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ルシ-ル教皇

屋敷へ案内された俺達はセレス教のトップであるルシ-ル様と会談するのだが......

 案内された屋敷の応接室で、セレス教のトップと会談が始まる。凄いデジャブ感があるんだけどさ。


「ではお話ししましょうか。速水様、何なりとお聞きください」


 とびきりの笑顔で話すルシ-ル様。だ・か・ら! 中村さんもいるし、王女だっているんだけど!


「お、おほん。では代表して私がお話させて頂きますね。アナマリア様から何を聞いているんでしょうか?」


「速水様のお噂は兼ねがね聞いておりますわ。国と教会をお繋げになった方だと」


 その話には大いに語弊があるね。あれはたまたまタイミングが合っただけだし。


「えっと。誤解が無いようにしたいのですが、結果的にそうなっただけなんですよ」


「ご謙遜なさらなくても良いのですよ。あのアナマリアが動いたのですから」


 うーん。ダメだこりゃ。話を進めようね。


「そ、それはそう言う事にして。ルシ-ル様自らお越しになったという事は、理由があるんですよね?」


「ルシ-ルと呼んで頂いて良いのですよ? 一番の目的は速水様にお会いする事です」


「流石にそれは無理ですよ? え、えっと私にお会いになる理由を聞きたいのですが?」


「うふふ。このままではお話が続きませんね。単刀直入に申しますと、サリファス王国をお救い頂きたいのです」


 いきなり大事になったよ! 国を救うって尋常じゃ無いんだけど。


「く、国を救うと申されましても、私達が出来る事は限られていますよ?」


「今、この国は50年単位に訪れる飢饉の前兆があります。このタイミングで速水様が来られる事は分かっていましたの」


「分かっていた? と言いますと夢でのお告げがあったんですか?」


「速水様は何でもお見通しなのですね。仰る通りセレス様より救いの使徒が現れるとお聞きしました」


 詳しく話を聞いてみると、俺達が10日前にメルボンヌを訪れる事は知っていた。事前に出発していたが間に合わず、ここで待っていたんだそうだ。ルシ-ル様によれば50年毎に国に起こる危機は、建国からずっと続いており、その度にお告げがあるそうなんだが。


「その50年と言う単位に何の意味があるのか? ルシ-ル様はどの様にお考えなのでしょう?」


「国も教会もその件については何度も調べております。ですがはっきりした事はわかりませんの」


「そうですか。お告げの件ですが、ルシ-ル様のような方が代々お受けになっているのですよね?」


「本来はそうです。過去に一度だけ聖女が見つからなかったのですが」


 それってサヨコさん? 多分そうだよね。


「それはこの国に現れた転移者が原因ですよね」


「はい。国中で探しては居たのですが、まさか『神の御使い』自身に夢見が起きるとは、想像してなかったのだと思います」


「転移者が存命の間に見つける事は出来なかったのですか?」


「はい。当時はこの国と周辺国との間でいさかいが起こり、戦争に発展しましたので」


 確か日記にも書かれていたよね。その戦争でご主人が亡くなったとか。......いや、でも年代が合わない?


「その戦争って期間はどれぐらいだったんですか?」


「戦争は20年続きました。ここサリファス王国と教会の聖騎士が他国に勝利するまで、かなりの時間を要す事になったのです」


「それ程の戦争だったのですね。戦時中だった為に見つけられ無かったと」


「この街は国境に近い場所でしたし、当時はまだ街と言えるほど大きくもありませんでしたから」


 成程ね。それならサヨコさんが見つからなかったのも頷ける。しかし長い戦争だったんだな。


「その戦争には女神ミネルヴァが関係していたと言われておりますのよ」


「戦いの女神が関係していたのですか? という事はハ-メリック帝国も関わっていたんでしょうか?」


「少なくとも教会と王国ではそう考えております。明確な証拠は出て来なかったのですが」


 ちょっときな臭い話だな。まぁ今の時点では関係ないか。それよりも50年と言う単位は絶対意味があるよなぁ。


「話を戻しますが、50年と言う単位で転移者が現れている事はご存知でしょうか?」


「はい。史実から見てもすぐにわかる事ですからね。何処に現れるかは、女神の意志で決まるとも」


「女神の意志ですか。正直に言って私達には謎なんです。何の目的でこちらに呼ばれたのか」


「いずれ女神様から何かお告げがあると思いますわ。他には何かございますか?」


 わかった事もあったけど、今は何かピ-スが足りない気がする。せめてヒントがあればなぁ。


「中村さんやセラフィアは、今までの話で何か思う事は無い?」


「そうねぇ。今頭に浮かぶことは無いわね」 「私は初めて聞く事ばかりですの」


「無いようでしたら、速水様! 参りましょう!」


「へ? ま、参るってどちらへ?」


「決まっております! サリファス王国の王都でございますわ!」


 ちょっと待った-! どうしてこうなる! 決まってるってなんでだよ!


「ダメです! 速水君は連れて行かせません!」 「ですですわ!」


 中村さんとセラフィアは立ち上がり、両手を広げて俺の前に立つ。


「あら? 例え同じ『神の御使い』と王女でもその言葉は聞き捨てなりませんね」


「何を言われても速水君は貴女には渡しません!」 「速水様はアルメリア王国に居るべきなのです!」


「貴女方は速水様の何ですの? 彼を独占する権利は無いのではないですか?」


「そ、それは......は、速水君は、私の大切な....ひと%#$&」 「静香さん! 抜け駆けは!」


 え? 今のって? 中村さんから大切って? 


 俺は中村さんを見たんだけど真っ赤になって下を向いている。


「うふふ。少し貴女を試してしまいました。その調子ではまだ何も無いのですよね」


「そ、そうですけど! 貴女には負けたくありません!」 「私も負けません」


 流石に俺も分かってしまった。どうしよう? めちゃくちゃ嬉しいんだけど!!


「ルシ-ル様、今すぐに向かうにはこちらに準備も出来ておりません。猶予を頂けないですか?」


「速水様がそうおっしゃるのなら構いません。ですが7日以内でお返事ください。私もあまりに長い間、本部を空ける訳には参りませんので」


 一旦、この会談はここで終了し、ルコモンドへ戻る事にした。さてどうしたもんだろうか?

サヨコさんの日記との整合性は取れた。しかしサリファス王国を救うって? 


中村さんからの思わぬ告白にテンション爆上がりの速水君。え? セラフィア? それはねぇ......。


7日間しか猶予は無いが、どう決断するべきなんだろうか?

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