ? なんでイメルダ様が、ここにいらっしゃるんでっか?」


「おい田村! 教皇様に対してその喋り方はいかんぞ!」


 高橋課長が慌てて田村をたしなめる。田村は誰に対してもこんな感じだ。本人は敬っているらしいが。


「うふふ。私はその方が良いですよ。『神の御使い』の皆様も是非、普通に接してください」


「そうですか。それで何故こちらに?」


「スレイブ王国へ向かわれるのでしょう? それなら私が一緒の方がご都合もよろしいかと」


 イメルダ様は田村達が王都へ到着するのを、ファリス教本部で待ってくれていた。確かに初めて訪問する国なので、入国の際にイメルダ様が居るとスム-ズになるだろう。


「安藤、それならイメルダ様達にスレイブ王国へ受け渡す馬車に乗ってもらおうか」


「蓮見さん、了解しました。その方が移動も早いですからね」


 今回、スレイブ王国とサリファス王国へ向かう一団は、献上用に信頼雑貨製の馬車を2台づつ用意していた。


「まぁまぁ。乗せて頂けるのですね♪ 楽しみですわ」


「ほんなら俺らと一緒に乗りましょか。話も聞きたいでっしゃろ?」


 この時、愛から田村に対し殺気を含んだ視線が送られていたのだが、本人は気がついていない。


「愛? 何だか怖いんだけど?」


「え? どうしたの美樹? 私は普通だよ」


「そ、そう。愛ってそうなんだ......」


「ん? そうなんだって何よ?」


「まぁ自覚が無いなら良いのよ。なんか面白くなってきたわ」


 田村達一団は、イメルダを加え目的地であるサイラスへ出発する。


 馬車内ではイメルダが社員達に色々と聞いていた。


「この馬車は本当に揺れませんのね。とっても楽ですわ」


「はい。馬車の構造は出来るだけ振動を抑える設計になってます」


「それに街道が整地されてますわね。この色のついた道は何ですの?」


「こちらに来られる際にも見ておられると思いますが、アスファルト塗装と言って......」


 アルメリア国内の街道は、ほぼ全域がアスファルト塗装されている。これにより馬車の負担も軽減され、土埃なども起きにくくなっている事を蓮見が説明した。


「この技術も貴方達の世界の技術なのですか?」


「はい。我々も専門ではありませんが、上手く知識を活かせた結果です」


「イメルダ様、スレイブ王国について聞かせてもらってよろしいでっか?」


「えっと、田村様でしたね。大丈夫ですよ。私の知っている範囲でお答えします」


「スレイブ王国は今のアルメリアと、どの程度違いまっしゃろ?」


「そうですねぇ。この馬車もそうですが、技術と言いう面では比べられません」


「それは発展していないという意味で?」


「はい。今のアルメリア王国はこの世界で一番発展していますね」


「ちなみに水なんかは、どうされてるんでっしゃろか?」


「井戸はあります。ですがスレイブ王国は川の多い国なんです。生活に必要な水には恵まれておりますね」


 スレイブ王国はアルメリア側以外が、山脈で囲まれているらしい。その山脈が他国からの侵略を防ぐ事にもなっているのだが、水源はその山脈から国内に伸びているのだ。


「水源が多いと言う事は、作物なんかも豊富なんでっか?」


「それが......土の質の関係があるのか? 山脈側以外ではあまり豊作とは言えないのです」


「土の質でっか。その辺りにヒントが転がってる可能性がありまんなぁ」


「ちょっと良いですか? 私、品質管理部の間宮と言います。その川のある地域は湿地帯なのでは?」


「湿地帯? と言う言葉は初めて聞きましたが」


「そうですね。分かり易く言えば、川の氾濫が定期的に起こっているとなりやすいんですが」


 湿地帯と言うのは、淡水や海水によって冠水する土地、あるいは上記のように定期的に覆われる低地の事だ。


「確かに川は年間に何度も氾濫しています」


「という事は雨が多い国なんでしょうか?」


「比べた事はありませんが、比較的多い時期もありますね」


「蓮見さん。これは工事が増えるかもしれません」


「間宮の言いたい事は何となくわかっているさ。そうなると石工ギルドの手も借りないとな」


 初めて聞いたスレイブ王国の事。何となく国の抱える問題点が浮かんできていた。


 この後もサイラスに着くまで、スレイブ王国の情報を聞きながら進んだ。道中、2つの街に宿泊し3日目の昼に目的地であるサイラスの街が見えて来た。


「なんや俺のイメ-ジしとった街とは違うなぁ」


「田村君はどんな街をイメ-ジしてたの?」


「ルコモンドの要塞をイメ-ジしてたんですよ。倉木さんもそう違います?」


「どうしたの? 何か口調が改まってるけど? そうねぇ、でもこの雰囲気は嫌いじゃないわ」


 田村は緊張していた。せっかく一緒に旅をしているのだが、中々喋るチャンスが無かったのだ。


「雰囲気でっか。そう言われたら一番西洋っぽい街なんやろか?」


 サイラスの街は、アルメリア王国の将軍の1人であるゴラッソ・サイラス辺境伯の治める街である。


 ルコモンド将軍は武。対してサイラス将軍は『智の将軍』と言われているらしい。


 果たしてどの様な人物なのであろうか―――

 

田村サイドのスト-リ-では工場部門から安藤社員。品質管理部門から間宮研究員が登場します。


次の話も田村サイドになります。

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