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調印式と聖女達

準備も整い調印式当日を迎えた......

 快晴に恵まれたアルメリア王国の王都。朝から多くの住民がせわしなく動いていた。


 今日行われる歴史的な調印式を一目見ようと、王国中から人が押し寄せていた。



「それにしても物凄い人だな」


「一種のお祭りやさかいな。衛兵のおっちゃんらも大変やで」


「サリファス王国との調印式のはずが、スレイブ王国も増えたしねぇ」


「集まっとる住民は、聖女様目当てなんちがうか? おっさんより美女を見たいやろ?」


「まぁ、それは否定できないな」


「ちょっと! 速水君! 今の発言は見逃せないわよ?」


「え、えっと。し、静香さん、今のは言葉のあや......」


「もうしっかり尻に敷かれとるがな。うらやましいこって」


 今日の式典には俺達、信頼雑貨の面々も勿論参加する。何時も騒がしい教会の皆さんは、各国から急に訪れる事になった教会関係者の出迎えに対応しているんだ。


「そういえば、速水はなんで教会同士の集まりに呼ばれとるんや?」


「それが分からないんだよ。名目は『神の御使い』の代表者としてらしいんだけど」


「アナマリア様のお気に入りらしいもんなぁ?」


「ちょっ、お前それは言うな! また怒られるだろうが!」


 (チラッ)


「・・・・・・」


 ほらっ! 静香さんの目が怖い! 


「はいはい。いちゃいちゃするのもそれぐらいでね」


「これの何処がいちゃついてるのよ? 千鶴の目はおかしいわよ?」


「いえいえ。静香さん自覚なしですね」 「同感です-」


「ちょっと愛も美樹もひどいじゃないのぉ」


「でも良いの? 速水君1人で行かせて」


「相手が6人の聖女様だからね。流石にわがままも言えないわよ」


「速水達もそろそろ調印式の会場に向かうぞ。私達が遅れる訳にはいかん」


 沢田専務に声を掛けられ、ぞろぞろと会場へ向かう。調印式では沢田専務が挨拶も行うんだ。




◇◇◇



 三ヵ国共同事業(仮)調印式会場~



 会場には既に多くの関係者が集まっている。アルメリア国王・サリファス国王・スレイブ国王をはじめ、各文官達もずらりと並ぶ。信頼雑貨は役職者のみ皆と同じ席に座り、他の面々は貴賓席だ。


 代表挨拶はアルメリア国王、ジョ-ジ・アルメリアが行った。


「この様な歴史的な事業を、サリファス王国・スレイブ王国と行えることを非常に嬉しく思う」


 この一言で始まった国王の挨拶。民衆からも大歓声が上がる。


「今回の事業でこれまで以上の交流と、関係を深めて行く事になるだろう。そしてこの様な機会は、彼らの存在が無ければ在り得なかったであろう。紹介しよう! わが国の『幸福の君(ラッキーロ-ド)』を!」


「「「「「おおおおおおお!!!!!」」」」」


 盛大な声援が上がる中、我らが沢田専務が壇上へ招かれる。


「た、ただいまご紹介に預かりました、信頼雑貨株式会社、代表代行の沢田 智則と申します」


 あら? 専務が緊張している様だ。何時もより明らかに硬い。


「申し訳ありません。この様な場は慣れておりません。ですがご安心ください! この国及びこの事業に参加される国々には、当社の知識・技術を責任を持ってお伝えいたします!」


 この一言に会場の空気は更にヒ-トアップした。流石は我らのリ-ダ-! 盛り上げてくれるね。


「皆も彼らの頼もしい言葉を聞いたであろう。私からも皆に約束しよう! 幸せな未来が待っていると!」


「「「「「国王様万歳!!!」」」」 「「「「幸福の君(ラッキーロ-ド)万歳」」」」


 この後、各国の首脳も簡単な挨拶を行い、三国で書類にサインした。時間を空けて実務者同士の会議に移るのだが、この会議には高橋課長・蓮見課長・大塚係長が参加する。


 俺は指定されたファリス教総本部の応接室に向かった。正直言って怖いんだけど......。




◇◇◇



 ファリス教総本部~


「こんにちは。信頼雑貨の速水です」


「速水様! お待ちいたしておりました! こちらへどうぞ!」


 ファリス教総本部は、大勢の人で溢れかえっていた。見た所、修道服もそれぞれ違うんだよ。


「速水様がご到着されました!」


「入って頂いてください」


 少し緊張しながら開けられた扉。中に入った俺は一瞬、息も止まってしまったよ! 


 何だこれ? 花園が広がって......っていかん! 


「う、うほん。お待たせいたしました」


「速水様? どうかなさいまして?」


「い、いえ。だ、大丈夫です!」


「うふふふ。ではこちらへお座りください」


 テーブルには上座にアナマリア様。その両側にルシ-ル様と各聖女様が並んで座っていた。


「では先ず自己紹介かしらね? ルシ-ルはご存知ですよね?」


「ええ。先日お会い致しました」


「じゃあ、私からで良いかしらね。セルビナ教の教皇、イメルダ・ゾルダンですわ」


「私はマ-ルス教の教皇、エルファ・リ-ベルです」


「エルミナ教の教皇、メ-ガン・ハサウェイよ」


「ミネルヴァ教の教皇、ジャニス・アルファイトですわ」


 目の前に居る彼女達の存在感はもの凄い。教皇だけあって圧力も半端ないんだよね。


「初めまして。信頼雑貨の速水 慎一と申します。以後、よろしくお願い致します」


「へぇ。アナタが()の速水様ですのね」


「イメルダ様。噂ですか?」


「速水様、その件については今からお話いたします」


 俺だけが呼ばれた各国の聖女達の集まり。これから話される内容が、俺にとっても仲間達にとっても非常に重要な話だったんだ―――




無事に調印式は終わった。ここから三国の交流が始まり、信頼雑貨としても忙しい日々になるだろう。


懸念は未だ沈黙しているハ-メリック帝国なんだが......。


そして速水に告げられる女神の意志とは? 次話で明らかになる!

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