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サリファス王国の王都へ 後編

サリファス王国の王都へ向かう一行。目にするもので気になる事が......。

 ペイパの街に到着したのは夜であったが、領主であるブライト・ペイパ男爵が出迎えてくれた。


「ルシ-ル様、お疲れさまでした」


「ペイパ卿、世話になりますね。こちらはアルメリア王国からお越しの皆様です」


 ルシ-ル様にご紹介頂いたので、皆順番に挨拶を済ませた。


「何と⁉ 『神の御使い』の方々でございますか! お目にかかれて光栄です!」


「こちらこそ夜分に申し訳ございません。宜しくお願い致します」


 遅めの夕食であったが、ご用意いただいた食事をとりながら話を続けた。


「この国は土壌は豊かなので酪農や畜産が盛んです」


「セレス様のご加護がありますからね。ただその代わりに、産業が発展していませんの」


 ペイパ男爵の説明にルシ-ル様が補足をする。今食事をしている場所もロウソクで灯をとっているしね。


「産業ですか。鉱山のような物はあるんでしょうか?」


「ええ、鉱物資源などはございます。ただ商会に鉄工ギルドが少なく、主に他国へ輸出していますね」


「農作物の輸出はされていないんですか?」


「この国の国土は大きいんです。ただ輸送の手段が多くありませんので」


 それもそうか。アルメリアでさえ最近になって流通は早くなったが、人力と馬車で他国までとなると難しいのだろう。何となく今回の依頼が想像出来て来たな。


「ルシ-ル様が私達に求めるのは、流通改革なのでしょうか?」


「ええ、それもあります。アルメリアのような発展は以前から求められていますので」


 『それも』という事は、他に何があるんだろうな? それからも色々と話を聞いたが、明確な答えは出て来なかったんだ。


 食事を終えた後は各自就寝し朝を迎えた。


 男爵に見送られ街を出発したのだが、この街もホコリや匂いがきつく、衛生状態も良いとは言えない状況だ。この国でもメルボンヌにはトイレの設置があったんだけど、それにはサヨコさんの存在があったからだな。(下水設備は無いが)



「速水様、何か考え事ですか?」


「いえ、昨日の話からこの国に足りないものを考えていました」


「速水様たちからすれば、この世界は発展していないでしょう?」


「それはそうですね。私達のいた世界は、この世界の人が想像できないほど発展していますから」


 それから3日、3つの街を経由して王都を目指した。道程ではルシ-ル様を一目見ようと、多くの民衆が集まったりしたが、大きなトラブルはなかった。


「間もなく王都が見えてきます。本日は我がセレス教本部にて、ご宿泊お願いいたしますね」


「お世話になります。5日間あっという間でした」


「初めて来られたのですから、お疲れでしょう。ゆっくりとお休みくださいね」


 


◇◇◇



 サリファス王国の王都へ到着したのは、日も傾く頃だった。ん? ルシ-ル様がいるので多くの民衆が出迎えてくれているんだが......。


「なぁ速水。俺の勘違いかも知れへんけど、みんな元気無いんちゃう?」


「田村、お前も感じたか。何だろうな? 笑ってるんだけど、影があると言うか」


「王都までの街もそうやったけど、何やろうなぁ」


 田村の言う通り王都までに立ち寄った他の街も活気が無い。王国の抱える問題って何なのだろうか?


 一行はそのまま教会本部へ入り、用意された部屋へ案内された。


「では食事が用意できましたら、呼びに参りますね」


「ルシ-ル様もお疲れさまでした」


 俺と田村、来栖さんの3人で同じ部屋だった。女性達も一室に固められている。


「来栖さんは何か感じたことありますか?」


「そうだなぁ。足りないものを数えるとキリが無いが、住民の様子が気になるな」


「やはりそうですよね。環境整備や流通の改革も必要ですが、覇気の無い人々が多すぎますね」


「国民性がそうなら良いんだが、流石にそれは無いだろうな」


「もしかして笑いを求めてるんやろか? もしそうやったら俺の出番が来たでぇ!」


「はいはい。漫才でもするのか? もしそれならビックリするけど」


 田村の冗談は置いておいて、考えても思いつかないな。明日お会いする国の関係者に聞かないと、答えは出ないだろうなぁ。


 


◇◇◇



 暫くして教会の方が呼びに来てくれたので、皆で向かった。教会の方々は俺達に対して、お祈りされるんだよね。ファリス教徒もそうだったけど、普通の人間だって!



「改めまして、ここまで来て頂いて感謝いたします」


 ルシ-ル様は深々と頭を下げられた。慌てて皆で止めたんだけど。


「良いのです。『神の御使い』としてこの世界に招かれたあなた方に感謝を」


「「「セレス様に感謝を!!!」」」


 うーん。もうこれは慣れるしか無い様だ。多分この世界の全ての教会は俺達に対し、こういう対応するんだろうしね。


「もうこの国の抱える問題をご理解なさっていると思いますが、それを今からご説明させて頂きます」


 ルシ-ル様は改まった表情で、俺達を招いた訳を話し始めた。


 その内容はこの国らしい問題だったんだ。


 果たして俺達は、その問題を解決に導けるのだろうか?



サリファス王国も例外なく技術や環境整備などが発展していない国だった。


元気のない国民の抱える問題とは何なのか?


次話で明らかになる問題に、信頼雑貨のメンバ-はどう対処するのだろうか。


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