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サリファス王国の国民性

サリファス王国の現状が語られる

 晩餐の席でルシ-ル様から語られたのは、この国ならではの国民性であった。


「速水様達もお感じになられたと思いますが、この国の人々は覇気がございません」


「ルシ-ル様。俺達が王都までの街を見た感じ、食料品等は充実している様に思えましたよ?」


「流石は速水様、問題の根底はそこなのです。セレス様のご加護でこの国の土地は潤っています」


「豊かな土壌である事が問題なのですか?」


「建国からこれまで、飢饉や戦争を除けば概ね恵まれた土地でした。しかし......」


 ルシ-ル様のお話では、サリファス王国の土地は豊かで恵まれている。


 しかし50年周期に訪れる飢饉により、酪農や畜産に関わる人々が年々疲れてきていると言うのだ。


 せっかく軌道に乗りかけても、その都度失われるんだ。その繰り返しに国民は疲れてしまったんだと。


「それなら他の産業に目を付けたりするんじゃないですか?」


「勿論、多くの国民は飢饉の際の備えも含め対応を考えました。ですが元々の生活を変える事は難しく、国も産業を生み出す政策も行えませんでした」


 これは多分、豊か過ぎる土地で作物を作りすぎる弊害だろうな。土地が枯れてしまうのもそのせいだろう。


 それに新たな産業と言っても技術を持った職人も少ないし、育てるにも時間が掛かる。


「という事は、俺達に産業を生み出す事を期待しているんでしょうか?」


「そうですね。産業は勿論のこと、土壌についても意見をお伺いしたいです」


 うーん。技術面に関して言えば、アルメリア方式で何とかなるだろう。

 

 鉱物資源もあるのだし、鉄工やその他の産業は起こせる可能性はある。


 ただし、設備を作るところから始まるのだから、即効性は期待できないな。


「ルシ-ル殿にお伺いしたいのだが、この国に製錬場や鍛冶場の数は分かりますか?」


「来栖様、その辺りのお話は明日、国からご説明できるかと思います」


 来栖さんにも何か考えがあるのかも知れないな。とりあえず話の内容は分かった。


 食事を終えた後は、明日に備えて早めに就寝する事になった。


「田村は何か考えついた?」


「うーん。ラノベとかやったら、チ-トで解決なんやけどなぁ」


「俺は農業の知識とかないよ。即効性のあるアイデアが浮かばない」


「とりあえず知ってる知識をフル活用やな。まぁとにかく今日は寝ようや」




◇◇◇



 一方、女子部屋でもアイデアを話し合っていた。


「千鶴は何か浮かんだ?」


「そうねぇ。産業と言っても、これから作るんじゃ時間が掛かるしねぇ」


「静香! 可愛い服作ったら良いじゃん♪ 愛みたいに!」


「マリアさん、それ賛成ですわ♪ 『J-Style』のお洋服って可愛いですもの♪」


「マリアもセラフィアも簡単に言うけど、それにも職人さんやデザインする人も必要なのよ?」


「静香の言う通り、人もお金も掛かるんだから簡単には行かないのよ」


 色々とアイデアは出るものの、これと言った意見は出ないまま就寝。




◇◇◇



 翌朝、ルシ-ル様と一緒にサリファス王国の王城へ向かった。ここのお城は真っ白でかなり大きい。



 王城会議室~


 案内された会議室にて、国王並びに宰相他の人物と対面した。



「よく参った。私はこの国の国王、プライム・サリファスである」


「私はこの国の宰相を務める、ディビッド・ムーランだ」


 この後もサリファス王国の面々の挨拶があったが、割愛する。


「初めまして。信頼雑貨株式会社、速水 慎一と申します」


「同じく、中村です」「田村です」「来栖です」


「ファリス教シスタ-のマリアです! よろしくねっ!」


「アルメリア王国、第一王女セラフィア・アルメリアです。サリファス国王にお会いできて光栄です」


 国王も他の面々も、俺達が挨拶の際に出した名刺に釘付けだった。


 まぁ初めて見る反応は予想通りだったんだが、ファリス教のシスタ-とアルメリアの王女も来ているので驚きの連続だったみたい。


「やはりあなた方には驚かされる。聞きたい事は山ほどあるのですが、先ずはこちらの話を......」


 ムーラン宰相が代表してこの場で話を始めた。最初の説明は昨日聞いた内容と同じだった。


 特にここ数年は、何の手立ても打ち出せない状態だったんだとか。


「そこであなた方『神の御使い』殿にお力をお貸しいただきたいのです」


「ご提案の方は色々とさせて頂きたいのですが、その前に確認したい事がございます」


「速水殿、それは何でしょうか? わが国で出来る事であれば伺いますよ」


「まず長年続いている今の状態が、劇的に良くなる保障は出来ません。そんな魔法のような力はございませんので」


「うむ。それは分かっておる。いかに『神の御使い』と言えど、そこまでは求めていない」


 サリファス国王はそう答えた。俺達が一番心配するのは、この世界で間違った認識をされる事だ。


 まるで神のような扱いを受けても困るし、実際にそんな力は持っていないのだから。


「そう言って頂けて安心いたしました。では改めてご提案をさせていただきます」


 ここから実現が可能な案を話していく。ただし国から資料も見せて貰わないといけないし、各方面に詳しい人物も必要なのだが。


 様々な案を出していく速水達に、サリファス王国はどうこたえるのか―――


この国特有の国民性を解決する為に速水達の出す案とは?


次話ではセラフィアが同行した意味が......。

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