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女神の関係性

女神セレスと女神ファリスの関係以外にも......

 セレス教メルボンヌ教会でシスタ-リべ-ルから語られる、女神セレスに関する伝承。


 俺達は新たな事実を知る事になったのだが―――



「セレス様とファリス様の関係を、もう少し詳しく教えてもらえないでしょうか?」


「はい。伝わっている話では女神セレスの妹にあたるのが、女神ファリスですね」


「妹神ですか。それは『大地』と『豊穣』という事に関係しているのでしょうか?」


「一般的な解釈ではそうですね。セレス様が大地を耕し、ファリス様が恵を与えると」


「各国々が信仰する女神は、関係性があるのでしょうか?」


「そうですねぇ。この世界は『始まりの女神』ジュノ-様がお作りなったと言われています」


 ここからリべ-ルさんに説明してもらった話によると、世界を作ったのがジュノ-様。その子供にあたるのが、各国が信仰する女神である事。女神にはそれぞれ権能が存在する事等。聞いた内容を以下に纏める。



【始まりの女神ジュノ-】→この世界を作った女神。権能は守護。

※順不問

☆アルメリア王国→女神ファリス。権能は豊穣。


☆サリファス王国→女神セレス。権能は大地


☆ハ-メリック帝国→女神ミネルヴァ。権能は戦い。


☆スレイブ王国→女神セルピナ。権能は芽吹き。


☆ファインブル王国→女神エルミナ。権能は才能。


☆グ-テモルゲン王国→女神マ-ルス。権能は知恵。



「全ての女神は姉妹神と言う事で間違いないんでしょうか?」


「その認識で間違いはありません。ただ女神同士も相性がありまして......」


 リべ-ルさんは少し言いにくそうにしながら語った。セレス様、ファリス様、セルピナ様を信仰する国は比較的交流がある。対してミネルヴァ様、エルミナ様、マ-ルス様を信仰する国とは仲が良くない。


「イメ-ジ的に平和を司る3神と、争いを司る3神で別れてるんですね」


「その認識で間違いありません。実際に教会同士も同じ関係性ですね」


 アルメリア王国が同盟国と交流があまり無かったのは、距離と女神の関係もあったんだろうね。これで大体女神に関する事は分かった。あとは周期の件だな。


「リべ-ルさん。少し話が逸れるんですが、50年と言う単位で思い出される事は無いでしょうか?」


「50年? そうですねぇ......あっ、この国に災厄が起きるのが大体その単位ですね」


「災厄ですか? それはどの様なものなのでしょうか?」


「大きなもので言うと飢饉、政治闘争でしょうか」


 詳しく聞くと、この国でも飢饉に見舞われる年はある。政治闘争は簡単に言うと王の交代だ。


「失礼ですけどあなた方は、いったい何者なのです? こう言った事を聞かれた経験はあまり無くて」


「あっ? 私が説明してませんでした! この方々は異邦の方々なんです」


 サリナさんが焦った様子でリべ-ルさんに説明すると、目を丸くして俺達を見た。


「も、申し訳ございません! まさか『神の御使い』様とは知らずに!」


 そう言って跪くリべ-ルさん。この国でも俺達は特別な存在の様だ。


「ちょ、ちょっとリべ-ルさん! 良いですから! 頭をお上げください!」


「そうですよ! 私達は普通の人間です!」 「私は違いま-す!」


 慌ててリべ-ルさんを起こそうとする俺と中村さん。セラフィアは......君は王女らしくしなさい!


 何とかリべ-ルさんに立ってもらい、俺達がここに来た訳を話した。するとリべ-ルさんからこんな提案が話された。


「セレス教と致しましても、全力でお手伝いさせて頂きます。できれば本部に連絡したいのですが」


「そのお申し出はありがたいのですが、どの位お時間が掛かるのでしょうか?」


「ここからすぐに伝令を飛ばして5日程です」


 という事はスム-ズに行って往復で10日か。そんなにここで待ってられないよなぁ。アルメリア王国内と違って移動となれば、馬だろうしね。


「そうですか。それなら一度出直します」


「そ、そんな! こちらの教会で宜しければ、お世話もさせて頂きますので!」


 何だろう? 出直した方がここにも負担が無いし、良いと思うんだけど?


「えっと、私達が居ないと問題があるのですか?」


「教会本部から使いの者が参った時に、あなた方が居られませんと私の立場も......」


「それならルコモンドに一度戻り、日程が合うように戻って来ますよ」


「そ、そうして頂けるとありがたく思います!」


 リべ-ルさんは直ぐに手配に走った。俺達はサリナさんにお礼を言い、馬車でルコモンドへ戻った。


 ルコモンドへ戻る間、中村さんとセラフィアに意見を聞いてみた。


「中村さんは一連の話をどう思います?」


「そうねぇ。正直、神話の話を聞いたみたいに思ってたわ。だって日本で神様って言うと、お参りに行くぐらいで身近には考えてなかったし」


「ですよねぇ。俺も浮世離れした話だと思ってます。でも実際にこの世界に飛ばされてますし」


「静香さんと速水様は信じておられませんの?」


「セラフィア、信じて無い訳じゃないよ。受け入れるのに時間がかかる感じかな」


「私もそうね。『神の御使い』なんて呼ばれても実感ないし」


 この世界の生活には随分慣れたけど、未だに神様の存在は感じないんだよね。女神のお告げって聞いた時、イメ-ジしたのは『イタコさん』だったし。


「田村が言ってました。ラノベとかアニメだと、この世界に来る前に女神に会うのが普通だって」


「田村君、好きそうよね。私はタイムトラベルかと思ってたのよ」


「静香さん、タイムトラベルって何?」


「セラフィアはわかんないか。簡単に言うと過去とか未来へ来たって言えばわかる?」


「過去とか未来? ちょっと想像できないですぅ」


 俺もタイムトラベル説は考えたけど、国の名前も違うしね。言葉が通じた時点でおかしいから。


 そんな話をしながら馬車は進み、ルコモンドの城砦が見えて来た。辺境伯と草薙さんに相談して、意見を聞いてみよう。




まだ実感のない女神の存在。そしてこの国でも転移者は『神の御使い』と呼ばれていた。


さてセレス教本部からどの様な情報が得られるのだろう?

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