わたしの友達
前から大分空いてしまいました。すみません。夏バテです。
次の日、わたしは朝からもやもやしていた。原因はちーちゃん、だと思う。いや、それ以外にありえない。昨日のことがずっと頭から離れなくて、そのせいで昨日はなかなか寝つけなくて、だから、すっきりしない。
ちーちゃんの方を見る。見た感じ、いつも通りの様子。まぁ、昨日の帰りもいつも通りだったけど。ただ何となく、ちーちゃんとの間に距離を感じる。それは、ちーちゃんがわたしから離れているんじゃなくて、わたしの方がちーちゃんから遠ざかっている気がする。壁がある、というより、柵がある、という感じ。乗り越えようと思えば超えられるけど、本当に超えちゃっていいんだろうかって考えて、ためらってしまう。しかも、その柵をつくっているのはわたし自身で。
「はぁ~」
「さきちゃん、どうしたの?」
顔を上げるとちーちゃん、ではなくあきちゃんがいた。あきちゃんは高校に入ってからできた友達で、ごくまれに一緒にお昼ごはんを食べたりする。去年にひきつづき今年もクラスメイトである。なんだかぽわーっとしたオーラをまとってそう。
「うん、ちょっと……」
「ちえちゃんと何かあったの?」
「えっ」
何で分かったんだろう。エスパー?
「何で、分かったの?」
「うーんと、今日は二人とも、朝からあんまりしゃべってないなー、って思って。それで、さきちゃんのほうが元気なさそうだったから、話をきいてみようかなーと」
「なるほど」
「それで、何かあったの? あ、というかきいてもいいのかな?」
「うん。むしろ誰かにきいてほしかった、かも」
自分ひとりだとずーっとうんうんうなってるだけでもやもやしっぱなしだったから、誰かに話して少しでもこの気持ちをすっきりさせたい。できれば答えも教えてほしい。どうすればいいのか、っていう答え。
昨日見たこと聞いたことをあきちゃんに話した。話を聞いているうちにあきちゃん眉間にしわがよっていた。普段のぽわーっとした感じが三割くらい引き締まった感じになった。
「告白っぽいことをされていた、と」
「うん」
「それも男子に」
「? うん」
「むむー」
話を聞き終わるとあきちゃんはうんうんうなり始めた。さっきまでのわたしみたいだ。わたしもこんな感じだったんだろうか。
「それって、さ。『さびしい』ってこと? ちえちゃんがその人に取られるーって」
「……うん。多分」
「さきちゃんは、どうしたいの?」
「……いままで通り、ちーちゃんと一緒にいたい」
「じゃー、そう言えばいいんじゃない? 直接」
「うーん、でも……」
いいのかな、きいても。昨日の帰りもその話題は出なかったし、ちーちゃんが話したくないって思っていることだったら、それを無理矢理きこうとしたら。
嫌われたり、しないかな。
「大丈夫だよ」
「え」
「二人はすっごく仲良しだもん。そんな簡単に嫌いになったりしないよ」
「そう、かな」
「うんうん。絶対大丈夫」
「……うん。ありがとう。元気出た」
「よし。じゃー早く仲直りしてね。二人が仲良くしててくれないと私もつまんないし」
「え?」
「何でもない何でもない」
あきちゃんは手を振りながら笑顔で自分の席に戻っていった。あきちゃん、最後は何て言ってたんだろう?
あきちゃんは二人のことを温かく見守っています。