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現状の把握と未来へ向けて

始まったサリファス王国との会合。速水達は何を提案するのか......

 国との会談が始まり、俺達も各自考える案を提示していく。


「先ずは俺からの提案ですが、流通を管理する組合を作る事を提案します」


「流通を管理? それはどの様な内容なんだね?」


 俺は現在、アルメリア国内で行っている各街からの情報を集める方法。そしてそれにより、物流を動かすという意味を説明していく。この案は前向きに検討していくが、先ずは改善することがある。


「では私、来栖から補足いたします。速水の言う流通管理を行う上で、情報のスピ-ドが大事になります。しかしこの国では移動手段が限られているので、ここの改善が必要になります」


 来栖さんは道路整備や輸送手段としての馬車の改造、そして鉄工の技術を発展させる事を提案。


「続いて私、田村からの提案させてもらいますわ。私の見る限り商売にも活気がありまへん。国民が楽しめる様な行事を行う事をオススメしまっせ!」


「田村......それって昨日考えたのか? 行事って抽象的すぎないか?」


「速水、お前も日本人やったらわかるやろ? ま・つ・りや! 俺らにもこの国にも祭りが必要なんや!」


「ほう、その()()とやらも、興味深いではないか」


「そうでっしゃろ? 後で説明しますがな」


 まぁ田村の言う事にも納得はしているんだ。お祭りって何かワクワクするしな!


「私、中村と花崎からは衣料品・及び化粧品関係の開発と流通です」


 中村さんと花崎さんからは、いわゆるコスメ商品と服などの産業だ。簡単な石鹸とか化粧水等の現物を見せながら説明していたよ。きっとここに居るお偉いさん方の奥様には受けるだろう。


「私からはファリス教とセレス教の交流を希望! だって女神さまって姉妹なんでしょ?」


「えっとマリア殿、それは国に言われましても......」


「マリアちゃん、それについては私も賛成ですよ。これまで交流が少ないのが不思議ですもの」


 マリアさんの提案にルシ-ル様が答える。きっとこれまで思ってはいても、声に出して言う人間は居なかったんじゃないかな? 


「私、セラフィア・アルメリアからのご提案は、こちらの親書を先ずお読みください」


「セラフィア王女、親書ですか?」


 セラフィアはその親書をサリファス国王に手渡す。それを読んだ国王の顔が驚きに変わった。


「国王様、一体どの様な内容なのでしょうか?」


「うむ。アルメリア国王からだ。我が国とアルメリア王国が、共同で事業を行わないかと言う内容だ」


 宰相の問いかけに国王が答える。

 

 アルメリアはこのサリファス王国に自国の技術等を開示し、国と言う垣根を越えた付き合いを提案したのだ。


「私は国王からこの件に関し、全権を委託されております。是非、共に歩みませんか?」


「この提案に異議のある者は居るか?」


 ここに出席している国の重鎮から反対は出なかった。誰もが今のこの国を変えたいと思っていたのだろうね。


「ではこの提案を喜んでお受けしようと思う。セラフィア王女、よろしく頼む」


 国王とセラフィアが満面の笑顔で握手する。後日、正式な調印を行う事に決まった。


「では私たちセレス教もファリス教と調印を行いましょう。マリアちゃん、アナマリアにも伝えてくれる?」


「うん! アナマリアお姉ちゃんに言っとくね♪」


 初めてセラフィアとマリアさんに感心した。何だよ! やればできる子じゃないか!


「私達の提案はすぐに実現可能な物がありません。それに早急に改善したい事もございます」


「速水殿、早急に改善とは何だろうか?」


「はい、宰相様。それは衛生環境です。もしかして病が流行ったりしてませんか?」


「ん? 病といえば王都でも時折、身体をこわす者が出ておるな。酷い状態の者もおる」


「アルメリア王国でもそうでしたが、王都を含め街中の空気は非常に悪いです。この状態が続けば、体調を壊す人が年々増加していくでしょうね」


「私も報告でしか把握していないが、確かに年々、死亡する者の数が増えておる」


 そこで俺からは手洗い・うがい・歯磨き等のすぐにできる事を説明。続いてトイレの設置や下水整備などの工事を行う意味を来栖さんが説明した。


「後は飢饉の対策なんですが、ここに居るメンバ-では農業に詳しい者が居ません。ですので1度会社に戻らせて頂き、新たにご提案できる事を考えたいと思います」


 サリファス王国とアルメリア王国、そしてセレス教とファリス教が関係を深める事を決めたんだ。それなら出来る事が増えるし、ここに残っているよりも帰った方が話は進むだろう。


 そしてこの会合の後、この国の詳しい資料は集めてもらう事にした。鉄工などの技術を広めるうえで、鉱山資源などの細かい情報も必要だ。


「では速水様、一度本部へ戻りましょうか」


 ルシ-ル様と共にセレス教本部へ戻り、今後の打ち合わせをする事になった。



◇◇◇



「速水様、ありがとうございました」


「いえ、うちの面子は色々と商売の知識がありますので」


「うふふ。アナマリアから聞いていた通りの人ですのね」


 アナマリア様から何を聞いてるんだろうね! そして何故俺にしか喋りかけないの!


「な、何を聞いておられるか分かりませんが、とにかく俺達は明日、帰りますね」


「もう少し居て頂いても構いませんのよ?」


「は、速水君は置いて行きませんから!」 「そうですわ! 一刻も早く帰りましょう!」


 中村さんとセラフィアがそう言うと、ルシ-ル様は笑顔で返す。


「まぁまぁ、怖いのですね。私は皆さんに言っていますのに」


 こ、こえぇ-。目が笑って無いよ? 


 ルシ-ル様ってやっぱりアナマリア様と同じ匂いがする......。


 この後も変な攻防は続いたが、明日の朝にアルメリアへ帰る事になった。


 今回の引き合わせも女神様の意志なんだろうか? 


 この世界を発展させるという意味では、国と国の交流は不可欠だ。



 国ごとに転移者が存在するなら別だが、俺達だけで世界全体を発展させる事など不可能なのだから。

 

アルメリア王国の意志を伝えるセラフィア。そしてマリアだから提案できた宗教の繋がり。


今回の件がこの世界に与える影響は......。


次話は、世界に走る情報。

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