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メルボンヌの街再び

メルボンヌの街へ向かう速水達、果たして何か掴めるのだろうか。

 駅に着くとトロッコはまだ到着していなかった。駅の人間に確認すると、後10分程で到着するらしい。駅では貨物部分は構内へ誘導され、人の乗る部分は降車後すぐに乗れる。サ—キットのピットインみたいな感じだな。


「良かった。乗り遅れたら、かなり待たされるところでしたね」


「ふぅ、こんなに走ったの何時ぶりかしら?」


「静香さんもまだお若いですわ。私はとっても疲れましたの」


「セラフィアが一番若いじゃないか」


「速水様、お城で運動などしておりませんでしたのよ?」


 それもそうか。王女様だもんなぁ、普段の服装だったら走れないよね。中村さんとセラフィアはパンツルックだ。動きやすい服装を選んだ様だが、二人ともスタイルが良いから似合ってる。


「お? どうやら到着ですね」


 言われた時間通りにトロッコがやって来た。トラブルも無く走ってるんだなぁ。


「あっ! 席が空きましたわ! 早く座りましょう!」


「ちょっと! そんなに急がなくても大丈夫よ?」


 こう言う姿を見るとセラフィアは年齢通りに見えるね。まだ15歳だし。4人掛けの席の一番前に座り一息つく。ぞろぞろと乗客も集まって来たところで、そろそろ出発だ。

 ルコモンドまでは、途中の街に2泊する事になる。暫らく進むと田園の風景が目に入って来た。今日はクランケの街に宿泊するのだが、あの元気のない街を思い浮かべると、苦い顔になったよ。


 トロッコは順調に進みクランケの街が見えてくる頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。


「もうすぐ着きますね。あれ? セラフィアは寝ちゃってるのかな?」


「そうね。風邪を引いても困るから、そろそろ起こしましょうか」


「ちょっと、起きなさい。もう着くわよ!」


「ふぇ、もうルコモンドでしゅか?」


「こらっ、寝ぼけてないで起きなさい!」


 完全に寝ぼけてるけど、舌足らずで可愛いな。さて宿は空いてるよな? 駅に到着し街に入ったが、暗い。人通りもまばらだし、ちょっと怖いな。念の為、駅で宿の場所を確認して向かった。


「グランベルクに慣れてると、とても暗く感じますね」


「そうね。何だか怖いわね」 「静香さん、離れないでくださいね」


 宿はすぐに見つかり入ってみると、ロウソクで灯はついていたよ。部屋も2部屋空いていたので助かった。部屋に入った後に空腹に気づいたが、この時間なので諦めて寝たよ。

 

 翌朝、露店で朝食を買って朝一番のトロッコに乗車した。


「ふぁあ、今日はアリストの街までですね」


「前回は馬車だったから、この旅も何だか新鮮だわ」


「でも風景があまり変わらないから、眠っちゃいそうですわ」


 トロッコ列車は農地を通るので、風景自体は変わらない。でもちょっと懐かしい景色も見えたんだ。


「中村さん! あれって稲ですよね?」


「え? あっ! そうね。間違いなくアルメリア米だ♪」


 はしゃぐ俺達をしり目に、王女様は今日も爆睡中だった。久しぶりに中村さんと話をしていたらあっという間にアリストに着いたよ。いつも1人だから喋るのが新鮮だった。夕刻に到着したのでアリストの街を散策し、適当な店で食事をとった。宿もちゃんと空室があったので、早めに休む事にし明日に備えた。

 天気の方も崩れる事無く、翌朝のトロッコも順調に進む。今日はセラフィアも眠ることなく、3人でお喋りしながら景色を楽しんでいると、城砦が見えて来た。ルコモンドに到着したのはお昼過ぎだ。


「この時間なら城砦に寄りませんか?」


「そう言えば、草薙さんが居るのよね?」


「あれが噂の城砦ですのね。一度見てみたかっのですぅ」


 城砦が近ずくとガンガンと工事の音がする。辺りを見回すと、草薙さんと辺境伯を発見した。


「おーい! 草薙さぁ-ん!」


「ん? どうした速水! 何かあったのか!」


「草薙さん、お疲れ様です! 工事は順調ですか?」


「まぁな。この分だと計画より少し早く完了しそうだな」


「それは良かった。実はですね......」


 ここでここに来た訳を話した。一緒に聞いていた辺境伯も驚いた様子だったが。


「なるほどな。その夢の話が本当なら、何かのヒントになるのは間違いないな」


「ええ。メルボンヌでその辺りの情報が入れば良いのですが」


「それにしても中村とセラフィアちゃんが一緒なんて、お前も隅に置けないな」


「え?! ち、違いますよ! そう言うんじゃないですから!」


 ホントに違うよ? 今回はたまたまです。って中村さんとセラフィアを見ると、何か怒ってませんか? 


「本当に鈍感なんだから」 「ですです。速水さんてダメですね」


「あはは。速水、お前も苦労しそうだな」


「な、なんかすみませんです」


 この日は夕食を城砦で済ませた。娘さんの話で盛り上がったんだけど、そう言えば俺は喋った事無いかも知れない。セラフィアは自分の事のように話してたけどね。翌朝、辺境伯の計らいで馬車を出してもらい、メルボンヌへ向かった。国境の検問では補強工事が行われていた。


「こっちの工事も順調そうですね」


「そうね。同盟国も工事を急いでいるものね」


「他国に来るなんて経験は、滅多にできませんわ」


 俺達は先に宿をとり、サリナ・イトウさんの家へ向かった。


 在宅だと良いんだけど......。


「こんにちは! イトウさんご在宅ですかぁ!」


「ハイハイお待ちくださーい♪」


「お久しぶりです。覚えていらっしゃいますか?」


「ええ、覚えていますよ。速水さんですよね? 今日はどうされたのです?」


 俺はサヨコさんの日記に書かれていた事を確認した。するとサリナさんは何かを思い出したようだ。


「その事は母から聞いております。祖母は、ある日を境に夢は見なくなったと」


「ジュ-ンさんからも同じように聞いていますが、それ以外に何か覚えておられる事は?」


「そうですねぇ......夢に出て来ていたのは、セレス様と言う事ぐらいしかないですねぇ」


「セレス様ですか。どういう風に出て来られたか分かりますか?」


「その夢によって違う様なことを言っていた気がします。私も小さい頃ですので曖昧なんですが」


 この後も頑張って思い出そうとしてくれたんだが、これ以上は分からなかった。その代わりに明日この街の教会へ、連れて行ってもらう約束をしてくれたんだよ。セレスと言う女神を信仰する教会なら何か分かるかもしれない。俺達は少しの期待を抱き宿屋へ戻ったんだ―――

無事に到着したメルボンヌの街。ジュ-ンさんの母であるサリナからはセレスと言う女神の話が聞けた。この街の教会でセレスと言う女神について何か分かるのだろうか?


この話でこの章は終了です。


次話より新章『世界の神々編』がスタ-ト。国により信仰する神が違う事に意味があった。

ここから物語は後半を迎えますのでお楽しみに!

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