表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/200

マリアの成分補給と恋の行方

何やらマリアさんの様子がおかしい......

 速水達がルコモンドへ向かった後、グランベルクではいつもの日常風景が......。


「ねぇ、千鶴! 静香が居ないよ?」


「マリアおはよう。静香は速水君に着いて行ったよ」


「ええ⁈ そんなの聴いてないよっ! プンスカプン」


「プンスカって口で言う人初めてだよ? 私も後で聞いたのよ」


「静香()()がた・り・な・い!! ガオ-!」


「ちょっと! なんで私を噛みに来るのよ!」


 そんな光景を見ながら同じテ-ブルの愛と美樹はとても楽しそうだった。


「静香さんも遂に動いたのね」 「ほんと、やっとだよねぇ」


「もう我慢できない! 私も行くよ!」


「え? 行くってどこ行くの?」


 マリアはそう言った後、走り去った。残された面々は、出て行くマリアを見送りながら思った。


 これはまた面白い事になるんじゃ?




◇◇◇



 メルボンヌからの帰りの馬車では、お互いに顔を合わせられない速水と静香。


「な、中村さん! さ、さっきの事なんですが......」


「は、はい......えっと」


 先程から同じやり取りが続いていたのだが、中々踏み出せない二人。


「ちょっと! 私の存在を忘れてませんか? わ・た・し!」


「へっ? あ、ああセラフィアもお疲れ様」


「もう! 静香さんもさっきからずっとそんな感じだしぃ」


 セラフィアが居て助かった。この空気に耐えれそうもない。中高生じゃあるまいし、ちゃんとしないとな。


「と、とりあえず。ルコムンドに着いたら辺境伯と草薙さんに相談しないと」


「そ、そうね。私もどうすれば良いか分からないわ」


「うー、何かごまかされてる気がしますわ」


 そんな会話をしながらもルコムンドの街が見えて来た。陽も沈み外は星が輝く時間帯だ。


「お疲れ様です。今日お帰りだったんですね」


「緊急で帰る用事が出来まして。まだ中に入れて貰えますか?」


「領主様からいつでも通行できるように言われておりますので」


 門の衛兵の方はそう言って、開門してくれた。通常なら外で待たされるんだ。


 辺境伯の居る砦に馬車を向けると、既に連絡が入っていた様で草薙さんが待っていた。


「おう! お疲れさん! どうしたんだ?」


「今日お会いしたセレス教との会談の事で相談したいんですよ」


「そうか。ルコムンド卿も待ってるし話を聞こうか」


 夕食の時間は過ぎていたが、食堂で軽食を取りながら話をする事になった。


 そう言えば晩御飯食べてなかったんだよね。ドキドキしすぎて食欲ないけど。


「それで相談とは何だね? 急いで帰って来る程の案件か?」


「ええ、それなんですが......」


 ここからルシ-ル教皇との会話を話した。辺境伯も知らない事があったのか、時折頷いていた。


「話はわかった。サリファス王国を救う事に関しては、俺から言える事は無いな」


「それは賛成という事でしょうか?」


「君らの存在はこの世界では貴重だ。各国とも期待していると思う」


「しかし俺の独断では判断できないですよ。特に俺なんて何の技術もありませんし」


「サリファス王国とセレス教が求める内容にもよるのではないか?」


「そこが聞けていないんで判断が出来ないんですよ。多分王都でその話になると思うんですが」


「わ、私は反対です! 速水君が帰ってくる保障がありませんし!」


「中村?! どうした? 感情的なのは珍しいじゃないか」


「く、草薙さん。そんな事ありませんよ?」


 真っ赤になる中村さん可愛すぎるだろ。もう大好きです! ......っていかん。今はそれどころじゃない! 確かに行ったはいいが帰れない可能性もあるんだよな。


「しかし7日間では、伝令を使ってもギリギリになるな」


「そうなんですよね。遅れると大問題になりそうですし」


「俺はとりあえず行ったら良いと思うぞ。相手も同盟国だろ? 変な扱いはされないだろうしな」


「そんな事分かりません! 私はあの人の事、信用できません」


 珍しく中村さんが反対するなぁ。多分勘違いしてるんだよなぁ。ルシ-ル様は、アナマリア様と同類だし。


 この後も話したんだけど、とりあえず伝令は飛ばして、会社の判断をギリギリまで待つ事になった。


 用意して貰った部屋に向かった俺は、どうも休む気になれなかった。そう言えばテラスが在ったよな。



「ふぅ、中村さんと話をしないとな。俺の気持ちも伝えないと」


 ガタッ......


「え? な、中村さん⁈ もしかして今の聞いてました?」


 (コクコク)


 まさか聞かれてるとは思って無かったけど、今しかないか!


「中村さん! 俺、前から貴女の事を見ていました。最初は憧れだったんですが、貴女と接して行くうちに、何時も目で追ってしまう自分に気がつきました」


 中村さんも真剣に聞いてくれている。


「俺は貴女が好きです! ずっと好きでした! 俺と付き合ってもらえませんか!」


 (チラッ)


 あれ? 中村さん泣いちゃったよ! 俺間違えた? どうしよう?


 オロオロしながら落ち着くのを待っていたんだが、時間が途轍もなく長く感じる。


 俺の勘違いだったんなら、中村さんには迷惑だったのかも?


「......」



「......」

 


 長い沈黙は次の瞬間、歓喜に変わった!


「よ、よろしくお願いします。私もずっと好きでした!」


 無意識に抱き寄せてしまった。ダメだ、もう離したくない。


 ひとしきり抱き合った後、顔を見合わせた俺達は唇を重ね......



 (ザワザワ)



「......って、何でみんな居るんですか?!」


「なんだよ! キスしないのか?」 「若いわねぇ」 「微笑ましいな」


 どうやら全部聞かれていたらしい。は、恥ずかしすぎて死にそう......。


「何だ? びっくりした顔して。あれだけ大きな声で愛の告白してたら聞こえるぞ?」


「へ? そんなに大きな声でした?!」


「まぁなぁ。それにしても、お前らまだ付き合って無かったんだな」


「まだって......みんなそんな風に思ってたんですか?」


「だってお前らいつも見つめ合ってただろ? 俺でも知ってるんだから」


 うわぁぁぁぁぁぁぁ。マジか! 俺そんなに分かり易いんかぁ!! 


 中村さんは俺の胸に顔を埋めたままだ。うん。恥ずかしすぎて無理だよね。


 こうしてやっと告白出来た俺は、遂に中村さんと付き合う事になりました。


 冷やかされるのは慣れてないけど、幸せ一杯の夜。


 しかし翌朝に起こる騒動で、ビックリする事になるのだが―――


う-ん。甘い話は難しい。そう思うと恋愛作家さんは凄いね。


とにかく、速水と静香は微笑ましい結果に。


しかし翌朝って......。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ